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競争を生き残るためのポジショニング戦略

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
今週は”競争戦略”にフォーカスして、激しい競争の中をどう生き残るかという方法論に触れてみようかなと思います。そうすることで、より「ポジショニング」の重要性が見えてくるような気がしています。それでは、いってみましょう!

競争を生き残る3つの方法

激しさを増す市場の競争の中で、企業が生き残るための方法は3つあるのだそうです。
1つめが「とにかく頑張る」、2つめが「競争相手を消す」、3つめが「他の企業と目線をずらす」です。ひとつずつ説明していきますね。

「とにかく頑張る」戦略

説明するまでもないというか、そのまんまなんですけどね。とにかく頑張るしかないです。(笑)
簡単に説明すると、同質競争を覚悟して競争に挑むという考え方です。販売価格を下げたり、価格はそのままでサービスの質を上げたりといった企業努力や、他社よりも多く営業活動を行う、生産の効率化を頑張るといった根性論に頼ることになりますね。いわば、「努力」による勝ち抜き戦略です。言い換えれば無策の状態で競争に挑むことになるので、あまりお勧めできる方法ではありません。

「競争相手を消す」戦略

競争相手をなくすという点で考えると、真っ先に浮かぶのは「ブルー・オーシャン戦略」なのですが、これはそもそも競争を避ける戦略であって、すでに競争状態の中で「競争相手を消す」ためのものではありません。
では、どうやって競争相手を消すのかというと、もちろん、競争相手の本社に火をつけるとかそういったことではないです。
合法的に競争相手を消す方法として考えられるのが「M&A(合併・買収)」ですね。ある程度体力のある企業でなければ取れない戦略ではありますが、非常に有効な手段です。
市場が縮小している業界では、もうひとつ取れる方法があります。それが「我慢比べ」です。数ある企業が淘汰されていく中で、なんとか生き残ることができれば結果として競合を消すことができますよね。ただ、これは「とにかく頑張る」戦略に近いものです。

「他の企業と目線をずらす」戦略

この方法は、一言で表すと「差別化戦略」です。お、マーケティングっぽくなってきましたね。競争戦略といえば、マイケル・ポーターですよね。氏曰く、「競争戦略とは他の企業との違いを出すこと(=差別化)である」と言い切ります。
他の2つの方法を考えると、「とにかく頑張る」はおすすめできませんし、「競争相手を消す」はあまり現実的ではないという企業も多いでしょう。どんな企業でも採用できる方法を考えると、「他の企業と目線をずらす」戦略すなわち差別化が最も適しているように感じますね。

ポジショニングについて考える

ということで、差別化についてもっと詳しくみていきましょう。差別化を考える上でポジショニングを知ることは重要です。ポジショニングについて、公式テキストでは以下のように記述されていました。

ポジショニングでは、ターゲットユーザーから選ばれる理由を作り、定めた市場で、どのような立ち位置にするかを決めます。競合に勝てる軸を定めることが大切です。
例えば、価格、品質、ロケーション、サポート体制などが軸になります。同じ市場、同じ商品であったとしても、サポート体制を充実させ高価格で販売する方法もありますし、多様なトッピングを用意してユーザーの詳細なニーズに応える方法もあります。逆にそのようなものを排除し、低価格で勝負する方法もあります。

『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2023』

競合に勝てる軸を定める=差別化の方向性を決めるということです。

3つのポジショニングタイプ

マイケル・ポーター氏曰く、ポジショニングは3つの類型に分類することができるそうです。

1つめが「特定のカテゴリに特化する」というタイプです。自動車業界で考えると、軽自動車を主力にするSUZUKIや、4WD車に主軸を置くSUBARUなどがその例として挙げられると思います。マニアックなところで、SUBARUは水平対向エンジンという技術的な差別化も実現しているのですが。

2つめは「特定グループの顧客に焦点を絞り、その顧客グループのあらゆるニーズに応える」というタイプです。ニッチ産業なんかまさにそれなんでしょうね。
百貨店が展開する「お帳場」という仕組みもこのタイプだそうです。富裕層でない「中の人」はこのお帳場システムを初めて知ったのですが、富裕層を中心に、一般のお客様とは別の待遇をすることを「お帳場」と呼んでいるそうです。営業の人が、お客様の家まで行って対応することもあれば、時期折々にホテルなどで催事を行い高級品を買いやすい価格で買えるように提供しているなど、本当に別待遇らしいですよ。この、お帳場ですが総売り上げの15%前後を占めるそうです。お帳場の催事では単価1000万円を超える腕時計が飛ぶように売れるそうなので、売上に占める割合にも納得です。世の中知らない世界があるもんですね〜。

