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元国税調査官の飯田真弓さんが語る「知っておきたい税務の知識~確定申告編~」【ワクセル講演会レポート】

ワクセル主催のオンライン講演会のレポートです。ワクセル(主催:嶋村吉洋)は、コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくソーシャルビジネスコミュニティです。

元国税調査官“おかん税理士”の飯田真弓(いいだまゆみ)さんを講師に招いて、1月28日(金)にオンラインで講演会を開催しました。

4回目の講演テーマは、「知っておきたい税務の知識〜確定申告編〜」です。

飯田さんは国税調査官として26年間、7カ所の税務署で700件に及ぶ税務調査に従事。2008年に退職し、2012年に一般社団法人日本マインドヘルス協会を設立し、代表理事に就任しました。税務調査と健康経営の切り口で、企業が活性化する研修を全国で開催し好評を得ています。著書には5万部を超えるロング&ベストセラー『税務署は見ている。』など、税に関する執筆活動も行っています。

今回の講演では、確定申告に関わる基本的な知識や注意すべきポイントを元国税調査官“おかん税理士”の視点からお伝えいただきました。

【こんな方におすすめです】

  • 会社勤めをしているが、確定申告が必要か知りたい方

  • 起業や事業を始めた方、始めようとされている方

  • 確定申告について学びを深めたい方

  • 税務調査で国税調査官がチェックするポイントについて知りたい方

【講義の内容】
第4回目の講義では、パネラーや参加している人から下記のテーマに関する質問に対して飯田さんが回答していく質疑応答形式で進行しました。

  1. 確定申告とは?

  2. 確定申告は必要?

  3. 白色申告と青色申告どちらで申告すべき?

  4. 会計ソフトで十分?税理士に依頼すべき?

  5. 経費の考え方、税務調査はいつ来るか?

  6. 電子帳簿保存法とは?

講演会の内容をより詳しく知りたい方は、下記の講演会レポート記事からご覧いただけます。

これまでの講演会は、下記の動画または記事から一部ご覧いただけます。
■第1回目:知っておきたい税務の知識〜基礎編〜(YouTube動画)

■第2回目:知っておきたい税務の知識〜必要経費編〜(YouTube動画)

■第3回目:知っておきたい税務の知識〜可処分所得編〜(レポート記事)

1.確定申告とは?

国民の三大義務である『納税』をするために行う一連の税務手続きのことを言い、所得税を計算して自主申告で税金を納めます。申告の種類には青色申告と白色申告が存在し、それぞれ受けられる控除が違います。

2.確定申告は必要?

会社員は確定申告が必要?

会社員は給料が支払われる時に、税金が天引きされているので確定申告とは縁遠いかもしれません。しかし、勤め先の会社以外からも収入がある場合はいくつか注意点があり、確定申告すると税金が戻ってくるケースがあります。

会社員で副業をしている場合は確定申告が必要?

勤め先に副業の源泉徴収票を提出すると年末調整を行ってもらえます。その場合は自分で確定申告する必要はありません。

一方、多方面から収入がある人は確定申告したほうが良いケースがあります。副業をしていて確定申告をしていない人は『還付金』を逃している可能性があるかもしれません。副業の場合は計算し直した結果、税金が戻ってくるケースがよくあるそうです。

副業をしていて確定申告をし忘れていたらどうしたら良い?

今まで確定申告をしていなかった場合、5年間は過去に遡って確定申告を行えます。飯田さんは年末調整をしていない源泉徴収票がある場合は、再確認することを推奨しています。

個人事業主やフリーランスは確定申告が必要?

事業収入がメインとなってきますので、所得税の計算が必要です。納税義務があります。

確定申告の期間は?

個人事業主と法人では期間が異なります。

・個人事業主やフリーランスの場合は、1/1~12/31の1年間
・法人の場合は、任意で決めた日付から1年間

3.白色申告と青色申告どちらで申告すべき?

会社員で給与が収入のメインで、副業をしているケースの場合は白色申告のみ行えます。事業所得が収入のメインの場合、青色申告と白色申告が選択できます。

白色申告と比べて青色申告は、受けられる節税のメリットが大きいです。ただし、税務署に届出をして認可をもらってから青色申告ができるようになります。届出をしていなかった場合は、白色申告となります。

節税のメリットがある反面、青色申告では複式簿記の記帳が必要です。専門知識がない場合は、自身で作成するのは大変ですので、会計ソフトの使用または税理士に依頼する手段が一般的です。

4.会計ソフトで十分?税理士に依頼すべき?

「自分でできるのであれば、自分で確定申告すると良いと思います。ただし、税務処理に不安があったり、自分では分からなかったりする場合は税理士に聞いてみることも一つの手。ほかにも、無料相談できる窓口もありますので、うまく活用できたら良いと思います」

個人のスキルや、自分でベストだと思う手段で税務処理を行うことを、飯田さんは推奨しています。

税理士に依頼する場合は何に気をつけたら良いか?

依頼する税理士は自分の目で見極めることが大事です。

「相性があると思いますので、税理士と実際に会って確かめてみることを推奨します。安ければ良いというわけではなく、きちんと仕事に見合った報酬を支払うことが大事です。税務調査の対策が得意な税理士など、いろいろ特徴があります」

5.経費の考え方、税務調査はいつ来るか?

