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なぜセブンイレブンは増殖するのか 〜ドミナント戦略の功績と功罪〜

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これは大宮駅周辺のGoogleマップです。このピンが刺さっている場所、全部セブンイレブンなんですよ。ご覧の通りひしめき合ってますね。しかも大宮のセブンイレブン、今年に入ってから大宮一の宮通り店、大宮一番街店など新しく増えた店舗もあります。

なぜセブンイレブンはこんなにも増殖していっているのか。それはセブンイレブンがドミナント戦略と呼ばれる経営戦略を用いてるからです。今回はなぜセブンイレブンがドミナント戦略を使うのか、そしてドミナント戦略による店舗の増殖が招いた問題点について解説していきます。

なぜドミナント戦略なのか

セブンイレブンがドミナント戦略を利用した理由を知る前にまずは、ドミナント戦略のメリットについて知っておく必要があります。ドミナント戦略が通常の逐次的な出店方法と違う点は、点の戦略ではなく面の戦略が可能という事です。

そうしてその店舗の密集する面では、店舗に対して大きなアドバンテージを得る事ができます。面の地域内で知名度が向上する事によって、ブランドイメージが確立し、強いブランド力を得られます。それにより新規参入を抑制し、面内で利益を独占する事が可能になっていきます。

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セブンイレブンはここに目をつけました。そのため1974年の一号店開店から江東区から出ないという出店方法を採用し、セブンイレブンというブランドの認知拡大、そして当時はまだ認知の薄かったコンビニエンスストアという営業形態の認知拡大を目指しました。

その結果現在、約21000店舗に店舗数は拡大していきました。このドミナント戦略の影響で莫大な店舗数を有しながらも、四国や九州などの地方へ出店が進んだのは2000年代に入ってきてからでした。

またその他、セブンイレブンは独自の工場を全国に設けています。ドミナント戦略による面の中のニーズに答えた商品の生産が可能で、輸送コストも面の中で集結するためかなり小さく抑える事ができます。

このようにセブンイレブンはドミナント戦略の基礎的な活用だけでなく、ドミナント戦略から生まれる新たな価値までも高めていき、日本一のコンビニとなりました。しかしそれによりセブンイレブンはドミナント戦略に固執した経営戦略となって、それにより大きな弊害ももたらしました。

ドミナント戦略の功罪

セブンイレブンはドミナント戦略によって成功を収めましたが、それと同時にドミナント戦略によっておきた問題もあります。

それがカニバリゼーションの発生です。いわば店舗同士の共食いが発生するのです。地域の交通の変化や、地域の人口減少、ローソンやファミリマートに代表されるライバル店舗が増加したことが主な原因です。

セブンイレブンはフランチャイズ契約によって店舗を増やしています。なので経営が悪化しても店舗を縮小する事ができません。それにより現場の労働条件が悪化していきました。

さらにインターネットショッピングの拡大や、ドラッグストアなどがコンビニの分野に侵入してくる事で、競争が激化し更にカニバリゼーションが深刻化する事が予想されます。

そのような点からドミナント戦略には懐疑的な意見が増えてきたように思えます。これからはフランチャイズ契約とドミナント戦略のあり方を考えていくべきなのでしょうか。

これから

これからは量のドミナント戦略でなく、質のドミナント戦略に切り替えていく必要があるでしょう。全体の面内の店舗数を減らし、店舗の質を向上させえいく必要があります。

セブンイレブンでも、住宅地とオフィス街で、店舗レイアウトと品揃えを変えて顧客のニーズに合わせる方針がとられています。また店舗指導料を減らしたり、夜間休業で24時間営業ができない事業主に対して、それを認めたりなど事業主に対するアプローチもあります。

これから時代が変わりゆく中でコンビニの経営方針も大きく変わっていきます。もしかしたらコンビニ業界の優劣も大きく変わってくるのかもしれません。


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