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第14回 太鼓のこと

早速連続更新となりました笑
更新できる時に更新を沢山させていただきたいと思っております笑
どうぞよろしくお願いいたします!

今回は囃子方最後の回「太鼓のこと」であります。

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太鼓は大鼓と似た性質を持ったリード楽器で、能楽の楽器の中では鼓と肩を並べるほど有名な楽器です。
前回の大鼓とは大きな差がありますね…笑
今回解説していただくのは中田一葉氏です!
普段から本当によくお舞台でご一緒させていただいております!
それでは解説文をどうぞ!

解説文

こんにちは。太鼓方金春流の中田一葉です。
この度は若手能OFFICIAL ONLINEをご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は太鼓編という事で私がお話しさせていただきます。
太鼓のつくり
太鼓は能楽の話の中でもパーツが多い楽器です。表皮と裏皮、間に挟む胴、それぞれをつなぐ2本の調緒、太鼓を据える台、最後に手に持つ2本の撥です。太鼓の皮は牛皮で出来ております。
表皮の真ん中には撥皮という鹿皮が貼っており、演奏ではここしか打てません。
一見難しそうに見えますが撥皮を見て真っ直ぐに撥を上げて真っ直ぐに下ろす。
これさえ出来れば必ず当たります。
胴は欅材が用いられ、江戸時代から伝わる古い道具を使います。
調緒できつく締めても耐えられる頑丈な作りになっており、表面には蒔絵が施されております。
注目されるのは表面ですが大事なのは裏側です。胴の裏側の彫りは音に直接影響が出ますので太鼓方が胴を見る時はまず裏側を見ます。
太鼓の台は別名又右衛門台とも呼ばれ、この台を開発した金春又右衛門から取られています。
「太鼓持ち」という言葉をご存知でしょうか。
諸説ありますが、昔は台が無く人の手で支えられておりその人の事を太鼓持ちと呼んだそうです。シンプルな形状をしていますが職人の技巧がたくさん注ぎ込まれた大変精密な装置です。
最後に撥ですが、檜で出来ておりまして撥先を見ると太鼓方の芸歴が分かります。
長年使うと鉛筆の用に先が少しずつ削れて行きます。
私の撥も大分削れてきましたが、まだまだ未熟の撥です。
太鼓の役目
太鼓方は囃子方の中で1番仕事が少ないです。
能の演目は武者の霊や生きている人間がシテである事が多い大小物と神や鬼と言った人外がシテになる太鼓物とで分かれます。
太鼓物の中でも前半部分は太鼓は何もせず、後半になってから演奏を始めます。
この世の者ではないものを舞台に呼び出し曲を盛り上げ、終曲へと向かわせるのが太鼓の大きな役目です。
出番は少ないですが、ここぞという時に大活躍します。
修行の話
私は父が太鼓方であったため、自動的に太鼓の道に進むことになりました。
稽古は想像を絶する程厳しかったですが辞めようと思った事はまだありません。
ここまで続けられたのは父の怒りを買う真似は絶対にしたく無かったのが一つあります。
失敗して怒られるのが怖かったのもありますが出来ない自分に対して今でも憤りを感じます。
太鼓を担う若者が非常に少ないため、責任を持って常日頃から稽古そして舞台に立っています。

父が稽古に厳しい点、とてつもなく重大な責任感と共に舞台を務める点これらを見てると他人とは思えない気がして…笑
能楽師は皆もちろん並々ならぬ責任感を持って舞台を務めますがことリード楽器の話となりますととってもプレッシャーがかかります。
この一打で曲の進行、趣が変わってしまう
この緊張感というのはなかなかに辛いものです…

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話が長くなりそうなのでここで切りまして
是非とも動画の程チェックお願いいたします!
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