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すごいね!じゃなくて、おめでとう。


ブラジルで学んだ嬉しい声かけ

おめでとうって言葉最近いつ使いましたか?

おめでとうと聞いて、1番に思い浮かぶのは誕生日でしょうか。
他には何かの受賞式?年が明けた時、結婚式、出産なんかでおめでとうと言いますよね。


私は以前、夫の仕事の都合でブラジルに住んでいたことがあります。

ブラジルでもお祝いの席でおめでとう(parabéns)というのですが、日本人にとっては少し違和感のある使い方もするので、ご紹介したいと思います。

私が初めておめでとうの使い方の違いに気づいたのは、ダンスの発表会です。ブラジルに行って、現地の言葉であるポルトガル語が全くわからなかった私は「ダンスであれば言葉はいらない!」と思い、ダンス教室に通い始めました。そこで参加した発表会。発表後、たくさんの方々におめでとうと言っていただきました。

日本人の感覚からすると「???」ですよね。発表会デビューおめでとうということでしょうか?

よくよく話を聞いてみると、「あなたのダンス、素晴らしかったわ。おめでとう。」「あなたの発表に感動したわ、おめでとう。」と言っているのです。

すごく違和感がありました。日本だと「すごいね!」とか「よかったね!」と言うのが適切だと思います。

でも、おめでとうと言われて、なんだかとても自分を誇らしく思えました。


また、私はブラジルで出産をしたのですが、子供を持ってからおめでとうと言われることがさらに増えました。

日本であれば出産おめでとうと言うのが通常ですね。でもブラジルのおめでとうタイミングが少し違うんです。
例えば赤ちゃんを連れてお店のレジに並んでいます。すると、皆さんフレンドリーに話しかけてきます。「ワァーなんてかわいい子なの。おめでとう。」
「天使のような子ね。おめでとう。」
はじめは、出産おめでとうと言われているのかと思っていました。しかし、いろんな人の様子を聞いていると、どうも「そんな素敵な息子を持っているあなたおめでとう」と言ってくれているようです。

「かわいい息子ね。よかったわね。」

日本文化に合わせて忠実に翻訳するのであればこうなると思います。

でも、ポルトガル語では確実におめでとう(parabéns)と言っているのです。

そして、おめでとうと言われる事は、すごいねーの何百倍も嬉しいと言うことに気づきました。

「すごいね。」 「よかったね。」って、なんだかちょっと重い感覚があります。
場合によっては「私はすごいことをやったのか!?」「やっぱり、喜ぶべき状況なんかな?」みたいに自分の感覚とのズレにモヤっとする場面もないこともありません。「すごいね!」と言われ続けると、プレッシャーが積み重なっていく感覚もあります。

日本人が「いえいえ、そんなことないですよ。」と返しがちなのは、謙遜の意味もあるかもしれないけれど、「ほんとにすごいともよかったと思ってない」っていう場合があるのかもしれないですね。もしくは、「ちょっとプレッシャーだよ〜」とか。

一方、おめでとうっていい意味で無責任な言葉だと思うんです。

なんかめでたいね。

それ以上でもそれ以下でもないんです。

「なんか素晴らしい状況だね!しらんけど。」っていういい距離感があるんです。自分的には誇らしくなくても、全然すごいと思ってなくても、「まぁ、なんだかいい状態なんだよな。」って気楽に捉えられるんです。


日本に帰ってきてからも、人に対しておめでとうと言えるタイミングは無いかなと日々探しながら生きています。

特に息子に対しては、可能な限りおめでとうを言っています。自分でトイレができた。ピーマンが食べられた!と言うような何かができた時はもちろん。

その他にも、ご飯がおいしかった。幼稚園が楽しかった。そんな時にもおめでとうと言っています。

子供の頃からおめでとうと言われている息子には、日本語の「すごいね。よかったね。」的なちょっとしたプレッシャーを感じさせてしまっているかもしれませんけど。それでもいいんです。

私は、おめでとうと言われて嬉しかった。周りの人にもいっぱいおめでとうと言ってあげたいなと思っています。

いいとか、すごいとかじゃなくて、めでたいかどうかを基準にすると、毎日がお祝い会になりますよ。


今日もとりあえず生きてるね。おめでとう!


あおやま みさき

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