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中国雲南プロジェクト

このnoteはアジア車いす交流センター(WAFCA)のスタッフが交代で書いていく交換noteです。本日の担当は熊沢友紀子です。

これまで海外ネタとしてタイとインドネシアが続いたので、もうひとつの活動地域である中国雲南省について取り上げてみたいと思います。

2018年に初めて調査で現地を訪れたときのことを思い出しながら、調査の結果や当時の感想などを綴ってみました!

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アジア車いす交流センター(WAFCA)は、車いすを教育を通じてアジアの障がいのある子どもたちの自立とバリアフリー社会の実現を目指して活動している認定NPO法人です。くわしくはホームページをご覧ください。

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中国プロジェクトのあゆみ
2007年 北京で車いす支援事業をスタート
2008年 北京パラリンピック応援観戦ツアー開催
2012年 北京車いす事業を終了
2013年 雲南省で車いす・奨学金支援プロジェクト開始
2013年 華夏中等専業学校との交流を開始
2018年 雲南大学日本語学科との交流を開始

雲南省ってどんなところ?

雲南省は中華人民共和国の南西部に位置し、ビルマ(ミャンマー)、ラオス、ベトナムと国境を接しています。州都は昆明です。

人口はおよそ4,800万人。そのおよそ60%、つまり3人に1人は少数民族です。漢民族が90%以上を占める中国で、少数民族として分類されている集団は55集団あり、そのうち25集団が雲南省に住んでいます。豊かな自然と多様な民族文化が守られる一方で、経済的にはもっとも発展が遅れている地域の1つです。

また、標高が高いためか空気が澄んでいて湿度が低く、とても過ごしやすい気候です。夏は涼しく冬は温暖で、中国人の間では避暑地としても有名なのだそうです。

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州都昆明にある雲南省最大の湖である滇池

雲南プロジェクトの振り返り調査

雲南省を初めて訪れたのは2018年4月。当時はタイ勤務で、中国事業に関わったことはありませんでしたが、雲南プロジェクトの成果を評価したいという日本側のリクエストで、タイから調査に行くことになりました。

バンコクから昆明までのフライトは2時間弱。国内出張のような感覚で向かったのを覚えています。到着してみると、街の雰囲気、人々の服装、食べ物などがどことなくタイ北部に似ていて、一瞬どこにいるのかわからなくなるような、地理的・文化的なつながりを感じました。

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華夏中等専業学校の孫校長先生はチベット族の出身
(右側中央)

調査の内容はというと、2013年~2016年の間に提供した車いす167台、奨学金132名(実数は100名程度)のその後を調査するというものでした。

車いす167台のうち100台と奨学金は、昆明にある華夏中等専業学校という障がい者のための職業訓練学校に提供されていました。当時、この学校は雲南省残疾人(障がい者)連合会の管轄でしたが、2019年から雲南特殊教育職業学院として教育省の管轄となり、健常者も入学できるようになって規模が拡大しています。

残りの67台の車いすは、雲南省残疾人連合会を通じ、建水県、武定県、代理県、紅河県の高齢者や障がい者施設に贈られていました。

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華夏中等専業学校の生徒たち

車いすのおかげで自分に自信が持てました!

事前に簡単なアンケートを作成し、現地コーディネーターを通じて雲南省残疾人連合会に実施をお願いしました。連合会の協力のおかげで、車いす対象者82名(49.1%)、奨学金対象者18名(18.0%)から回答を得ました。さらに、華夏中等専業学校の在校生に直接会ってインタビューすることができました。

その結果、90%の車いすが良好な状態で、61%が日常的に(週に3日以上)使用されていることがわかりました。

グループインタビューで印象的だったコメントは・・・

「障がいのある自分に自信が持てず、ちょっとしたことでふさぎ込むことが多かった。車いすのおかげで自信が持て、前よりも明るい気持ちで過ごせるようになった。」
「成績や生活態度の良い生徒がクラスで1~2人、先生に選ばれて奨学金を受け取ることができた。自分の努力によって、生活が苦しい家族の仕送りの負担を減らすことができて本当に誇らしい気持ち。」

調査に行く前は、「提供した車いすがどこでどう使われているかわからない」、「奨学金の使途も不明」と聞いていました。でも、実際に行ってみると、少なからず支援が役に立っていることがわかりました。たくさん課題も見つかりましたが、結論として雲南特殊教育職業学院との交流をメインにした事業の継続を提案しました。

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魅力的な雲南省

冒頭にも書いたように、多様な民族の文化が交じり合い、独特な雰囲気があって、昆明の街中を歩くだけでも楽しめるんじゃないかなと思います。残念ながら私はまだ行ったことがありませんが、ユネスコ世界遺産にも登録されているハニ族イ族の棚田も絶景スポットとして有名で、いつかチャンスがあったら足を伸ばしてみたいです。

また、昨年から交流がある雲南大学日本語学科の学生さんたちによると、(当時)日本人留学生はいないとのことでしたが、気候もよく、食べ物もおいしい、人々は穏やかで親切、中国に語学留学したい人にはお勧めしたいです。

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昆明市の郊外にはアジア最大級の生花市場があって、大量の切り花で埋め尽くされていました。

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生花をそのまま薬味として入れて食べる珍しい麺料理もあります!

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2020年3月に予定していた中国雲南交流ツアーは中止になってしまいましたが、現地でお世話になっているコーディネーターの張傑さん、雲南特殊教育職業学院の先生方と相談しながら、状況が落ち着いたら必ずまた計画したいと思っています。そのときはぜひツアーで一緒に雲南に行きましょう!

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