3つめは「顧客へのアプローチを戦略的に組み立て、特定の顧客を取り込む」というタイプです。2つめとの違いは、目に見える形で絞り込むのではなく、価格・立地・商品構成や広告コミュニケーションなどの組み合わせ方によって自然とそういった顧客が集まるように仕向ける方法だそうです。みなさんご存知のファッションセンターしまむらは[郊外・低価格・豊富な品揃え]で郊外の一般家庭を取り込んだそうです。

ポジショニングの事例

ポジショニングについてはなんとなくわかったような気がします。では、具体的にどんな事例があるか見てみましょう。

コーヒーショップの事例

コーヒーショップといえば、第一に想起されるのはスターバックスでしょう。スターバックスは店内はゆったりとした空間で禁煙。単価は比較的高めに設定されており、商品提供も多少時間がかかりますよね。また、紙製のコップを利用することで食器がぶつかるカチャカチャという音を減らし、静かな環境を実現しているそうですよ。
対して、日本で最も多いコーヒショップ、実はドトールコーヒーだそうです。(2015年のデータなので少し古いですが)
ドトールコーヒは喫煙スペースを設けている店舗が多く、スタバに比べて単価も低めです。注文してからの提供は早いですが、食器がぶつかるカチャカチャ音が響きますね。
スターバックスはゆっくり過ごしたい人が訪れるのに対して、ドトールはビジネスマンが時間調整に利用したりと”ゆっくり過ごす”とは対照的な人が訪れそうですよね。
両者とも、企業からのアプローチによって結果的に対象とする顧客を絞ってニーズを吸い上げていますので、先に挙げたポジショニングの3つめの類型に当てはまります。

航空会社の事例

さて、もうひとつ。マイケル・ポーター氏の戦略論に度々登場するのは米国のサウスウエスト航空の事例です。
アメリカでは、ニューヨークやシカゴなどの大きなハブ空港に行きさえすれば、全国のローカル空港への便に乗り継ぐことができるため、多くの航空会社はハブ空港を抑えることに躍起になっていたそうです。また、予約システムや、マイレージなどのインセンティブシステムに巨額の投資を競うように行なっていたそうです。
一方で、サウスウエスト航空は、ハブ空港ではなく、ローカル空港間の直行便に目をつけ、システム系の投資を過大におこなうことはしなかったとか。
機内食廃止、他の航空会社への乗り継ぎなし、座席の指定なし、自動券売機などで徹底的にコストを抑え、小型の機体を利用して回転率を上げることで乗客を乗せたフライト時間を増進させることを実現。ローカル空港間を直行したいという、市場規模からすれば少数のニーズを掴むことで高い利益率を実現させた事例だそうです。
他の同質競争を繰り広げる企業とは全く別のポジションを確立したことによる成功事例ですね。

まとめ

競争状態にある市場で生き残るには、「他の企業と目線をずらす」ことで差別化をおこなうのが確実な方法です。そのために、ポジショニングを考えることが重要で、ポジショニングには3つの類型があることを説明してきました。
ポジショニングは、マーケティングの中でも基本中の基本と言われますが、それがもたらす結果は看過することはできませんよね。基本が大事というお話でした。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今週は[伊藤元重『ビジネス・エコノミクス』日本経済新聞出版]という書籍を参考にしています。経済学の視点からビジネスを解説していく書籍で、たくさんの企業事例にも触れていて厚みの割に読みやすい本です。控えめに言って面白いですよ。

ここ最近、「中の人」は何が忙しいのかよくわからないんですが、なぜか時間があまりなくて、インプットの時間が割けないのが悩みです。
それでもなんとか、毎週読者の皆さんに楽しんでいただける記事を提供できるよう頑張っていきますので、ぜひスキを押して帰ってください!笑

今週の参考文献はこちらです

それでは、また来週お会いしましょう。

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