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関西学院中学部&高等部の思い出

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学生時代、関西学院中学部 関西学院高等部 の思い出にまつわるエッセイです。還暦を迎える2020年、ウイルス自粛のゴールデンウィークに、記録目的で、アップしていこうと考えました。同…
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#エッセイ

エッセイ 高等部の思い出 【隣りの席】

エッセイ 高等部の思い出 【隣りの席】

 中学部の3年生の時の悩みは、今の金欠と同じくらいにわかりやすかった。

 それは、中学部から高等部へ進学できるかどうかの一点。

 私が通っていた中学は、私学のいわゆる名門校で、中高大の10 年一貫教育が売りだった。

 私は小学生、高学年の時は秀才だった。
 さらに、3、4年生の時は天才。
そして低学年では神童。
 幼稚園以前はまさに神の子か妖精と言われた。
 時代が過去に遡るほど、まば

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エッセイ 陽だまりの町

エッセイ 陽だまりの町

 関学高等部のクラブハウス。
 我がサッカー部の隣りが、ラグビー部の部室だった。

 授業が終わり、ユニフォームに着替え、スパイクを履いて通路に出ると、左側からラグビー部の黒田が声をかけてきた。

 黒田と私はクラスが同じで、彼は私と大違いの、いわゆる"ええしの子"(お金持ちの子供)で、育ちの良さが全面に沸き出ている嫌味のない好青年だった。

 ふと見れば、黒田の後ろに、見慣れない顔がある。
 黒

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エッセイの素(病床日誌 7)完結

エッセイの素(病床日誌 7)完結

その7 《某月某日》

 最近特に思う。

「人生は、燻製(くんせい)だな」と。

 そういえばその昔、高校の遠足かなんかで津山の博物館を訪れたさいに、当時の英語のN先生(故人)が、ヒグマの剥製の展示の前で、

「クボくん、スゴイ"くんせい"だね」と言ったことがあった。

 さすが英語の先生だと感心した。

 また同様に、我が恩師である柔道の豪傑M先生が、これまた、クマに勝るとも劣らないゾウ

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