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本の紹介リレー『それでも、逃げない』

このnoteはアジア車いす交流センター(WAFCA)のスタッフが交代で書いていく交換noteです。本日担当の恒松奈於ですです。今日はゴールデンウイーク中にぜひ読んでほしいおすすめの一冊をご紹介します🌼

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アジア車いす交流センター(WAFCA)は、車いすと教育を通じてアジアの障害のある子どもたちの自立とバリアフリー社会の実現を目指して活動している認定NPO法人です。くわしくはホームページをご覧ください。​

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この本は国際政治学者の三浦瑠璃さんと「五体不満足」の著者である作家の乙武洋匡さんとの対話集です。

三浦さんは女性、乙武さんは障害者であり、社会的に弱い立場とも言えるお二人が、社会から逃げずにどう生きているのかを大きなテーマに話されています。

私自身、今までの人生で‟女性だから何かが出来なかった”といった経験はなかったので、女性が弱い立場であると感じることがありませんでした。

しかし、乙武さんは本の冒頭でこのように述べています。

彼女自身、みずからが女性であることをどのように捉えているのだろうか。有利なこともあっただろう。不利なこともあっただろう。しかし、それは「あった」などと過去形で表すことはできず、彼女が生きていくかぎり、生涯つきまとう問題でもあるのだ。三浦瑠璃にとって「女性であること」と、私にとって「障害者であること」には、きっと近しいものがあるはずだ。

この言葉を心に留めて、自分ごととして、読むようにしていました。

この本は大きく6つの章で構成されています。

第1章 女性として生まれてよかったと思う瞬間            
第2章 私は結婚に夢をみない
第3章 男性は自分より頭のいい女性が嫌い?
第4章 大きな挫折から学んだこと
第5章 世間の作ったイメージを意識してきた
第6章 私たちへの批判はなくならない

どの章もわかりやすく興味深い内容でした。


特に第4章で乙武さんが述べた、こんな1節が心に残っています。

教員になる前の二十九歳の時からの二年間、新宿区教育委員会の非常勤職員を務めていました。(中略)ある中学校で女の子からこんな質問を受けました。
「乙武さんにとって幸せってなんですか?」  
こういう質問を面と向かって聞かれることがなかったので、考え込んでしまったんです。学校に着いてすぐの質問だったので、「しばらく考えさせて。この場で適当なことをいいたくないから、帰るまでには答えるからね」といいました。そのあと数時間考えて、帰りに彼女に伝えたのは、

「自分が大切だなと思える人がいて、その人から大切だなと思ってもらえる。そういう関係をできるだけたくさん持てること」


きっとこれを質問した女の子は、手足がない乙武さんをみて、障がいがある人は、その人にしかわからないような特別な幸せを望んでいると思っていたのでしょうね。
私自身も、乙武さんはどう答えるのかな~、なんてドキドキしながら読んでいました。

しかし、乙武さんが出した答えは誰しもが共感できることで。
障がいがあるとかないとか関係なく、幸せだと感じる瞬間は一緒ですよね。

当たり前のことなのに、はっとさせられました。

障害の当事者である乙武さんだからこそ、伝えられたことだと思います。


「障害者」というレッテルを張られることで、下駄を履かせてもらえていた部分もあるでしょう - 乙武さん
私は女であることしか知らないし、女であることを、いまでは愛しんで生きています。 - 三浦さん


お二人をメディアでご覧になったことがある方はわかると思いますが、三浦さんは「女性」を、乙武さんは「障害者」を上手く利用して生きている印象を強く受けました。

最後にはそれぞれ「女として生まれてきてよかった」、「障害者に生まれてきてよかった」と述べています。

人によってはハンデのように思われることでも、そこから逃げずに、むしろ、自分でプラスに捉えて生きるのが大切なんだなと、この本でお二人に教わりました。

それでは、ありがとうございました😊

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