あの曲とあの場所『七草と下北沢』


からだが痛くて目覚めた。寝過ぎた、と思った。

4:44。不吉だと思った。でも、西向きのはずの部屋に差す朝陽のおかげで怖くなかった。根暗だけど太陽には救われる。

朝の1時間は秒で過ぎる。5:45くらいに起きる。ZIPが始まる音が聞こえる。ミスチルの曲。ミスチルに詳しくはないけど、テーマソング、あの時間帯に流れるそのフレーズは好きだ。

通勤途中に音楽はあまり聴かない。でも今日はぎがもえかを聴いた。

初めて聴いたのは2019年10月ごろだった。少しずつ涼しくなってきたあの頃。そのころはサブスク解禁してなくて、モナレコのコンピレーションアルバムに入っていた4曲しか知らなかったけれど、どれも素晴らしい、すばらしい。和製Judee Sill だと思った。今まで、抽象的なフォークソング的な歌詞が好きだったけれど、彼女の曲はしっかりとした文章で、解釈は必要なくて、簡単にいうとわかりやすい、って思ったけど、わかりやすいのにこんなに『聴き手の曲』にすることができるのかあ、と感動した。透き通る声とクラッシックギター、素直な歌詞が当時の私には必要だった。ずっと好きだった人と付き合っているんだかいないんだか、よくわからない関係がついに終わってしまった年の秋に出会った曲たち。気持ちを投影しないはずがなかった。二回くらい下北沢にライブを見に行った。半袖だともう肌寒くなった、感動しながら一人すた丼を食べた、あの時の気持ちを今、思い出します。

『七草』という曲が好き。

命のための痛み 未来のための 骨折り損

巡る季節も運命も 馬鹿にするあなたでいて

悲しい中にも強さが感じられるところが好きです。

やっぱり音楽と季節と場所っていうのは切っても切り離せなくて、思い出したくなくても思い出してしまう、いい意味でも時には悪い意味でも大きなエネルギーになり得る。あのとき好きだった人と別れた、とか、そういう事実はいいから、自分だけの気持ちや空気感などの記憶だけで自分を満たしていきたい。

でも今朝は暑すぎて当時にタイムスリップできなかったので、また秋にリベンジしよう、あと、今日は布団で寝よう。




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