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【5歳】褒められる喜び

次の舞台は、5歳

2回目の国立劇場にて「羽根の禿」

幼稚園にも通い始め、大好きなお友達や先生方が

舞台に来てくださる1日でした。

2歳の初舞台では泣いてしまったお支度ですが、

今度は大丈夫でした。

たくさんの方に助けていただきながら、舞台へ。

たくさんのお稽古を重ねて、うたを覚えて、振りを覚えて...

それでも、1回の舞台で学ぶことはたくさんありました。

お稽古着とはまるで違う感触。

全身にずっしりとした重厚感、でも包まれているような安心感もありました。

初めて感じた、かつらの重み

つい後ろにそっくり返りそうになりながらも、

視界のそばで、飾りがちらちら揺れて輝いていることを感じながら、

心踊る気分でした。

初舞台同様に、照明のあたたかさを感じました。

新しい発見は、お客さまの声でした。

のれんから顔をのぞかせるところから始まるこの舞台。

もし、あの時私が観客側で見ていたとしたら、

立派な大道具から顔をのぞかせた5歳の子供は想像以上に小さく見えて、

ついそのサイズ感を微笑ましく見ていたと思います。

冒頭の登場シーン、引き抜きで赤から白へ瞬時に衣裳が変わる場面、

一生懸命、父に教わったことを出し切ろうと踊っていた瞬間、

当時ご覧いただいたお客さまの反応を、ひとつひとつ感じながら踊っていました。

今考えてみると

出演者が一生懸命踊る、それに対してお客さまの反応が返ってくる

リアルタイムで、その場でしか共有できないものがある生の舞台は

とても尊いものだなと感じます。

あの時声を出して反応してくださったお客さま一人一人の声や拍手を、未だに覚えています。

そしていちばんの出来事は、舞台が終わった後

見に来てくださった幼稚園の先生方が楽屋にいらしてくださり

たくさん声をかけてくださったことでした。

いつもの自分を見守ってくださる方々に

頑張ったことを、褒めてもらえる喜びが

とても自信になりました。

同時に舞台の楽しさを、またひとつ見つけた瞬間でもありました。

今は自分の経験を糧に活動しておりますが、

子供舞踊塾の子供たちが晴れ舞台を終えて

大切な人に褒めてもらえる瞬間の笑顔がたまらなく嬉しいです。

日本舞踊家 有馬和歌子





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