映画「ボヘミアン・ラプソディ」でQUEEN再入門

はじめてQUEENの音楽に触れたのは映画「ウェインズ・ワールド」だったと思う。それ以前にも名前を聞いたことがあったりテレビのBGMやCMなどで曲を聴く機会があったかもしれないが、たぶん20歳前後に観た「ウェインズ・ワールド」がQUEENというバンドを意識したキッカケだった気がする。

今までの人生で最もヘヴィメタル的な音楽を聴いていた頃で、あの映画に出てくるメタラーネタに狂喜したのを憶えている。中でも、主人公たちが車の中でヘッドバンギングするシーンは強烈で、そこで使われていた曲がBohemian Rhapsodyだった。

今まで聴いたことのないような曲構成のインパクトと映画自体の楽しさもあってQUEENというバンドに強い興味を抱いた僕は、とりあえずベストアルバムを買ってみることにした。(たしかグレイテスト・ヒッツというタイトルだったと思う)

1曲目がBohemian Rhapsodyで、めくるめく展開とハードロック的ダイナミズムを持つ名曲だと再認識しつつアルバムを聴き進めていった。さすがにベストアルバムということで良い曲満載だと感じる一方で、やはりBohemian Rhapsodyのインパクトが強烈すぎたのか、若干の物足りなさを感じたように記憶している。

当時、今より格段にヘヴィメタル寄りの音楽を好んで聴いていて速さや重さを重視していた耳には優しすぎる曲が多かったのかもしれない。 その後オリジナルアルバムを買うこともなく、グレイテスト・ヒッツもBohemian Rhapsodyヘビロテ時々We Will Rock Youのような聴き方をしながら徐々にQUEENに対する興味を失っていった。

それから間もなく、聴く音楽の趣味もより広範囲でマニアックな方向に進んで、結局QUEENのオリジナルアルバムを一枚も聴くことなく今まで来てしまっていた。そういえば、ブライアン・メイとフレディ・マーキュリー以外のメンバーの名前もアヤフヤだったことにも今回の映画を観て気づいた。

僕は映画が大好きで、中学生の時に洋楽を聴きはじめたのも映画の主題歌がキッカケだった気がする。QUEENの映画が公開されることを知ったのも映画館で観た予告編だった。公開日が近づくにつれて長めの予告編が流れるようになり、QUEENに対する思い入れが強くない自分でも一本の映画として楽しめるんじゃないかと思いはじめた。もしかしたら、この映画でQUEENの魅力を再認識できるかもしれないと。

公開2日目の土曜日、朝9時過ぎの1番早い時間帯のわりにお客さんは多かったと思う。どれくらいがコアなQUEENファンで、どれくらいが普通の映画好きかは正直まったくわからなかった。ただ、なんとなく年齢層は高めだなという印象はある。

映画ファンにはおなじみの20世紀フォックスのファンファーレがブライアン・メイのギターバージョンになっていて、否応なくテンションが高まるオープニング。

曲の魅力を軸にしてグイグイ引っ張っていく「グレイテスト・ショーマン」タイプの映画かなという予想と裏腹に、名曲群に頼りきらない丁寧な描写やストーリー展開だったように思う。個人的には、そのあたりの誠実な演出で多少冷静になってしまった部分もある。退屈だったわけではないし、むしろQUEENファンにとっては好ましい造りだったのかもしれない。このタイプの映画に関しては特に、思い入れの強さが映画の評価に大きく影響するのは当然で。

映画を観て強く感じたのは、QUEENが常に変化を求めるバンドだったということ。オペラを取り入れる革新性はBohemian Rhapsodyなどの曲で知ってはいたが、ディスコミュージックへのアプローチ、We Will Rock Youの誕生シーンといったQUEENのプログレッシヴな側面も上手く描かれていた気がする。

それから、これは単に不勉強ゆえの偏見で、QUEENの楽曲のほとんどはフレディかブライアンが書いているんだろうなと思い込んでいたが、それぞれが曲やアイデアを持ち寄って皆で形にしていく場面も印象に残った。

そして、何といっても再結集してからのラストはQUEENの大ファンにはなれなかった自分でも耐えきれず泣いてしまった。あの終盤だけでも映画館に行く価値はあると思う。

基本的にはエンタメ映画で全てが真実というわけではないだろうが、バンド結成から成功に至る過程、メンバー間の衝突や葛藤を魅力的な曲とともに知ることができる良作だと思う。何となく「ストレイト・アウタ・コンプトン」という映画を思い出した、音楽のジャンルは異なるが。

この映画の良さはコアなQUEENファンじゃなくても観る人それぞれが自分の思いを重ねられるところだと思う。QUEENファンはもちろんQUEENの物語として観るのだろうが、大好きなバンドが解散したりメンバーが亡くなって悲しい思いをした経験がある人は、その大好きだったバンドや亡くなったメンバーへの思いをどこかで重ねてしまう部分もあるんじゃないかと。

この映画で再入門と言えるほどQUEENを好きになれるかは正直わからない。とりあえず映画のサントラから聴いてみている。今はストリーミングサービスなどで聴きやすい環境になっているから、これを機にオリジナルアルバムをチェックしてみようとも思う。

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そういえば、「ボヘミアン・ラプソディ」にマイク・マイヤーズが出てると知って驚いた…しかも「ウェインズ・ワールド」ネタとは(笑)

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