マガジンのカバー画像

俳句・短歌

21
俳句や短歌が書かれた記事をまとめています。
運営しているクリエイター

#俳句

小鳥と娘と私

小鳥と娘と私

【ゆすらうめ 吾子は小鳥になりにけり】

ユスラウメ。知らない方が多いかもしれない。中国原産の小さなサクランボのような実がつく植物だ。どうも調べたら、江戸時代から栽培されており、当時は「桜桃」と書いたが、サクランボとの混同を防ぐために「朱桜」と書くようになったらしい。

桜が咲く頃に、5枚の白っぽいピンク色の花を咲かせ、今時分に赤い実をつける。少しえぐみがあって酸っぱさと甘さがある。これが庭に生え

もっとみる
私は娘の自発的卒乳を目指している。

私は娘の自発的卒乳を目指している。

【雨だれのリズムで踊る5月の子】

うちの娘はひたすら踊っている。歌うし踊るし、飽きたら膝に乗ってきて授乳をせがむ。1歳8ヶ月になるが、卒乳する兆しは全く見えない。

この「断乳」「卒乳」問題らでひどく悩んだことがある。今だって、未だに夜泣きする娘を見ていると、無理やりにでも辞めさせたほうがいいのでは、と思う瞬間がある。それでも、私の乳をこれだけ大切に、大好きでいてくれる期間は今しかないと思うから

もっとみる
子育てと私のインナーチャイルド

子育てと私のインナーチャイルド

【薫風を 受けつつ触れる 吾子の背や】

娘が生まれて1年8ヶ月。今日は娘を抱いていると、じっとり汗ばんでくるような日だった。5月の風が気持ち良かった。
半袖を着せて抱っこしながら庭をぷらぷら歩き回っているときに、ふと強く認識させられた。

背骨がある。

いや、これまでも背骨はあった。が、赤ちゃんの頃はもっと肉がのっていた。それがダイレクトに皮膚と骨になっている。

ああ、大きくなったなぁ。

もっとみる
命、大事に。

命、大事に。

【限界に挑む蜘蛛の子 五月夜】

見えるでしょうか。
ここはお風呂です。
あなたはお風呂のお湯へダイブしようとしています。

今ならまだ間に合います。
人間からしたら無駄に沢山あるように見えてしまうその長い脚で上へと這い上ってください。
命は大事です。

と、心の中で語りかけながらnoteを書いています。

画像では赤いですが、フィルターのせいです。
どっちかいうとご本人(匹?虫?蜘蛛?)は黒いで

もっとみる

自然は最高の知育だと思う。

【吾子の手からまろび出るや実豌豆】

まろび出る。漢字で書くと「転び出る」。
転がり出る様子のことです。
個人的に、この「まろぶ」という言葉がなんとなしに好きです。
ぽぽぽぽんと慌てて転がり出て行くイメージがします。

実豌豆。実エンドウ。いわゆるグリーンピースのこと。
サヤエンドウとグリーンピースは同じもので、豆が小さいまま収穫したものがサヤエンドウ、豆が大きくなったものがグリーンピースです。

