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これだけ!健康指導のコツ

今日はどちらかといえば、医療職の方や、職場で健康管理に携わる方に向けた内容です。
私が保健師として活動した、約2年間で100件以上の健康指導を行っていた経験から、特に効果があった方法をまとめます。

健康指導って結構難しくて、「なんでそんなことあなたに言われなければいけないの?」と言われたり、「そうなんですねー」と流されたり…

こちらはあなたを救ってあげたい!と思って色々準備して話してるのに…!心が折れることも多いです。

では本編へ。


健康指導のコツ

1.まずは相手を知ること

当たり前だよ!と思う方もいるでしょう。

私も保健師になりたての頃に先輩にそう言われた時、
「ちゃんと血液データも、疾患のことも調べました!」
と答えました。

でもそうではなくて…「人として」の相手を見ます。

相手の生活スタイル、家族構成、生育歴、こだわり、好きな食べ物…

面談の時間が少ない場合は、全てを聞くことは出来ません。

それでも私は、どれか一つは聞くようにしていました。

なぜこのようなことを聞くのかというと

その人の生活スタイルやこだわりなどが、からだに表れるからです。


2.「その人の場合」の問題点を探る

たとえば、暴飲暴食はせず飲酒喫煙もしない中年の独身男性。

食生活について聞くと、1日3食で、間食はなし。甘いジュースも飲みません。

でも、健康診断の結果はメタボ、高コレステロール。

原因はどこにあるのでしょうか?

さらに詳しく聞くと…

朝ごはんは飲むヨーグルトだけ。
お昼は毎日外食で、さっと食べられる麺類や丼ものを選ぶそう。

夜は遅い時間にスーパーでお惣菜を買い込んで、揚げ物を中心のメニューを食べていました。

遅い時間に食べる揚げ物中心の食生活は、目に見える摂取カロリー以上に肥満を加速させます。

さらに、お昼も一品ものを選ぶため、食事が全体的に炭水化物と脂質に偏っています。

さて、この方にはどんな指導が必要でしょうか?


3.その問題点の、原因は?

食生活を深掘りしたことで、問題点が浮き上がって来ました。でも、ここで終わりません。

その問題点にも、さらに、その人なりの原因があります。

問題点をただ指摘すると、

「お昼は丼ものよりも、バランスが整った外食にしてください。」

「夜は揚げ物を減らしてください。」

となりますが…
この方は仕事が多忙な上に、「バランスが整った食事」の知識もありません。

そもそも、どうして今のような食生活になっているのでしょうか?

まず、お昼に一品ものを選ぶことについては、
仕事は外回りが多く、昼食を食べる時間もなかなか取れないそう。

なるべく早く食べられるように、チェーン店で牛丼やうどんを食べることが多くなったそうです。

夜ご飯が揚げ物中心になることについては、
仕事が終わるのが毎日遅いそうで、閉店間際のスーパーに駆け込むと、残っているお惣菜は揚げ物ばかりということです。

そのため、朝は胃がもたれて食べられず、飲むヨーグルトを通勤途中のコンビニで買って、職場のデスクで飲むそうです。

さて、根本的な原因が見えて来ました!


4.その人に合わせたアドバイスを選ぶ

1日3食、間食なし。飲酒喫煙もしない中年の独身男性。メタボで高コレステロールの健康指導です。

一見、原因が見つけづらい事例ですが、よく話を聞くことで根本的な原因が見つかりました。

具体的なアドバイスとしては、その人の生活スタイルに合わせた内容が効果的です。

食事を改善することにフォーカスを当てると…

「お昼ごはんをさっと食べられるもので、バランスよく食べる方法」

「夜ご飯を、帰りが遅くなっても健康的に食べられる方法」

となります。

今回は事例の内容が複雑ですが、どんな相談内容でもこの方法が効果的です。

この事例の場合、

お昼ご飯はコンビニで、「サラダ+おにぎり+サラダチキン」を購入し、仕事で使う車の中で食べることにしました。

夜ご飯は、カット野菜や冷凍野菜を活用したり、チルドで調理済みの魚を取り入れることにしました。

聞けば、これくらいなら出来そう、とのこと。

いきなり「自炊してください!」などとハードルの高いアドバイスはしません。

ご本人の意見とすり合わせ、理想と現実の中間をとります。

この方は、3ヶ月後に2キロの減量に成功。

6ヶ月後にはさらに3キロ減量し、体が軽くなったのでやる気が出て、休日にジムに通うことにしたということでした!



5.いちばんのコツは、相手に興味を持つこと

紙面に出る検査結果や患者情報だけだと、表面的なアドバイスしかできず、結果につながりません。

でも、短時間でも、面談で「なぜ?」「どうして?」を深掘りすれば、個人に合ったアドバイス考えることができます。

その人に寄り添って話を聞くことで、指導のヒントになる情報がどんどん引き出せます。

「うわー、お仕事大変なんですね」
「夜遅いと、ご飯を作る気はなくなりますよね」

などと、寄り添った声がけは効果的です。

私も、場合によっては「居酒屋の女将さんレベル」で相手のお話を聞いていました。

健康指導で行き詰まっている方、はじめての健康指導でやり方がわからない方は、是非このような方法を試して見てくださいね。

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