経費の考え方は、仕事をする上でかかった必要な費用を計上することです。たとえば、仕事の打ち合わせで発生したカフェ代や商品の仕入れなどが対象になります。

自宅でのオンライン会議は経費にできる?

自宅を事務所にしている時、光熱費、家賃、パソコン代など一部を経費として計上することが可能です。ただし、プライベートと併用することになり、100%経費にすると税務署にチェックされますので、経費と家事費(生活費など)の線引きをします。

たとえば、部屋が2部屋あり、1部屋は仕事でしか使わない場合は、1部屋分の面積の割合だけ家賃を経費として計上します。税務調査に備えて、根拠を持って説明できる状態にしておくことがポイントです。

経費に申請した科目が、あとから経費扱いできないと気づいた場合は?

申告済みの確定申告に対して、修正申告をすることができます。ですが、実態は修正申告する人は少なく、税務調査の時に発覚して追加で税金を納めるケースがほとんどだそうです。

飯田さんは「ただし、1年くらいでは税務調査は来ません。税務署は3年泳がせてから調査します。過去に提出して調査が来なかったから大丈夫と思っていると痛い目に遭います」と注意を促しています。税務調査については、飯田さん著書『税務署は3年泳がせる。』でも述べています。

修正申告すると税務調査のターゲットになりやすい?

修正申告書を提出したからといって、今後の申請時にチェックが厳しくなったり、税務調査のターゲットにされやすくなったりすることはありません。

税務調査のターゲットは国税庁レポートとして統計情報が公開されているため、どのような人がターゲットになっているか確認することができます。無申告者や消費税の不正還付などは厳しく調査している傾向のようです。

6.電子帳簿保存法とは?

領収書や請求書など国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを定める法律のことを言います。

電子帳簿保存法のイラスト|国税庁
出典:電子帳簿保存法が改正されました|国税庁HP

令和4年1月1日から上記イラストの「③電子取引」については、電子保存することが義務化されました。国税調査官が調査しやすいようにすることを目的とした法改正と言えるかもしれません。ECサイトでのインターネット決済やキャッシュレス決済などが対象で、すべて定められたルールに従って電子データで保存しなければなりません。

時代の流れとともに電子化の施策が進んでおり、クラウド会計ソフトの活用や税理士と相談して対応していくことが推奨されます。

さいごに

確定申告について、飯田さんは「分かりやすく管理、申告するにはとにかく地道にコツコツと整理をすることが大事です。疑問に思うところは、よく注意しながら正しく申告していけば良いと思います」と講演会を締めくくりました。

飯田さんは近日、税理士向けの著書『教えて飯田先生!メンタルが強い税理士にどうすればなれますか?(中央経済社)』を出版する予定です。ストーリー調で、誰もが読みやすい構成にしているとのことです。税務申告のヒントも盛り込んでありますので、興味のある人はぜひ手に取ってみてください。

■飯田真弓さんプロフィール

飯田真弓さん

いいだ・まゆみ/飯田真弓税理士事務所代表税理士。現場一筋元国税調査官の“おかん税理士”。初級国家公務員(税務職)女子1期生で、26年間国税調査官として税務調査に従事した。一般社団法人日本マインドヘルス協会代表理事。2021年2月NHKあさイチ「新型コロナでどうなる?ことしの確定申告」監修も担当。法人会、商工会議所、税理士会、企業団体などでの講演はテンポよく眠くならないと好評。著書に『税務署は見ている。』『税務署は3年泳がせる。』『B勘あり!』(日本経済新聞出版社)、『調査官目線でつかむセーフ?アウト?税務調査』『「顧客目線」「嗅覚」がカギ!選ばれる税理士の“回答力”』(清文社)がある。

“おかん税理士” 飯田真弓 公式サイト 「“おかん税理士” とは」

●飯田真弓さん著書
2013年 『税務署は見ている。』
2015年 『B勘あり!』
2016年 『税務署は3年泳がせる。』
2016年 『調査官目線でつかむセーフ?アウト?税務調査』
2020年 『「顧客目線」「嗅覚」がカギ!選ばれる税理士の“回答力”』

飯田真弓さんTwitter

●11月に発売!飯田さんのDVD情報
税務調査は心理戦! 元国税直伝 手強い税理士の交渉術 令和版

●2022年春の出版に先駆けた、web版の連載コラム(全5回)

第1回(11/8)
第2回(11/9)
第3回(11/10)
第4回(11/11)
第5回(11/12)

■SOCiAL BUSiNESS COMMUNiTY『ワクセル』
ワクセルは、コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくソーシャルビジネスコミュニティです。健全に学び、チャレンジし、成長し、達成し続ける人が次々と集まるコミュニティを作り続けます。

さまざまな分野で活躍する著名人や経営者、クリエイターの方々とコラボレートすることにより、下記の取り組みやコンテンツ制作を行っていきます。

・YouTube等での番組配信
・オンライン講演会
・出版プロデュース
・プロジェクト創出
・対談、インタビュー記事制作

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