もっとみる

いっぱいいっぱいな日もある。

【苦しみも脱げよとぞ思う蛇の殻】

初夏の陽気を通り越して夏じゃない?と思った1日でした。
風が強かった。

蛇の脱皮が始まる時期ですね。
蛇の殻、蛇衣(きぬ)を脱ぐ、蛇の衣、など、これらすべて蛇の脱皮を表す初夏の季語です。

蛇の衣を見たわけではないのだけれど、なんだか今の状況とかにイライラし、苦しさも一緒に脱げてくれたらいいのになーと思ってしまいました。

無性にイライラしたり、かなしくなった

もっとみる
ケセラセラ。

ケセラセラ。

【いたずらも涙も受けとめる聖五月】

聖五月。
聞いたことはあったけれど、いまいち意味を掴みかねておりました。
五月は聖母マリアの月だそうです。
なるほど。

最近、「私、聖母並みの忍耐力を発揮しているのでは?」と思うのが、「いたずら」と「号泣」。

イヤイヤ期に入っているおかげで、いたずらも暴力も泣き声も強く大きく逞しくなっています。
叱っても、言い聞かせても、ニコニコしながら誤魔化しにかかる。

もっとみる
ありがとう、苺。

ありがとう、苺。

【苺食う吾子は頬まで染めにけり】

初めて地元の苺農園にお邪魔しました。

平常時なら、1600円ほどで苺狩りができるこの農園。
よく地元のTVに出たり、情報誌に載ったりしています。

そんな農園も、コロナの影響を受け、1パック300円で苺を販売しています。

母の日だったので、自分の母親にケーキを買いに行った帰りに寄ってみました。
見事によく熟れた、形の良い苺が「大特価」。

消費者としては嬉し

もっとみる
かはず飛びこむ水の音

かはず飛びこむ水の音

【雨の日は五月の土の匂いかな】

雨が降りました。
傘をさして娘とともに畑へいくと、つんと土の匂いが立ち上っていました。

カエルが元気よく飛び跳ねていました。

カエルというのは、私の住んでいるところではあまり珍しいものではなく、未だに子どものおもちゃのような扱いを受けています。
しかし全国的に見ると、絶滅の危機に瀕しているそうですね。

梅雨時期になると、雨の中、道路を占拠する勢いでカエルが出

もっとみる
さくらんぼ、ありがとう。

さくらんぼ、ありがとう。

【くいくいと さくらんぼ摘む 吾子の指】

義母からさくらんぼが届きました。
義実家の庭になっているさくらんぼ。
赤くて小さくてツヤツヤとしたものが、枝付きのまま、やってきました。

昨年も少し食べさせてみた気がします。
7ヶ月のときだったかな。
離乳食から1ヶ月ほどのときでした。
潰して濾したものを飲ませたような。
でもあまり食べなかったような気がします。

今年は枝についているものを、くいくい

もっとみる
こどもの日に子どもから学ぶ

こどもの日に子どもから学ぶ

【柏の葉の 形比べる 男の子(おのこ)かな】

こどもの日ですね。
実家に鯉のぼりはありませんが、柏餅だけは準備されていました。

そんな柏餅を見て甥っ子くんが言った言葉は
「本物の葉っぱなのなんで?」

彼の通う保育園では、紙の葉っぱなのだそうです。
誤食を防ぐためなのかな?経費削減?
そのあたりはわかりませんが、本物の葉っぱだということが不思議だったようで、そーっと葉っぱを摘み、餅から剥がして

もっとみる

風の色はなんだろう。

【薫風を 頬に纏うや 葱坊主】

我が家の葱坊主は5歳。
我が家の、といっても、実際は姉の子です。
今日は遊びに来てきました。

姉の家は、旦那さんが県外へ単身赴任中。
2人の男の子をワンオペで育てています。
姉は団地住まいなので遊ばせるスペースが少なく、土地だけはある我が家にやってきました。

やや暑い中で、マルコメくんのような頭をした葱坊主たちはよく走ります。
一緒になってうちの娘もよく走りま

もっとみる
やさしい日々です

やさしい日々です

【「ねえねえねえ」「なあに」 繰り返しては 夏来たる】

もう少しで立夏ですね。
だいたい5月5日あたりだそうです。

NHKの「いないいないばあ」がマイブームな娘。中でも

「ねえねえねえ なあに?
 ねえねえねえ なあに?
 お話、お話、お話きいて
 お話、お話、お話なあに?
 なんでしょねー」

という歌がお気に入り。
とても可愛らしい歌です。

今のところ、娘が言えるのは「ねえねえねえ」と

もっとみる
春の空には昼の月

春の空には昼の月

【昼月を さす指先に 春の土】

晴れた日はだいたい娘とともに畑へ行く。
体力の有り余る1歳7か月の娘は、なかなか家の中だけでは過ごせない。
土の上を走り回り、茄子の苗を踏み折り、すくもを掘り返す。

田舎暮らしなので、土地だけはある。
カエルとミミズとクモがわらわらいる。

都会の煌びやかな雰囲気に憧れたこともあったが、今となっては畑があってありがたい。
自然が子守をしてくれる。

そんな娘が、

もっとみる