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久保研二
2020年5月17日 15:07
関学高等部のクラブハウス。 我がサッカー部の隣りが、ラグビー部の部室だった。 授業が終わり、ユニフォームに着替え、スパイクを履いて通路に出ると、左側からラグビー部の黒田が声をかけてきた。 黒田と私はクラスが同じで、彼は私と大違いの、いわゆる"ええしの子"(お金持ちの子供)で、育ちの良さが全面に沸き出ている嫌味のない好青年だった。 ふと見れば、黒田の後ろに、見慣れない顔がある。 黒
2020年5月6日 10:07
【杉中洋成のこと】 中編 久保研二 著 夢と現実の交錯【一】 その男からの電話は必ず、「オマエか?俺や」 というふうにかかってくる。 この、第三者が聞けばとんでもなく無意味で曖昧なやりとりが、やたらと本人のお気に入りだった。 私にそんなふうに電話をかけるのが余程嬉しかったので
2020年5月5日 19:20
中学の体育の授業で1500m走の計測があった。不幸にも、私はその日に限って運動靴(トレーニングシューズ)を忘れた。 サッカー部の部室に常備していたつもりが、ロッカーの中にはなぜか底に6本のポイントをはめ込んだサッカー専用のスパイクしか見当たらない。 数日前、一度洗って乾かそうと家へ持ち帰ったことを思い出して悔やんだ。 その日通学のために履いていったのはスエードのハーフブーツ。私は特に