母の日に「言わぬが花」を贈ったはなし
小学生の頃、「母の日」に初めて自分のお小遣いをかき集め、カーネーションを買いに行ったことがあった。
お花屋さんに並ぶ真っ赤なカーネーションの中に1つだけ目立つ真っ白な鉢。
レアだ!これにしよう‼︎
母が喜ぶだろうと真っ白なカーネーションを買い、ワクワクしながら母に手渡した。
母は喜んだ!(ように見えた。)
大切に育ててくれた!!(ように見えた。)
それから何年も経ち、何回目かの「母の日」が過ぎてから母は教えてくれた。
「白いカーネーションは亡くなったお母さんに贈るものなの。初めて買ってくれたから気持ちはすごく嬉しかったけど、ちょっと複雑な気持ちだったの」と。
そういえば、母はなんだか複雑な表情だったかもしれない。
なんとなくベランダに置かれた鉢は違和感があった気もする。
母を喜ばせるはずが、私が喜ばされていたわけね。
今思えば。。。
*
あれから数十年。
最近はあまり店頭で白いカーネーションは見なくなった。
あの時、母は喜んで受け取ってくれたけど、私はできるだろうか?
息子に「これはね。。。」と説明しちゃったりして、お互いションボリしちゃうかも。
「言わぬが花」とはこのことだ。
お母さんありがとう。
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