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牛追い祭と9キロの修行|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#6
2015/8/5
ロルカ〜エステーラ〜ロス・アルコス 31キロ
5時起床。6時前に出発。あたりはまだ真っ暗で、ヘッドライトでホタテ貝を探しながら歩く。
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昨日聞いた、牛追い祭りのあるエステーラまでは9キロ程。お祭り開始は9時からとのことなので、8時半到着を目指します。
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カミーノを歩き出してから、9キロぐらいなら余裕で歩けるようになってきました。
のんびり歩いてもお祭りには間に合いそうだし、今朝は急がず、ゆっくり進みます。後から来た足の速い欧米人にガンガン抜かされていきます。
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8時半エステーラに到着。
カミーノの道標であるイエローアローをはずれ、街の中へ。古い建物が並ぶ旧市街のメイン通りに出たところで、昨日一緒に歩いた韓国人のトクチンと再開し、一緒にお祭り会場に向かいました。
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メイン通りを上がっていくと広場のような所に。お祭りのメイン会場のようで、牛が走る道が大きな柵で区切られ、柵の外にはクレープ屋などの露天が並んでいました。街の人は皆、話したり、食べたり、楽しそうにはじまる時を待っています。
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柵の空いていた場所に陣取り、露天で買ったコーヒーとトクチンにもらったオレンジでお祭りの始まりを待ちます。
街の人は老若男女に関わらず、ほぼ全員が赤と白のコスチュームに身を包んでいました。スカーフがとってもおしゃれ。フランスの南・バイヨンヌも同じ赤と白の衣装だったな。
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![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571304/picture_pc_b9843a908ccbcb1e23b73d7922f0b3c3.jpeg?width=1200)
しばらく待っていると、奥の細まった道の方から歓声が聞こえました。柵越しに向こうを見ると、何人かの男性がこちらに向かって走ってきます。その後ろに7、8頭の牛が迫っている。
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![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571307/picture_pc_a169371669a16c4e7eb8b2b1de449cfa.jpeg?width=1200)
牛はあっという間に目の前を通り過ぎて行きました。
思っていたより小さい牛だったけど、目の前を疾走する牛にテンションが上がります!
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牛は何度か走るらしく、もっと迫力ある牛を撮りたいと柵を飛び出して建物の柱の影にスタンバイ。
正面から走り来る牛の迫力にキャーキャー言いながらバッチリ撮影できました。
地元のおじさん達と一緒になってゲラゲラ笑います。たのしい!
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トクチンはパンプローナのサンフェルミン(牛追い祭り)を見たことがあるらしく、それに比べるとかなり小規模とのこと。パンプローナは世界的に有名なお祭りだしね。
でも、これぐらいの大きさのお祭りのほうが、地元の人と楽しめて面白いねという話をしました。
![画像16](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571337/picture_pc_22a2f3181830874af4d9efea9be91e24.jpeg?width=1200)
エステーラを後にし、今日はこの後22キロ約6時間の歩きです。いつもより長い距離、寄り道もしちゃったし大丈夫かなと思いながらも、一歩一歩進むしかない。
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エステーラを出発してすぐのところで、カミーノの中で有名な「イラーチェの泉」を発見しました。昨日に引き続きRPGっぽい名前です。
この辺りはワインが名産らしく、イラーチェというワイン製造会社が巡礼者のためにワインが無限に出てくる魔法の蛇口を用意してくれているとのこと。
赤ワイン飲み放題!※
まだ午前中だというのに、陽気なペリグリーノ達は持っていたグラスやコップにワインを並々注いでいます。中にはペットボトルに汲んでいる人も。
わたしはアルコールにはめっぽう弱いのですが、せっかくなのでグラスを借りてひと口。うーん。酸っぱい。
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※コンコンと湧き出る魔法の蛇口というわけではなく、その日の分がなくなり次第終了らしいです。飲みたい方はお早目に。
魔法のワイン蛇口では、見た顔何人かと再開しました。カミーノでは離れては、再開を繰り返します。
![画像19](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571383/picture_pc_41075ff83f8ba3032f3fdb87eedffbca.jpeg?width=1200)
