【書評&実録】すぐそこにある危機『モラル・ハラスメント』
「間違えちゃいけない」と思って付き合ってた
若い頃に、ほんの短い間付き合ってた(つもりだった)人との話です。
彼の視野が広いところや、柔らかい物腰ながらも自分の思う通りに物事を進めていくリーダーシップに惹かれて好意をもつようになったんです。そして理由は分からないけれども彼もわたしのことを気に入ってくれて、なんとなくお付き合いが始まりました。
彼の可哀想な生育歴を聞いて「わたしが支えになってあげたい」って思ったし、彼自身も分かっていたけど、自分の考えを絶対に曲げない人だったから、「それ違うんじゃないの」と思ってもわたしは自分の意見を抑えていたし、会話が噛み合わない時も必ずわたしのせいで、「そうやっていつも間違うんだから〜」って言われていました。
だから、しょっちゅう謝ってたし、怒らせないように気をつけていたし、いつの間にか、謝っていれば彼がご機嫌なことも分かって、なんかそういう上下関係ができていました。「対応を間違っちゃいけない」そう思って、会話もメッセージもいつもハラハラしていました。
ハラハラしてたけれども、一方で、すごく頼りにしてたし甘えてもいました。
けれどもある時、そんな彼の愛情をわたしが疑ったことをきっかけに喧嘩になって、そしてその喧嘩がきっかけで私たちの関係が歪んでいることに気がついたんです。
「ここから新しい関係が作れるのかな?」と期待したけど、それは幻想でした。わたしは彼に「敵」と見做されて攻撃されました。
一緒に過ごした中で、彼が嫌いな人に対しては徹底的に攻撃すること、その嫌いが減ることがないことをわたしも学んでいたから、その攻撃がわたしに向けられた時すぐに「ああ、わたしが許されることはないんだ」と悟りました。
先がないなら別れるほかありません。だからあっという間だったけど、最初の喧嘩から2週間くらいで別れを伝えて、彼のことはまだ大好きだったけど、何もなかったようにお終いになりました。
そうやってあっさり終わったのだけれど、彼や第三者から見たら、私が勝手に癇癪を起こしてキレて別れたって感じに見えちゃうよねっていうことがずっと気にかかってたし、本当にあんな風に別れちゃって良かったんだろうかって罪悪感もあったんです。
それで今でも「あれってなんだったんだろうなぁ」と時々反芻していて・・・。そしてこの間ふと「あれはいわゆるモラハラってやつじゃないの?」と思いついたので、今回、こちらの本を読んでみました。
本書より抜粋
✅モラル・ハラスメントは精神的な暴力である
確かにモラル・ハラスメント的な行為をすることは誰にでもある。だがそういった行為は「あんなことはしなければ良かった」と必ず後で反省されるものだ。だが、モラル・ハラスメントの加害者はそんなことはしない。したがって、加害者はいつも加害者である。
✅モラル・ハラスメントの行われかた
相手を惹きつけるー相手に「守ってやりたい」という気持ちを起こさせるという形で行われる。加害者は相手を引きつけようとするが、自分のほうは決して惹きつけられることはないのだ。
相手に影響を与えるー論理的に説得するという形を取らない。そうではなく、相手の感情に訴えたり、弱いところをついたりして、本来の考えや行動とは違うことをさせるのだ。被害者はたとえ自分が望まないことをしていても、自発的にしていると思い込む。
相手を支配下におくー相手の意見や意向を認めず、相手を知的、精神的に復讐させることだ。被害者は加害者から人間ではなく<モノ>と見做され、自分の意見を言えない状態を押し付けられている。
→直接的なコミュニケーションを拒否する
→会話を歪める
→相手が誤解するように仕向ける
→相手を軽蔑したり嘲笑したりする
→言っていることと矛盾する態度をとる
心を破壊するー被害者がその支配に反抗すると、加害者の心には憎しみがわき起こる。こうして加害者は被害者にモラル・ハラスメント的な暴力をふるい始める。
ここでいう暴力とは、主に言葉による冷たい暴力である。と言っても、ひとつひとつの言葉をとってみれば、それほど暴力的であるとは言えない。だが、そういう言葉が繰り返し言われることで、一つの暴力を形作っていくのだ。
相手の挑発に乗らないこと。モラル・ハラスメントの進行を防ぐにはそれしか方法がないのである。
✅加害者の特徴
内心の葛藤を自分自身で引き受けられない
自己愛的な変質者である
自分が偉いと思っている
成功したり権力をもつことができると考えている
自分が特別だと思っている
いつも他人の称賛を必要としている
全て自分のおかげだと思っている
相手を利用することしか考えていない
共感しない
他人を羨望することが多い
感情を避ける
無責任
✅被害者の特徴
隠れた劣等感をもつ
喜びに溢れ、幸福そうに見える
素直で人を信じやすい
聡明
罪悪感を感じやすい
おかしいなと思ったら、撤退あるのみ!
今回、この本を読みながら彼とのことを振り返り「うわーー!まんまモラハラだった!」という思いと、「でも、彼は自分のことを否定することもあったし、完全にモラハラではなかったのかな。わたしの考え違いかな?」という思いとの間で揺れました。
それでも分かったのは「私たちの関係が歪んでいた」ということ。
支配することとされることにお互い依存して、どちらが振り回していたのか、今となっては分かりません。付き合っていたのもうんと短い間だったしね。
でもこの本を読んで、わたしがあの時、別れる決断をしたのは正しかったと思えたことでちょっとすっきりしました。それに、自分という人間が、自分で思っているよりもウェットで奉仕の精神に溢れた人間であるということも分かったかな。
その上で人生を振り返ってみると、実は、モラハラ的なことは身近にたくさんある(あった)ことに気付きました。
要するに、わたしは分かりやすく被害者的な性格をしていて、加害者に狙われやすいということです。加害者はみんな精力的で魅力的に見えますし、わたしは私で流されやすく、依存したい気持ちが強いんですね。
本にも書いてありますが、モラハラ加害者の性格はすでに固定されたものなので、「私なら彼を変えられる」「わたしだけが彼の味方」とか思うのは間違いなんです。だから、「あれ、この関係おかしいな」って思ったら、相手が恋人であれ職場であれ、自分を守るためにすたこらさっさと逃げるようにしましょう。
全ての大人に読んで欲しい!
「あれ、この関係おかしいな」と思うには、どんなに小さかったとしても、自分の中に違和感が芽生えつつあることに気づくことと、その違和感がネガティブなものだったとしても、「自分の気持ちだから正解」と受け入れることが大切です。
その上で、自分の気持ちを書き出したり、こう言った本を読んできちんと言語化できると、自分がどうすべきか見えてきますね。
今回この本を読んで、改めて、モラハラって身近にある危機だと感じました。だから
✅ 全ての大人
に読んでもらいたいなと思います。
本日もお読みいただき、
ありがとうございました💕
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