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仕事であり、作業であり、そして仕事だった。

#社会人1年目の私へ

このテーマで書こうと、もう何週間下書き保存と削除を繰り返したろう(笑)。

ようやく(なんとか)書いたものの、長い。
2度転職をしているので、これまでのことを振り返る機会はあった。

それにしても長い。

・・・

大学まで地元岩手で過ごした私は、就職でいわゆる"上京"をした。

夜行バスや新幹線であちらこちらと駆け回った就活。
なにがやりたいか、なんてずっとわからないまま、営業職を受けまくる日々。

そんななかで、紆余曲折あって(この話はまたいつか)、どうにかこうにか、私はインターネット写真販売サービスを行う会社に入社する。
その頃は、幼稚園や保育園など学校撮影がメインだった。

営業本部フォトグラファーグループにカメラマンとして配属。

渋谷のビルに入った小さなオフィス。
会議室なんて言えるものはなく、パーテションで区切られた小さなミーティングルームが2つ。

社員全員の顔が見えるオフィスでは、社長もみんなを見渡せる場所にいた。
新入社員の同期は10人。営業とエンジニア、そしてカメラマンだ。

入社すると、まずは全員テレアポから始まるというのがこの会社のルール。

「契約がとれるまで、カメラマンには戻れない」

それぞれが担当するエリアのリストを割り当てられ、電話をかける毎日。
受話器を置くことなく、とにかくかけ続ける。
100件かけて、1件アポがとれたらいいほう。資料送付はもっと頑張れ。

毎日300件ほど電話をかけただろうか。
気の遠くなる仕事であり、作業だった。

これまで、だいたいそつなくこなしてきたつもりでいた。
そんな新入社員の私にできることは、ひたすらに“電話をかけること”だった。

リストをもう何周しただろう。
エンジニアの同期が契約を決めたらしい。それも広島!

私は関東エリアなのに…と、気持ちばかりが焦る。
カメラマンの同期も契約をとり撮影に入り始める。

できることは、電話をかけること、電話番をすること。
そして掃除。そのくらいだ。

1ヶ月まではかからなかった。
アポイントをとり、直接資料を持参して営業に向かい、説明をする。契約がとれた。

カメラマンに戻ってからも、まあ大変な日々は続く。

毎日1000枚近くの写真を撮り、編集。
担当園に撮影の提案、外部カメラマンさんへの撮影詳細メール、スケジュール作り…

私の仕事は少しずつ広がっていく。うれしさもありつつ、忙しくなる日々の中で、無意識に撮影を作業化してしまう、機械的に行ってしまうような怖さがあった。

慣れない東京。
慣れない環境。
慣れない仕事。

飲みに誘われても断る。休みの日は家で寝て過ごす。
気づけば代休が15日たまっている。身も心も疲弊していた。

そんなとき、届いたのは、私が撮影を担当する保育園に通う子どもたちのお父さんお母さんからのメール。

「家では全く食べないのに、大きな口で給食を食べている姿を見てびっくり!」

「甘えん坊なのに、年下の子の世話をしてる姿を見て成長しているんだな、とうれしくなりました」

「普段はとっても静かなわが子。こんなに楽しく遊んでいる姿を撮影してくれて、ありがとう」

私が度々落ち込んでも、頑張ることができたのはこの声があったから。

どんなかたちであれ、「誰かに喜んでもらえる」そのことがうれしかった。

何がやりたいのか、どうなりたいのかはわからない。
でも、人に喜んでもらえることがしたい。
欲を言うのなら「渡辺さんにお願いしたい」そう言われたらめちゃくちゃ頑張る!

表面上は、仕事は代わりを効かせられるかもしれない。
それでも、自分だからできることを探していきたい、そう思った。それがたとえ上司から評価されなくても、誰にも褒められなくてもいい。どんな些細なことでも小さなことでも。

同期のカメラマンたちが直行直帰するなか、私が欠かさなかったことがある。

会社に戻り、みんなのデスク横のゴミ箱のゴミを集めることだ。

社内環境を整える。

それは新卒の仕事であり、作業であり、やっぱり仕事だったのだから。

・・・

私が1社目の会社に勤めていたのは、わずか1年9ヶ月。
それでも、思い出はいろいろある。

・終礼前、みんなで競った「寿司打(すしだ)」
・田植えの撮影でコケて、カメラを田んぼにつけてしまったこと
・新卒みんなで企画した、後輩の内定式
・昼寝した非常階段、涙を流した非常階段、チョコを渡した非常階段…

パッと浮かぶ特別なことじゃないことが、私にとって特別にかけがえのないことになって、思い出になっている。

私が、運がいいと思えるのは、周りにいる関わってくれた人たちのおかげだと思っている。

社会人1年目の私へ、今の私から伝えたいことは「もっと人と話しなさい」ということ。
コミュニケーションを怠った、というのがいちばんの後悔かもしれない。

話せば解決したこと、相談すれば楽になったこと、きっとたくさんあったのだろう。

だから、今、忙しいときも「これってどうやるの?」「これはどうしたらいいの?」と聞かれたら、できる限り丁寧に話して伝えて、一緒に考える、時には探す。

私はというと、すぐググるのですが(笑)。
でも「せっかく聞いてくれたんだ、応えたい」と思うから。

思い出も仕事も、小さなことの積み重ねなんだ。

そのあと転職してからも、相変わらず、ゴミ捨てや掃除を続けている。当番制だけれどね。(当たり前すぎることかもしれないけど)

#社会人 #社会人1年目の私へ #コラム #日記 #思い出

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