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詩/0番ホーム

「0番ホーム」

外へ出るのも
若いうちだからと

じゅうはちの僕は
0番ホームから旅立った

車窓の景色は
曖昧な記憶でしかなく

目を閉じて浮かぶのは

時折の振動で途切れる
アラン・シルベストリの旋律

憧れが呼び止めた
車内販売の珈琲とサンドイッチ

何度も確かめた幾重の切符

ホームで手を振る
母の顔とみんなの顔

音のないトンネルに映った
片肘をついた半透明の自分

不安の文字には
ワクワクとフリガナを振って
何年も旅を続けた

アナウンスが聞こえる度に
自分の居場所と向き合って
何度も何度も乗り換えてきた

今僕は壁のカレンダーを
何度も何度も眺めている

大人になれば
大人になれると思っていた

気がついたら
0番ホームはなくなってしまった

何度も何度も確かめた
幾重の切符は1枚もなかった

手のひらを眺める
じゅうはちの僕の憧れはきっと

車内販売の
珈琲とサンドイッチ


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