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里都まち♡なかいわいがやサロンレポートvol.1│未来予測はできない。ならば未来を今からつくろう

「中井町農村環境改善センター」の建て替えに伴い、新たな生涯学習施設のあり方を考える「里都まち♡なかいわいがやサロン」が6月14日に始まりました。初回は61名の町民が集まり、新しい施設になにを求めたいかを対話する時間を過ごしました。

まず、お互いの考えを知る時間に
気温30度近い夏日だった6月14日、61名の町民が「中井町農村環境改善センター」で行われる「里都まち♡なかいわいがやサロン」に参加しました。サロン開始時間には事前申し込みの2倍以上の人が集まり、運営スタッフの期待を超えるエネルギーが満ちていました。

会場の様子。お菓子や飲み物も用意されており、リラックスした雰囲気です

この日、レクチャーとファシリテーションを務めたのがアカデミック・リソース・ガイド株式会社(arg)代表取締役CEOの岡本真(おかもと・まこと)さんです。図書館などの公共施設のプロデュースを15年以上続け、10館以上の公共施設が建つのを見届けてきました。

レクチャーとファシリテーションを務めたアカデミック・リソース・ガイド株式会社(arg)代表取締役CEOの岡本真さん

「結論や合意を見出すのではなく、お互いの考えを知り合う日にしたい」と冒頭で岡本さんが目標を共有しました。続けて「生涯学習施設とはなにかをまず考えましょうか」とレクチャーが始まりました。

一般論として、新設する生涯学習施設は最低70年は使われます。70年後の未来を予測して、施設のあり方を考えられる人はいるのでしょうか? 岡本さんは、パーソナルコンピューターの生みの親であるアラン・ケイの「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という言葉を引用し、「『私たちの町にこんな未来をつくりたい』ということを考えてみましょう」と参加者に伝えました。

中井町の新しい生涯学習施設は図書館、郷土資料館、ホールなどの多様な機能を併せもったものになる予定です。生涯学習施設とはなにかと考えるときに、岡本さんは「法律を学んでみてほしい」と言います。

たとえば、1950年に制定された図書館法には、図書館の目的の一つとして「レクリエーション等に資すること」と明記されています。岡本さんは図書館法を評価しながら「生涯学習施設について脳に汗かいて考えている人がいる。先人の知恵から学んで新しいものをつくってほしい」と話します。
 
岡本さんは、約20分のレクチャーで「未来」や「次世代」というテーマを強調しつづけました。
 
「『子どもの声は未来の声』。これは図書館の世界では有名な言葉です。なにかを決めるときには若者たちの声に耳を傾けましょう。私も50代になってみて分かりますけれど、常に若い世代は正しく、私たちよりも優秀です。私たちが苦労してつくったこの社会で学んでいるんですから」

続けて、前向きなメッセージでレクチャーを結びました。「先人が中井町に残した施設を存分に使い倒し、学び、そして本当に必要なもの絶えず考えてほしいと思います」


みんなが考える生涯学習施設とは?
レクチャーが終わると、参加者一人ひとりがA4サイズの紙に「私が考える生涯学習施設」についてを記入する時間が5分間設けられました。文章でも絵でも、表現は自由です。その後、テーブルごとに参加者が自分のアイデアを共有して話し合う「わいがやタイム」が始まります。

まずは自分が新しい生涯学習施設でやりたいことを紙に書き出してみます

あるテーブルでは、自分の子どもや友人家族の子どもたちを連れてやってきた参加者がこう話しています。

「やっぱり子育て支援拠点と一緒であってほしい。あと、せっかく生涯学習施設ができてもちょっと遠くに住む子は来られないじゃん。だから、送迎サービスがあったら最高。周りにキッチンカーが来ていて、夕飯が買えたらうれしいな」

この参加者は話が進むにつれ、大阪府堺市にある児童館を例に出して理想像を共有します。

「『ビッグバン』っていう児童館では高齢の方が子どもたちの見守りボランティアをやっていた。その方たちは『子どもたちのためだから』ってキラキラしてるの。子どもたちのためでありながら、多世代が生き生きできる場所ができたらいいね」

