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詩8.『切り捨てられた1の位』
小学生の頃
四捨五入を教わった
4以下の数字たちには切り捨てられる運命があることを知った
切り捨てられた1の位はどこへ行くのか
当時の私は私を数字とするならば
5から9に入りたいと心から思った
決して1から4には入りたくない と
しかし今私は
5から9にも1から4にも入りたくはない
私は0でありたい
切り捨てられも切り上げられもしない
虚無であり永遠でもある0に
私の中の私を見ようとも
詩7.『背負うもの』
私も大空を飛んでみたい
あなたがその背中に背負っているものを下さなくては空は飛べないよ
それはわかっているけど
これは私が生きてきた道で得た大切なものなの
一体何を背負っているの?
えーっと
"普通"からはみ出さない規律性と道徳
他人の意見に自分を合わせる柔軟性と優しさ
何にでもすぐに反応する俊敏性と敏感さ
周りに頼らない自立性と忍耐力
他には…
そんな軽いもの
飛べない理由にはならない
詩6.『背中合わせ』
目を逸らしても
真剣に向き合っても
それはあなたを静かに見つめている
体を気遣って走ろうが
一日中ゴロゴロしていようが
それは常に側にいる
大富豪だろうが
ホームレスだろうが
それは平等にそこにある
酒を飲もうが
豆乳を飲もうが
それはなんでも受け入れる
わたしが気付かないだけで
それは常に背中合わせだった
いや
背中の冷たさには気付いていたのに
気付かないフリをしていただけだ
いつか自
詩5.『ふたつでひとつ』
あなたを助けたくて
両手に掬った光を
こぼさないように飲み込んだ
同時にあなたの影が薄れていった
急いで両手に影を掬って
こぼさないように飲み込んだ
同時に私の影が暗く深くなった
喉に手を入れるが
出てくるのは影だけ
必死に掴んだあなたの手の
その先がもう見えない
踏ん張ろうにも私の体は影に沈む
あなたの両手をずっと握っていれば
救えたかもしれないのに
光に頼り 光を掬ったこの手では
も
詩1.『あの子の瞳に僕は咲かない』
あの子の瞳に桜が咲く
あの子の瞳に僕は咲かない
あの子の瞳に向日葵が咲く
あの子の瞳に僕は咲かない
あの子の瞳に金木犀が咲く
あの子の瞳に僕は咲かない
あの子の瞳にスイセンが咲く
あの子の瞳に僕は咲かない
僕には美しい花が咲くことはない
けれども羨ましいとは思わない
僕には名前もない
けれども羨ましいとは 思わない
僕にはあの子のことを一年中見ていられる強さがある
けれども羨ましい
僕に