エステーラからしばらくはトクチンと話しながら歩きます。穏やかな性格の彼は、わたしの下手くそな英語に根気よく付き合ってくれるので、話しがしやすい。
段々と彼のペースについていけず、ちょっと一息するタイミングで先に行ってもらうことに。別れ際に「お腹が空く前に食べなきゃダメだよ。」とナッツをたくさんくれました。
誰かと歩いていると、いつも別れ際に食べ物をくれます。わたしが頼りなさそうからなのか、それともみんなただひたすらに優しいのか。きっと両方なのでしょう。
小休憩していると、初日に出会ったハッセルブラッドを首にかけたポルトガル人ミゲルと再開しました。ミゲルは「オラ!」と声をかけてくれ、オレンジを半分くれました。今日は朝から貰ってばかりです。
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![画像22](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571410/picture_pc_6f4811271b7945cf1e621756734f4669.jpeg?width=1200)
ミゲルとも別れ、午後からはひとりで歩きます。朝曇っていた空は、完全な夏の空になり、強烈な西日に照らされ、露出した肌が焦げつきそうです。
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登る下るを繰り返し、ゲームに出てくるボスの城の建つ丘を横目に見ながらひたすら歩きます。
丘を越えると、遮るもののない小麦畑の中へ。ジリジリと太陽が焼けつける。日焼け止めを塗り直す気力もなく、無常な紫外線に抗う力はもう残っていません・・・。
![画像23](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571416/picture_pc_4f8ee663f13be34f88ab474e6fd0dd0a.jpeg?width=1200)
あと9キロ。
今朝の余裕はどこにいったのだろう。朝はあんなにも軽やかで、何の苦労もなく辿り着けたのに・・・。
木陰に水場を発見!節約しながら飲んでいた水を一気に飲干します。補充しようとしたら、故障中の張り紙が。何てこった!よく見ないとダメですね。泣きそうです。
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今日の目的地ロス・アルコスはそこそこ大きな街のはずなのに、歩いても歩いても影も形も存在を感じません。
水もなくなり、修行僧になったような気持ちです。のろりのろりと歩くわたしを、たくさんの人が追い越します。なぜ、みんなそんなに速く歩けるの?
![画像25](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571427/picture_pc_bff0914e2804d87b32138b490bbf234a.jpeg?width=1200)
靴の落とし物。どうやって落とすのだろう?
![画像27](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571437/picture_pc_67de10306688ca6002717ef8308df851.jpeg?width=1200)
カミーノの合言葉は「Buen Camino(ブエン・カミーノ)」
![画像28](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571441/picture_pc_c033a2538e584dc3b771befa7180e808.jpeg?width=1200)
「フリーハグ」のプレートを掲げながら、逆カミーノ中のふたり
色々な価値、色々な人がいるのもカミーノの魅力です。
フリーハグしてもらいました。
![画像29](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571448/picture_pc_2fd8e4424f5d3e017b58e1b5e8a0ecda.jpeg?width=1200)
もうロス・アルコスのことしか考えられない!
ロス・アルコス!ロス・アルコス!と呪文のように唱え、もくもくと、ひたすらもくもくと歩き、やっと到着です!
長かったー!!
![画像26](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16571433/picture_pc_cae31462de45ce015911ed54afa32277.jpeg?width=1200)
やっとの思いで到着した後も、道標を見失い地元の女の子に案内してもらってアルベルゲに到着しました。ベッドはラスト4つ!わたしのすぐ後に2組到着。ギリギリでした。
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このアルベルゲのオスピタレイロ(巡礼宿を管理しているボランティアの方)がとても親切な方で、わたしの足の豆の治療をしてくれました。
今までに、豆ができた状態で長距離を歩いたことがなく、どう治療するのが正解か分からなくて、自己流で対応してきたのですが、オスピタレイロが豆に溜まった水を抜くためのニードルや、赤チンの使い方を教えてくれて、治療の道具を一式をくれました。
カミーノで出会う人たちは、みんな本当に親切で見返りを求めない、純粋な優しさを与えてくれます。ずっと感動しっぱなしです。わたしも誰かが困っていたら、絶対に助けたい。
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ロス・アルコスのアルベルゲでは、2日目の宿で一緒だったイタリア人のラウラとリザ(美しき南イタリア娘はたくさんの男の子に囲まれていた。さすが。)とも再開しました。
あらたに仲良くなった韓国人の2人組が面白くて、めちゃくちゃ笑わせてもらいました。たのしい夜。
7日目につづく・・・
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