TOYOTAの経営戦略(20202年11月発表)
皆さん、こんにちは。
寒すぎて布団がなかなか僕を放してくれないので、つい寝坊しがちになるRです。
#布団は寂しがり屋なので
さて本日は、少しテーマを変えて自動車業界を見ていきます!
第1弾はTOYOTAです!
タイミングよく、11月に2025年度に向けた中期経営計画が発表されていました。
言わずと知れた世界的な自動車メーカーですね。
ちなみに僕が乗っている車はHONDAです。
では紹介していきますね。リンクはこちら↓
1.経営戦略
まず、2025年度の中期経営計画策定の前提の考え方が以下のように記載されています。
「CSV経営へシフト。足許課題及び将来の社会ニーズから整理されたマテリアリティを全社一丸となって実現」
CSV経営:義務的に社会問題と解決するのではなく、社会的な意義のある
事業を行うことで、社会的な価値と自社の利益を両立させる経営
マテリアリティ:組織にとっての「重要課題」
つまり、今後予想されるであろう社会的な問題(この場合は環境問題が主になると思いますが)に対して、本業で解決できるように貢献していきますよ~って話です。
環境という意味ではEV車(電気自動車)がますます普及していくでしょうし、
安全という意味では自動運転がAIの発展により広まるでしょうね。
じゃあ、そのマテリアリティ(重要な課題)とは何か。
TOYOTAは5つ挙げております。
・インテリアスペースクリエイターとしてイノベーションを通じ、快適・安全・安心を創造し、こころ豊かな暮らしに貢献する
・確かな技術力で、安全な製品を提供し、交通事故死傷者ゼロ社会に貢献する
・取引先とともに「ものづくり」の革新を図り、環境負荷のミニマム化を実現する
・多様な価値観とチャレンジ精神、チームワークを尊重し、世の中に貢献できる人を育てる
・構成で良識ある行動を伝承し、全てのステークホルダーから信頼される誠実な企業であり続ける
インテリアスペースクリエイターという所が僕には意外でした。
自動車業界に疎いからかもしれませんが、車内の空間についてもかなり気を遣っているんだな~と少し驚きました。すごいです。
そしてそれぞれに対して2025年度に向けて重点的な取り組み事項を掲げています。
2.課題解決に向けた重点取り組み事項
それぞれの項目について見ていきますね。
①安全・環境・快適を追求し、顧客を拡大することで、顧客へ最適な提案ができる、信頼されるサプライヤーへの進化
→これがインテリアスペースクリエイターにつながります。
最適なシートの設計・開発や、自動運転になった時の快適な社内空間などに力をいれ、競合会社に負けないインテリアを追求していくとのこと。
車に乗る僕からしたら、今後どのように内装が変わっていくのかとても楽しみです。
②徹底的な生産性向上と事業・地域一体となった事業戦略の確実な実行
→簡単に言えば、現地生産にこだわることで限界利益(売上-変動費)を向上させようってことです。
国内で作ったものを海外に輸送するなどの方法では輸送費もかかり、急に需要が増えても対応できません。だから、現地の向上などの生産体制を整える。さらにそこで製作する製品に必要な部品は現地で調達する。
これらの活動を通して、売上原価を抑えて、利益を向上させるという考え方です。
③ものづくり革新による競争力の向上と環境への取り組みの推進
→これは、IoTを活用して、ものづくりの生産を効率化すること。そして、リチウムイオン電池使用による消費電力低減、CO2排出量低減、再生可能エネルギーを導入することで、環境負荷をミニマム化するという取り組みです。
TOYOTAといえば、「カンバン方式」が有名ですよね。デジタルを取り入れることで、さらに生産体制に磨きをかけていくと思います。
※カンバン方式: 「必要なものを、必要なときに、必要な分だけ」製造すること。無駄な在庫を生まないなどのメリットがある。「いつ、どこで、何が、どれだけ使われたか」が明記された具体的な作業指示書を「カンバン」と呼ぶことから名づけられた。
④持続可能な成長を支える強靭なグローバル経営基盤の確立と人材育成
→経営情報基盤をレベルアップすることで、情報の一元化・共有を行う。さらに分析と対策の早期化を行うことで意思決定のスピードを上げる。
また、適正な要因計画として、BEP70%を掲げています。BEPとは損益分岐点のことです。こちらは、少し管理会計の要素が入ってくるので、「3.経営数値」の所でお話させて頂きます。
