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日本人だったら和服を着た方がいい

とある海外でのイベントにご招待いただき、久しぶりに正装をすることになった。最近の正装はもっぱら料理するためのユニフォームだ。立派な招待状を拝読すると、Black Tieか自国の民族正装となっている。解釈するに男性の場合タキシードか和装ということだ。キッチンユニフォームで参加というわけにはさすがにいかない。僕が和牛を触るようになったのも、最終的には日本の文化を僕なりの編集で届けていきたいと想いが根底にある。世界中から来賓がいらっしゃるわけだ、せっかくなので和装で行こう、そう決めたのだった。

世界の国賓が集まっている中で、色々な民族衣装が集まっている、そこに日本の着物が交じる。民族衣装というのは、見た瞬間にその人がどの国から来ているのかが分かるそんな国旗のような衣装だ。着物のいいところは歩みがゆっくりになるということだろう。この畳をスライドしていくような速度はせっかちな僕にはサイドブレーキをかけながらアクセス踏んでいるみたいな感じでちょうど良い。

夫婦で着物を着ているから物珍しいのであろう、そこに1歳の赤ん坊もいるものだからみんなから話かけられる。国を代表していて偉いねぇっと同じく民族衣装を着ている方に声をかけられる、タキシードではなくて、和装を選んで良かったと思える瞬間だ。思えば和装なんて、ほとんどの人が旅館で浴衣を着るぐらいか、京都や浅草で外人が着ているのを見るぐらいだろう。こうやって真面目に和装をする機会などほとんどないと思う。妻の着物は祖母から母に渡り、そして彼女が今着ている。そういう着物も世界中で考えても稀だろう。そのあたりが着物の魅力だ。

様々な都市から訪れた方々との文化の話になり、また日本の話になる。多くの方々がハネムーンで今度東京に行くんだと伝えてくれる、そこでの再会を約束するのであった。遠くからも日本人であることが分かる和装、日本人だったら寿司を握れるようになるべきと書いたのはこの間のコラムのことだ、日本人だったら時折和装すべきだと思うのだ。今日も背筋もシャンとして、気持ちも凛とする。また普段とは違った着物のおかげで、違った角度からのモノの見方や、人との出会いがきっと生まれることに違いない。


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