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出発地点|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#0

2015年7月28日〜29日

パリ〜バイヨンヌ

巡礼の旅はのじまりはフランス・パリから。

初日はパリ郊外のゲストハウスに泊まり、翌日巡礼のスタート地点フランスとスペインの国境の町サン・ジャン・ピエ・ド・ポーに向かうため、夜行列車でバイヨンヌに向かいます。

オステルリッツ駅21時40分発、明朝バイヨンヌ駅到着の列車はほぼ満席状態。日本で予約しておいたチケットで無事乗車し、生まれて初めての夜行列車に興奮しながらも、眠りにつきました。

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2015年7月30日

バイヨンヌ〜サン・ジャン・ピエ・ド・ポー

かすかにフランス語のアナウンスが聞こえ、列車が停まる。

時計は午前8時36分、定刻通り。ホームに降りると「BAYONNE」の文字を見つけ、無事に目的地のバイヨンヌに到着した胸を撫で下ろします。

ここからさらにスペインとの国境にある村、「フランス人の道※」の出発地点サン・ジャン・ピエ・ド・ポー(以下サン・ジャン)に向かうため、バスに乗り換えです。

※スペイン巡礼はほかに「ポルトガル人の道」「銀の道」など様々なルートがありますが、「フランス人の道」がポピュラールートとされています。ルートは違っても目指すゴールは同じ「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」です。

バイヨンヌ駅の窓口で、サン・ジャン行きのチケットを購入。窓口のお姉さんは私の英語力を察してなのか、バックパックを背負っていたからなのか、ほとんど何も言葉を発していないのに、11時発サン・ジャン行きのチケットを用意してくれました。

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出発まで2時間あるので、バイヨンヌの町中に行ってみることに。車窓に見えた二本角の教会を目指します。

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バイヨンヌの町の中心は川向こうらしく、川を渡ったところからから二本角の教会を中心に小高い丘のようになっていました。

どうやら今日は町でお祭りがあるらしく、橋ですれ違う人々はみな白い服に赤いスカーフ。お祭りスタイルがおしゃれです。

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石畳の道、中世の雰囲気が佇む南フランスバイヨンヌの町並み。町の人たちは忙しそうに、でもとても楽しそうに足早に歩いている。お祭りが始まる朝の静かな熱気が人々や町中にあふれていました。


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11時、定刻通りに出発。満席。

山道を進むこと1時間半、山間の村サン・ジャン・ピエ・ド・ポーに到着。バスに乗っていた乗客のほぼ全員の目的地であり、八割以上は巡礼者、そのうちのおそらく半分以上はひとり旅のようでした。

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まずは巡礼事務所へ行き「クレデンシャル」を手に入れなくてはいけません。

クレデンシャルは、巡礼者であることを証明するためのパスポートのような役割をもっており、巡礼を行うのにもっとも重要なアイテムです。

なぜならルート沿いにある巡礼宿には、このクレデンシャルがないと宿泊できないからです。巡礼宿は「アルベルゲ」と呼ばれ、1泊5ユーロ〜15ユーロと格安で泊まることができます。

クレデンシャルは宿や教会などでスタンプを押してもらい、旅の記録をつけていく、いわばスタンプラリーの台帳のようなものでもあります。このスタンプによって巡礼証明書を手に入れることもできます。

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巡礼事務所はいろいろな国の人でごった返していました。教会のような空間をイメージしていたけれど、椅子と机が並べられたふつうの事務所のような場所でした。

クレデンシャルを発行してもらうにあたって、何を聞かれるのかわからず緊張していました。キリスト教の巡礼者として相応しくないと見なされたら発行してもらえないかもしれない・・・。なぜ巡礼をするのか聞かれたときに答えられるよう、頭の中でへたくそな英語をこねくり回します。

いよいよ私の順番に。カウンターで受付をしてくれたのは白髪の恰幅のよいおじいさんです。厳しそうなブラウンの目がわたしを睨みつている(ような気がする)。

おじいさんはカウンターにあるプリント用紙を前に、巡礼中の心構えや翌日のピレネー山脈越えについて淡々と説明をし(英語が早くて半分ほどしか聞きとれなかったけれど)、サインを要求。発行手数料を支払うと、そのまま何も聞かれることなくクレデンシャルを渡してくれました。

え?おわり?

あまりにも事務的であっけにとられたけれど、何はともあれ無事に発行してもらうことができてよかった!これで晴れてペリグリーノ

※巡礼者のことをペリグリーノと言います。

事務所では巡礼者の証でもあるホタテ貝も手に入れました。ホタテ貝はカミーノ・デ・サンティアゴのシンボルマークであり、巡礼者はバックパックなどにホタテ貝を吊るして歩くのが習わしとのこと。

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巡礼者としての準備もおわり、事務所で紹介してもらった巡礼宿(アルベルゲ)に向かいます。

はじめて泊まるアルベルゲは、真っ白のシーツがかけられた2段ベッドが並ぶ大部屋がひとつ、清潔なシャワールームとダイニングルーム。

最初はちらほらだった宿泊者も、シャワーを浴びて戻る頃にはベッド上段までいっぱいに。英語、スペイン語、その他様々な言語が飛び交います。

出身も、年齢もばらばらだけれど、全員に共通しているのは、スペイン巡礼を志し、今日が初日ということ。勇気を出して会話に加わってみようかなと思うほどの気力も体力も残っておらず、異国の会話を聞きながらうとうととそのまま眠りに落ちていきました。

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