このテーブルには子育てや働き盛りの世代が集まっており、「宿泊できる研修所」や「制限なくスポーツを楽しめる体育館」などの意見が飛び交いました。一方、大学生が集まるテーブルからはこんな声が聞こえてきました。

「Wi-Fiは必須じゃね? 絶対必須。あとは、コンセント!」

ここのテーブルでは、勉学に集中できる図書館や自習スペースがほしいと話し合っています。図書館を擁する大和市文化創造拠点「シリウス」や茅ヶ崎市、海老名市など県内の図書館を利用した経験から、ネット環境やカフェ、コンビニもある開放的で便利な図書館を求める声がありました。

そして、とにかく自由に想像を膨らませているのが小中学生たちです。

A4の紙に書き込む子どもたち

「めっちゃきれいなトイレ」、「プール!!」、「サバイバルゲームができるところ」「学校終わりにみんなで集まれるところ」……。カラフルな油性ペンで間取りのようなイラストを描いていました。
 
サロン開始から1時間ほど経ったころ、各テーブルで話し合った内容を記録していく時間をとりました。テーブルに配られたA3サイズの紙に、そのテーブルで話し合ったことや書き残しておきたいことを記入します。

A3の用紙に書き込むときも話が絶えません。「自分が将来子どもを連れてきても楽しめる場所がいいなあ」「障害のある人や外国籍の人でも使える場所を」という言葉も
マインドマップを書き込む子どもたち。岡本さんが「『子どもの声は未来の声』とはこのことですよ」と絶賛しました

サロンの最後に、岡本さんがマイクを持って「とにかく1つだけ伝えておきたいこと」を各テーブルに聞いてまわりました。参加者全員に、各テーブルでの話し合いの内容が共有されます。

町民がそれぞれのグループの話し合いの内容を参加者全員に向けて話します

ある参加者は、「生きること」、「生活が楽しくなること」をテーマに意見をまとめて共有してくれました。

「駐車場や庭では、中井町でものづくりをやっている人がマルシェを開いていて、キッチンカーの出店やイベントもあるといいなって思います。私は、子どものころから図書館や博物館が好きで、自分の将来も図書館で見つけました。だから、本がたくさんあってほしいし、子どもたちの自習スペースもあったらいい。上階には音楽やダンスの練習ができる防音のレンタルスペースとか。あと、高齢の方の『家で心許なく過ごしている』という意見を聞いて、みんなが集まって料理をつくってご飯を食べられる場所があるといいかな……」

そのほかにも「気軽に毎日来られる食堂・カフェ」や「グランドピアノがある大きなホール」、「天体観測ができる場所」など、それぞれのユニークなアイデアが次々と出てきます。全てのテーブルのアイデアを聞き終わった岡本さんが初回サロンを締め括ります。

「冒頭で言ったように、町内にいろんな人がいて、それぞれの願いや理想をもっているんだとか、自分と違う人もいると気づけたのなら、それに意義があると思います。これからも11月まで毎月のように対話の場をもっていきます。ぜひまた集まってください」

初回サロンは大盛況で終了。「生涯学習施設」をキーワードに、町の未来を想像する時間となりました。次回は7月20日(土)の「先進事例を見に行こう!」。東京都西多摩郡瑞穂町の「瑞穂町図書館」などを見学し、新しい生涯学習施設のヒントを見つけにいきます。

最後は参加メンバー全員で記念撮影しました

参加者が各テーブルメンバーで記入したA3用紙は以下に公開! 今後の議論の参考にご覧ください。

撮影:菅原 康太

次回以降開催概要

2回目:「先進事例を見に行こう!」
キックオフメンバーの中から参加者を募りました。
日時:7月20日(土)8:30〜17:00
場所:東京都西多摩郡瑞穂町公共施設等

※中井町農村環境改善センター前で集合の後、バスで東京都西多摩郡瑞穂町へ移動します。

3回目:視察報告をもとにみんなでディスカッション
日時:8月9日(金)18:30~20:00
18:00から開始までプレサロン(フリートーク)オープン
場所:中井町農村環境改善センター

最新の情報は、中井町のホームページSNSをご覧ください。

中井町公式Instagramアカウント
https://www.instagram.com/nakai_town/


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