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わへいはなんの研究してたの編① 〜素朴な疑問が研究に〜

一つ前の記事までではサメWEEK第1弾としてサメの雑学、豆知識を書かせていただきました。
ちょっとでも面白いと思っていただけていたら嬉しく思います。

先日書いた自己紹介の記事「わへいの生い立ち編」では、文字数の関係で研究のことは詳しく書けませんでした。生い立ち編はこちら

そこでこの記事から第2弾「わへいはなんの研究してたの編」ということでこの記事と次の記事の2日間、私が大学院で研究していたことをご紹介します!テーマはもちろんサメです!

難しい専門用語はなるべく使わないように噛み砕いて書きます!

今日は具体的な研究の話というよりは、修士論文のテーマ選びの部分を書こうと思います。

○学部生時代のテーマを続ける?

大学院に進学したわへいはあることに悩みます。
それは修士論文の研究テーマです。

私が所属していた研究室の大学院生は基本的に学部生のころ研究していたテーマを引き継ぎ、学部生の頃よりテーマを深める人がほとんどでした。

一方でわへいは学部生時代の研究は大失敗。なんなら修士で同じテーマを引き継いでも結果を出すのはキツいだろうとボスに言われてしまいます。

悩んだわへいは学部生のテーマは続けずに、心機一転、研究テーマで新しくすることにしました。

○テーマはサメの胎盤の構造について

わへいは修士課程で選んだテーマはサメの胎盤構造の解明でした。

サメは魚類でヒトは哺乳類です。

全然違う生き物なのに胎盤という同じ器官を持っているのが不思議だったのでこのテーマを選びました。

しかし、研究をするにあたって大きな問題がありました。それは実験に使う材料(サンプル)が入手方法です。

サメとヒトの胎盤の構造を比較するためにはそれぞれの胎盤が必要です。

胎盤タイプのサメは体が大きい種類が多く、そもそもサメ自体を入手するのが困難。加えて胎盤を入手するためには妊娠しているサメでないといけません。

妊娠している胎盤タイプのサメを安定して捕まえるのはなかなか至難の技です(笑)

そこでわへいはボスにサンプル入手が難しいことを相談します。
すると沖縄県の石垣島で年に一度、サメの駆除があることを教えて頂き、石垣島へ飛びました。

○ボーッとしていた時に降ってきたアイデア

一人で石垣島へ向かったわへいは美ら海水族館の方々の協力を得ながら、なんとか妊娠しているサメのサンプルを入手することに成功します。

早速研究室に戻り、ボケーっとサメの赤ちゃんをニヤニヤ見ていた時にふと気づきます。

「この赤ちゃんザメは何を栄養にしているの?」

どういうことかというと、
実は胎盤タイプのサメは最初から胎盤から栄養を得ているわけではありません。
子宮内で孵化したあと、サメの赤ちゃんはこんな感じで初めは卵黄から栄養を得て成長すくすく育ちます。

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つまり胎盤タイプのサメの赤ちゃんの最初の方は一つ前の記事に書いた卵黄依存タイプと一緒ということです。

実は胎盤タイプのサメの赤ちゃんはこの卵黄を全部吸収した後に卵黄が入っていた袋が子宮の壁にペチャっとくっ付き、胎盤を作ってそこから栄養を得て成長します。

ここまでの話は既に論文等で見たことがあったので知っていました。

ボーッとしてた時にもう一つ思ったことがありました。

それは「サメの繁殖様式の分類は人間が勝手に決めただけじゃないの?」です。

○論文を一度疑ってみる

小さい頃からなんでも一度疑ってみることが習慣となっていたわへいは、サメの繁殖様式について疑ってみます。

教科書的には簡単に分類されてるけど、本当はもっと複雑なのではないかという気がしていました。

研究はある仮説を立ててそれを検証していく作業を繰り返します。

今回わへいが考えた仮説は

「胎盤タイプのサメの赤ちゃんは子宮の中で孵化してから出産されるまでの間、栄養の摂取方法が時期によって異なるのではないか」

です。

「もし、論文や教科書に書いてあることと別の結果が出たらめちゃくちゃ面白いな。」

そう思ったわへいは目をキラキラさせて、この仮説を修論の2つ目のテーマとしてこっそり設定しました。

2つ目のテーマを設定したのはワクワクした意外にも理由があって、1つ目の胎盤の構造の研究がコケてしまったときの保険としての役割もありました。

ということで2つのテーマをなんとか設定できたわへいはいよいよ実験をしていろんなデータを出していきます。それについては明日の記事で書いていきます。

どういう実験をしたのかはちょっと難しい内容になってしまうのであえて省こうと思ってますのでご了承下さい。

ということで今日は修士論文の研究テーマがどのように決まったのかを書きました。

次の記事では、実際の修論の研究内容についてなるべくわかりやすく書こうと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

🦈わへを🦈

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