雑感:ビジネスモデル×アイドルの恋愛禁止

 どうも!おはようございますからこんばんわ!まで。
 私自身、10代~20代前半までは女性アイドルが好きでした。女性アイドルのビジネスモデルを巡っては、業界内の暗黙の了解としてアイドル活動の間は恋愛禁止が広まっていましたが、この恋愛禁止を巡って今年2つの両極な反応が示されることとなったニュースがあります。

 一部ではあの報道の後に他のメンバーの発言(ツイート)が炎上したり,事実上の卒業という展開になるグループがある一方で、おめでとう!という言葉が絶えないケースもあるといったように、こうも両極端に分かれるんだぁという印象を覚えました。今回はこれを切り口にして書いてみたいと思います。

1.グループのコンセプト

1-1.AKB48

 今は下火傾向であるAKB48ですが、東京・秋葉原のAKB48劇場での地道な活動からスタートし、それまでの既存のアイドル像としてあったテレビやコンサートだけの存在に留まらないアイドルとしてCDを買ってくれたファンや劇場に足を運んでくれたファンへのファンサービスを熱心に行うといった形で疑似恋愛感を売りにしてファン層を固めていったのがAKB48をはじめとした48グループの基本コンセプトにあると思います。この世界観は、作家.朝井リョウの小説『武道館』で描かれている世界観にも符号する部分はあると思われるのと同時に、オリコン年間ランキングでは2011年と2012年に年間トップ5にAKB48の楽曲が全てランクインされる程です。

1-2.ももいろクローバーZ

 私もぼんやりとした理解であった当初はアイドル色が強めなのかな?という印象を持っていたのですが、調べてみると先述しました朝井リョウの小説『武道館』で描かれているようなアイドルストーリーを基礎とした活動を主流にしているのではなく、ライブパフォーマンスを基軸とした活動をしているようで、故に音楽コンテンツとして売り上げ実績としては乏しい反面、知名度においては老若男女問わず一定の知名度を誇っているとの事です。

2.考察

 私なりに今回のこの反応の違いを比較してみて思うのは、積み重ねてきたグループとしてのコンセプトの違いと恋愛禁止というお触れをブランドイメージとリンクさせたストーリー展開にあるのでは?と私は思います。
 コピーライターの川上徹也は著書で商品以外の物語の種として以下を挙げています。(参照:『物を売るバカ売れない時代の新しい商品の売り方川上 徹也 (著)pp66)
「志」「大義」「理念」「ビジョン」などビジネスにかける思いや考え方
「体験」「つながり」「コミュニティ」など会社、お店、商品を通じて得られるもの
「創業者の思い」「経営者のおいたち」などトップの人間性
「接客」「陳列」「商品の編集」「店員のキャラクター」など店頭まわり
「社会貢献」「地域貢献」「社員を大切にする」など世の中に役立つこと
「サプライズ」「期待値越え」「エンターテイメント」など心が動くサービス

 この中で言うところの「体験」「つながり」がAKB48グループが大切にしてきたストーリー(コンセプト)であり、それまでのアイドルが築いてきたイメージ像であるテレビ画面の中だけとかライブステージ上だけのアイドルから会いに行けるアイドルというコンセプトが生まれ、それが自ずと恋愛禁止という掟のようなものを呼び込まざるを得なくなったんだろうなと思います。一方、「体験」「つながり」という部分においてももいろクローバーZが徹底して大事にしてきたストーリー(コンセプト)がファン同士との連帯感,メンバー同士との連帯感で、一緒に大きな夢を目指していこうというところにAKB48との違いが生じて今回の反応の差につながったのではないかな?と私は考察します。

3.おわりに

 ビジネスの文脈において、今まで大切にしてきたものを踏襲するのか?路線変更するのか?というのは、なかなかに悩ましい決断であると思いますし、決断次第では今まで築き上げてきたコアなファンが離れる可能性が少なからずあります。
 今後、このアイドルの恋愛禁止という掟をアイドルビジネスとしてどう向き合っていくのか?各社各グループの動きはなかなかに見物だなと思います。


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