見出し画像

「ママの夢ってなぁに?」


まさかこの歳(アラフォー)になって、そんなことを聞かれるなんて、、、
思いもよらなかった。

「夢」って・・・子どもの頃に見るものって、誰が決めたのか(笑)。いやいや、そう決めつけていたのは紛れもない自分自身で、そんな事実にハッとさせられる。子どもの何気ないひと言ってすごいなぁと。

でも、その何気ないひと言をもらえたおかげで、“私の今からの夢って何だろう?”とふと考え始める。

子どもの頃、作文や感想文を書くのが大好きで、原稿用紙に向かうと心がときめいた。自分の想い、感じたことを書くってなんて楽しいんだろう! そんな快感に取り憑かれたのは、きっと口下手だったからなんだろうなと、今ならわかる。なかなか思っていることが言葉として発せず、いつも遠慮してしまうし、譲ってしまう。強く出られない子どもだったから、自分の考えや想いがまとめられる時間のある「書く」という行為は、とても心を穏やかにさせてくれた。

そして、自分で書くだけでなく、読書に没頭していく。両親に漫画を禁止されていたものの、小説なら何冊でも買ってくれるという約束を取り付け、図書館の本を片っ端から読み、本屋でも棚買いしたい衝動を抑えながら、毎回行くたびに数冊の本を手にして帰ってきた。

そうやって文章や本に浸っていたせいか、“編集者になりたい!”と思うようになるまで、そう時間はかからなかった。そこから、私の人生は逆算が始まり、出版社に入るためにはどうすべきなのか? 高校は? 大学は? 兎にも角にも4年制大学は出ないとならない。それも有名大学でないと入れない・・・そんな現実を突きつけられ、当時(いやその後も・・・)得意ではなかった勉強に悪戦苦闘することになるのだけれど(苦笑)。

そうして、なんとか出版社に入り、念願の編集者になった。仕事は過酷だけれど、その分、とても楽しかったし、やりがいもある。覚えること、経験することすべてが刺激的で、覚えたい! そんな一心だったなぁと思う。

けれど、会社を辞め、フリーランスになり、もうベテランと言われる域に入ってきた編集者業。いろんな経験をし、引き出しも増え、対応できることも格段に増えたと思う。子どもに言われた「夢ってなぁに?」のひと言によって、あれ? このまま編集者業をしていくんでいいだっけ? そんな疑問が湧いてきた。言われなければ、そんな疑問すら湧いてこなかったかもしれない。


そうか! 今でも夢をもっていいんだ!!


それが、率直な私の感想だった。幾つになったから、もう人生のレールは決まっている・・・ということもないし(そんな穏やかなご時世でももうないし)、大人だからってチャレンジしちゃいけないわけじゃない。子どもが嬉々として、「将来はね、電車の運転士さんになりたい!」と話しているのを聞くと、「ママはね、○○がしたいんだよね!」と笑顔で言い合いたい、一緒に叶えようね! と言いたい、そんな気分になってきたのだ。

そこから、マインドマップで自分の想いを整理したり、何がやりたいのかをよくよく考えるように。年齢を重ねてきて、なんとなく思ってきた、“そろそろ世の中に還元していく年齢なのでは?”というカタマリみたいなものが強くあることが認識できるようになって・・・

私が編集者人生の中で取材など、培ってきた知識や情報は、その時々で誌面に反映させてはいるものの、すべてを書き切れるわけはなく、これも書きたかったけれど、入りきらなかった・・・ということも少なくない。私の知り得る知識なんて微々たるものかもしれないけれど、知らない方も多い事実もかなりある。専門家はたくさんいるし、そのレベルには追いつけないけれど、小難しいことを誰にでもわかりやすく、専門分野を超えて(特に肌もカラダも繋がっているものなので断片的な情報よりも繋げてみないと包括的に把握できないことが多いから)、上手く体系立てて伝えられる“場”がつくれないものかと、ずっと考えてきた。ともに学び、ともに経験し、お互いが高め合っていける場を・・・


誰もがわからないこと、知らないことが気軽に聞けて、知ることができる。知っていたら、もっとより良い人生が送れていたのに・・・ということがなくなる世の中にしたい。これは自分が妊婦だったときに痛感したこと(苦笑)。子育ては誰に習うわけではなく、急に「お母さんだからね!」と世の中に放り込まれたような感覚だったから・・・産んでしまってから調べるのでは遅く、しかも情報はまとまっていないし、自分が知る由もないことが後から発覚・・・なんてことも日常茶飯事。いったいどうしろと? と知らない自分を何度呪ったことか。でも、子どもにそんな自分の無知で何か不都合が起きたらと思うと、命を預かることの怖さをずっと感じてきたから、、、産前に知っておきたいことはまとめておいて!と思ってしまうのだ。


人生は長いようで短い。何かを為すには短すぎる。今なら、本当によくわかる。私の残りの人生でどこまでできるかはわからないけれど、


「後世のためにできることをママはやり遂げたいんだよね!」


そう、自信を持って、子どもに伝えることができた。子どもがどこまで理解したかは不明だけれど、ニコッと笑って「ママも夢があったんだね!」と言われて、本当だなぁと、思わず私もニコッと微笑んだ。


“君のおかげで、また夢がもてたよ! 産まれてきてくれてありがとう”と、何度目かわからないお礼を子どもに伝えれられて、涙が出そうになった。

あぁ子どもに気づかされることってたくさんあるなぁ、きっとこれからも私たち大人のいろんな刺激をくれるんだろうなぁと、もう感謝しかない。あと何年、一緒に暮らせるのかわからないけれど、これからも楽しく、クリエイティブな時間をこの子を過ごして行きたい、そう強く思った出来事・・・

きっとずっと忘れない出来事だろうな。



この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?