意思決定って、大企業ほど遅くなりますよね~。まあ金額の規模が大きいので経営側もなかなか判断できないのでしょう。ただ、情報の一元化・共有が進めば、判断材料が入手しやすくなるので、少しはスピードが上がることが期待できます。
3.経営数値
見通し数値については以下のようになっております。
売上高:2020年度見通し 12,400億円(2019年度実績 13,726億円)
営業利益率:2020年度見通し 2.9%(2019年度実績 3.5%)
ROE:2020年度見通し 4.8%(2019年度実績 8.5%)
前年と比較すると、コロナの影響でやや悪化気味となっております。
ただし、コロナ影響除きで言うと、営業利益率は4.8%の見通しとなっております。
参考にROEを見ていきましょう。
ROEとは、自己資本利益率と言われ、自己資本(資本金+内部留保)によって
どれだけの利益を生み出せているかという指標になります。
計算式は、ROE=当期純利益÷自己資本になります。
この数値が高いほど、自己資本を効率良く使えていることになります。
2020年度の見通しを見る限りは、コロナ影響により営業利益の見通しが下がっていることで、ROEも下がり、自己資本を去年よりも効率よく使えていないことになります。
ただ、ROEにも欠点があります。自己資本が低いほどROEは上がるので、負債(借入金など)を増やして自社株買いを行えば、自己資本が下がって、利益が増加しなくてもROEが上がるんですよね~。
だから、ROEだけではなく、資産の効率性も見るROAも近年重要視されています。
さて、「2.課題解決に向けた重点取り組み事項」で触れたBEPが70%になるような要因計画をすることについて解説していきますね。
用語を簡単に説明します。
BEP=損益分岐点です。損益分岐点とは、売上高と総費用(変動費+固定費)が合致し、利益も損失も生じない数字のことを言います。
つまり、日頃の営業活動で100万円総費用が発生するのであれば、その費用を回収するには100万円売上なければいけないということ。この100万円という数値が損益分岐点です。
これが分かるとどうなるか。
売上の見通しが200万円であれば、損益分岐点の100万円を超えているので余裕ですよーとなります。むしろ、設備を拡大して生産量を増やし、売上を伸ばしたほうが良いかもしれません。
逆に見通しが50万円の売上の場合。損益分岐点100万円をおおきく下回ります。このままだと赤字になるので、固定費を減らそう!って発想になります。
そして本題の損益分岐点70%について。
これは売上高に対して損益分岐点が70%となるように総費用をコントロールするということ。
100万円の売上見通しの場合、損益分岐点が70万円となるように費用を抑えようってことです。
損益分岐点をコントロールするには、売上・変動費・固定費のどれかを動かす必要があります。
100万円の売上をするという前提なので、売上の数値は動かせません。売上に連動して発生する変動費も動かせません。だから固定費を動かすんですね。
損益分岐点を下げたいのであれば、固定費を減らす必要があります。
※参考:損益分岐点=固定費÷{1-(変動費÷売上高)}
固定費を大きく占めるのは言わずもがな人件費なので、損益分岐点が70万円となるように人員をコントロールするということになります。
簿記で勉強したCPV分析とかこういう所と関係してくるんですね。
ぜひ、気になったら色々調べてみてください。
4.まとめ
自動車業界はEV車の導入や、自動運転の導入など今まさに変化が激しい時代です。
その中で国内トップメーカーであるTOYOTAはどのように成長していくのか。
どのような新技術を導入するにせよ、必要となるのは既存の製品のコストダウンと、品質の向上になります。その意味で、中期経営計画には、その部分が詳細に記載されていたので、地に足のついた経営と受け取れます。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
P.S 現在休職中なので、ブログ書いてます。心理学や生活習慣、読書レビューを書いてます。↓
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