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“元税務調査官”飯田真弓さんが語る「知っておきたい税務の知識~可処分所得編~」【ワクセル講演会レポート】

ワクセル主催のオンライン講演会のレポートです。
ワクセル(主催:嶋村吉洋)は、コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくソーシャルビジネスコミュニティです。

飯田さんの3回目の講演テーマは、「知っておきたい税務の知識〜可処分所得編〜」です。

飯田さんは、26年間、国税調査官として7カ所の税務署でのべ700件に及ぶ税務調査に従事されました。2008年に税務署を退職し、2012年に一般社団法人日本マインドヘルス協会を設立し代表理事に。税務調査と健康経営の切り口で、企業が活性化する研修を全国で開催し好評を得ています。著書には5万部を超えるロング&ベストセラー『税務署は見ている。』があります。

【こんな方におすすめです】

  • 起業や事業を始めた方、始めようとされている方

  • 可処分所得、所得税法について学びを深めたい方

  • 確定申告で押さえておくべき点を知りたい方

  • 税務調査で税務調査官がチェックするポイントについて知りたい方


【講義の内容】

  1. そもそも所得とは?

  2. 収入と所得の違いとは?実は明確に違う?

  3. 所得税法でいう所得とは?

  4. 特前所得とは?税務調査官はどこを見ているのか?

  5. ポイントとなる「可処分所得」とは?

  6. 重要!特前所得と可処分所得の見比べ

  7. まとめ

これまでの講演会をご覧になりたい方は、下記の動画リンクからご視聴ください。

【飯田真弓×ワクセル】知っておきたい税務の知識〜基礎編〜

【飯田真弓×ワクセル】知っておきたい税務の知識〜必要経費編〜

講演会のゴール


起業された方や、個人事業主の方は青色確定申告をしていることが多いです。
今回の講演では、確定申告において押さえておくべき点をお伝え頂きました。

数年後、税務調査が入った際に、過去の「知らなかった」という対応で痛い思いをせず済むように、飯田さんは早い段階からの準備を推奨しています。

・おさえるべき点を知る

確定申告は、「提出=内容が認められた」と思ってはいけません。
確定申告の時期は、各税務署が申込書を受け付ける期間なのです。
税務調査で調査担当者が確認して初めて、内容が認められたことになります。

税務調査が行われる契機には「任意税務調査」「反面調査」「査察調査(マルサ)」があります。それぞれ目的は異なりますが、いずれも実際に調査が来たときに調査官にきちんと説明ができるように備えておくことが大事です。

特前所得≒可処分所得

今回の講義のポイントは、特前所得と可処分所得をなるべく近づけることに尽き、税務調査が来ることがより少なくなると語る飯田さん。

「特前所得」や「可処分所得」とは何なのか。

税務調査官は何をチェックしているのか。
講演では税務調査官の観点からお伝え頂きました。

1.そもそも所得とは?

 所得税法は、所得を1暦年(1月1日から12月31日まで)ごとに区切って把握しているが、経済的利益をこの一定期間に限ってみると、経済力の蓄積として捉えることができる。したがって、所得税法上の所得とは、1年間に形成された各人の経済力の増加であると一応定義することができる。
 また、現行所得税法は、その所得の基因となった行為が適法であるかどうかを問わないこととされている。したがって、適法でない行為(例えば、賭博等)から生じた収入であっても、現に経済的利益が生じている限り所得となる(所基通36-1)。 

引用:国税庁HP 「所得税法 令和3年度版 税務大学校」

簡潔にいうと、所得とは一定期間(1年)で儲けた金額であり、たとえ賭博や拾得したお金であっても所得となることが定義されています。

所得税法では、10種類に区分されています。

  1. 利子所得

  2. 配当所得

  3. 不動産所得

  4. 事業所得

  5. 給与所得

  6. 退職所得

  7. 山林所得

  8. 譲渡所得

  9. 一時所得

  10. 雑所得

このうち、今この記事をご覧になっている方は「事業所得」に該当する方がほとんどかと思います。

「給与所得」「退職所得」は直近で会社勤めされていた方、退職金を受け取った方が対象となります。

所得金額は以下の計算式で定義されています。

給与所得の金額=収入金額ー給与所得控除額
事業所得の金額=収入金額ー必要経費

事業を始めた方には経費を意識していく必要があります。

2.収入と所得の違いとは?実は明確に違う?

