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ぼんちゃん ❹

時の旅

鮮やかな夏男ぼんちゃんとのお付き合いは、順調を代表して挙手したいほどに順調でした。

冒頭で少し書かせて頂いた、のちの親友となる派手なグループの一員「きいちゃん」と面識ができたのも、高校2年生です。たまたま同じクラスになり登校時間が早めだった私たちは、毎朝おはようと挨拶を交わし授業開始までの30分ほど、雑談をするようになっていました。

ぼんちゃんに惚れぬき地蔵状態だった私は、きいちゃんと過ごす毎朝、前日のぼんちゃんがいかに魅力的でキュートだったか、俗にいう惚気ですね、それを聞いてもらっていました。

何せ毎日でしたから、耳のタコも引っ込むほどの時間だったろうに、きいちゃんは文句の一つも言わずに付き合ってくれていました。
私とぼんちゃんのことを、私とぼんちゃん以外であれほどリアルタイムに知っていたのは、きいちゃんだけだったと思います。

そんなきいちゃんから、ある日、小学生の頃に埋めていたタイムカプセルを開封した、という話を聞きました。
私はその日のうちに、ぼんちゃんに「タイムカプセルを作りたい」と伝え、週末のデートプランがすぐにタイムカプセル作りへと変更されました。

何を入れようか、ああだこうだと話し合い、お互いへ向けた手紙、2人でよく読んでいたギター雑誌、水族館で買ったペアのぬいぐるみ、初めてぼんちゃんがくれたCD等を入れることに決めました。他にも、こまごまとした思い出の品を入れたかと思いますが、よく思い出せません。


地中には埋めず手元で保管しておきたいと希望した私に、ぼんちゃんは布製の黒いボックスと南京錠を買ってくれました。
開封は、ぼんちゃんが大学の卒業式を迎えた翌日にしよう、と決め、保管場所は私のベッド下に決定しました。鍵は、ぼんちゃんの担当です。

週末、私たちは、ひとつずつ中に入れるものを確認して、それから2人で、丁寧に丁寧に仕舞い込みました。

黒いボックスの表面には、白い布ペンで互いの名前と作成した日付を書きました。
おおよそ3年半後に再び接する思い出の品々と、未来への期待やら何やらを、白いインクに織り交ぜて。



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