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「糸糸」、すなわち……

お疲れさまです。今日も繊維の知識。今回はシルク(絹)です。

絹といえば養蚕、カイコガが繭のために吐き出す糸で作られるイメージですが、厳密にはカイコガ以外の昆虫が作る糸もシルクにあたります。一部のハチやアザミウマ、それにクモの糸なども……。

といっても、衣服に使われるのはほぼ間違いなくすべて、養蚕によるカイコのシルクです。というのも、天然のカイコを含め、飼いならされていない野生の虫のシルクは、表面が強力なミネラルに覆われているため、糸を取り出すのが非常に難しいのです。養蚕されているカイコは吐き出す糸がミネラルを含まないよう、人々が品種改良を繰り返して生まれたもの。むしろ野生では生きていくことができないため、大事に育てていく必要があります。

シルクという言葉の由来は古英語の「sioloc」、古代ギリシャ語の「σηρικός」(serikos)になりますが、さらにその語源をたどると中国やモンゴルなどのアジア圏、「絲」になります。意味はどれも「シルク」そのもの。コトバが使われ始めた頃、すでにシルクは存在していたということですから、非常に歴史が古いということになります。すごいですね。

現在見つかっている、最古のシルクは中国河南省。新石器時代、なんと8500年も昔の遺跡から、シルクの織物の痕跡が見つかっています。初めは皇帝専用の布でしたが、高級生地としてアジア各地にじわじわと広がっていき、紀元前2500年頃にはインドでも養蚕の技術が伝わっていたとか。現在でも、中国とインドがシルクの生産1位と2位を占めています。

またインドは、絹の消費量が世界一。結婚式やその他のめでたい儀式の場ではシルク製のサリーを着用する、という習慣が、南部では今も残っています。

また、中東のイスラム圏では興味深い習慣が。男性はシルク製品の着用を禁じられているというのです。なんでも、女性的できらびやかな服装を男性がするのは禁じられているとか。しかし製品の一部に含まれてしまうこともあるので、何%までなら大丈夫かなど、法律論争になったりしているそうです。大変ですね……

ヨーロッパではおもに地中海地方が絹の生産を請け負いました。気候的に適していたわけですね。古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」や、アリストテレスの文書にもシルクが言及されています。中世以降はイタリアで養蚕が活発になり、貿易を通してカタンツァーロ市やルッカ市、ジェノヴァ、ヴェネツィア、フィレンツェといった今でも有名な都市の繁栄の礎を作りました。

そんなシルクを使った衣服は吸湿性が高く、熱伝導性が低いため、暑い日も寒い日も快適な温度になることで知られています。これは以前お伝えした毛(ウール)の特徴と同じですが、どちらも「動物性繊維」、動物から取れるタンパク質繊維だからこそ、化学的にも共通の特徴があるわけですね。

また、シルク性の衣服は実は虫に強いことでも有名。蚊やアブなど、通常は衣服を突き刺す刺咬性昆虫のアゴですが、シルクは通せません。蚊の世界的分布と、東洋の伝統衣装によく使われること、実は関係あるかもしれませんね……?

ということで、今回はシルクを使用したジャケットをご紹介します。

テーラードジャケット シングル インポート生地

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https://item.rakuten.co.jp/itibann/71093/
イタリアの生地ブランド「Lanificio di Pray」で作られた絹と毛の混成生地を用いて、日本で縫製された高級ジャケットです。吸湿性の高い組み合わせなので寒い日も暖かい日も快適!

また和田屋ではジャケット商品の一週間限定セールを、4月3日の11時まで開催しております。
https://item.rakuten.co.jp/itibann/c/0000000193/

ほかにも春物ジャケットやブルゾンなど多数取り揃えておりますので、ぜひご覧ください。
ブルゾン:
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ジャケット:
https://item.rakuten.co.jp/itibann/c/0000000302/

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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