「収入」や「所得」の言葉を聞いて、なかなか違いがすぐに理解できないことも多いといわれています。広辞苑では以下のように定義されています。

【広辞苑】オンラインサイトの定義
年商:1年間の商取引の全金額。
年収:1年間の収入。
収入:1年間の収入。金銭や品物などを手に入れ自己の所有とすること。また、その金品。所得。
売上:一定の期間に品物を売って得た代金の総額。売ったあがり高。売上げ金。
手取り:収入のうち、税金その他諸種の費用を差し引いた残りの、実際に手に入る金額。
所得:収入、利益。

所得税法上では、「所得」と「収入」は明確に違います。
広辞苑の定義は、混乱させる要因になっているのかもしれません。

3.所得税法でいう所得とは?

【確定申告書B】で記載されている、以下の項目のことです。

●所得金額等合計所得⑫
●課税される所得金額㉚

所得とは、儲けのこと。儲かったお金から、生活費を差し引いた残りのお金に税率をかけて、税金を計算するわけではないことに注意が必要です。

【青色申告決算書】では下記に記載されている金額です。

●差引金額㉝=特別控除を引く前の金額
●所得金額㊺=特別控除を引いた後の金額

4.特前所得とは?税務調査官はどこを見ているのか?

特前所得とは、特別控除される前の所得金額のことを言います。
【青色申告決算書】では「差引金額㉝」にあたります。

税務調査官は差引金額をみて調査を行うといっても過言ではないと、飯田さんは自身の経験から語ります。

5.ポイントとなる「可処分所得」とは?

可処分所得とは、個人所得から税金・社会保険料などを控除した残りの金額、つまり自分の意思で使える金額のことです。
【青色申告決算書】の「差引金額㉝」に近いかどうかがポイントです。

特前所得≒可処分所得

6.重要!特前所得と可処分所得の見比べ

「特前所得<可処分所得」というケースだと、過小申告の可能性があると推測されます。税務官は「生活ができているか?」「本当は別の収入があるのに申告してないのでは?」と予測を立てて調査に乗り出していると話す飯田さん。

また、経費には「自己否認」という考え方があります。これは、会計上で経費として費用計上したものが、税務上では経費として認められない場合に、自ら経費に計上せずに納税を行うことを意味します。
家事費等の自己否認をすることで、適切な所得を算出することが大事です。

令和3年度、少なく申告してしまうことがないよう注意を促してくださいました。

7.まとめ

税務官の視点から青色申告の注意点について、税務官は「差引金額㉝」の金額をみて、調査するか判断していると飯田さんからお話頂きました。
常に可処分所得を意識することで、適切な申告のさじ加減を体得しましょう。


■飯田真弓さん プロフィール

国税勤務26年、元国税調査官“おかん税理士“。
2013年『税務署は見ている。』を出版。
5万部を超えるロング&ベストセラー。
元国税調査官の洞察力と、産業カウンセラーの傾聴力で、
日本の中小企業の企業力(人間力)、生産性をアップさせるための支援業務を行う。

飯田真弓さんTwitter

●飯田真弓さん 著書
『税務署は見ている。』
『B勘あり!』
『税務署は3年泳がせる。』
『調査官目線でつかむセーフ?アウト?税務調査』
『「顧客目線」「嗅覚」がカギ!選ばれる税理士の“回答力”』

●2021年11月発売!飯田さんのDVD情報
税務調査は心理戦! 元国税直伝 手強い税理士の交渉術 令和版

●2022年春の出版に先駆けた、web版の連載コラム(全5回)
第1回(2021/11/8)
第2回(2021/11/9)
第3回(2021/11/10)
第4回(2021/11/11)
第5回(2021/11/12)


■SOCiAL BUSiNESS COMMUNiTY『ワクセル』
ワクセルは、コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくソーシャルビジネスコミュニティです。健全に学び、チャレンジし、成長し、達成し続ける人が次々と集まるコミュニティを作り続けます。
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