歪み。
伊豆諸島旅行から自分の心がムズムズしている。
「やりたければやればいい」
大島で出会った言葉。
島民のマインドが心に何度も刺さった。
初めてそのまま、見たものを描いた。
温泉、温泉でくつろぐ女性達のヌード、溶岩と溶岩で出来た観音様、台風、月と海。
ある程度描き込んだ時にやっと気づいた。
こんな描き方はした事がなかった。
世界は広い。描ききれないほど。
そして今まで自分はあんなに狭い世界、自分の心の中だけを見つめていた。
そして歪めて描いていた。
島民のコウさんから「独特だね」と言われた。
今まででは一番素直に表現したつもりだったが、それでも私のクセによる歪みは残る。
歪み。
思い返してみた。私の過去を。
苦しかった。ドロドロとしていて真っ暗だった。
端的に情景を思い出す事はできる。けれど全体的に思い出そうとするとダメだった。私はあの頃、自分の心ばかり見つめていた。
それは今でもそうなのだが。
だから私の過去は私の感情によって常に歪んだ表現をされる。
私の絵は、服は、作るものは歪んでいる。
島と人に出会ったことで「ありのままを表現する」ことを知った。
だから自分の歪みに気がついた。
インスタグラムで海外のアーティストと繋がり、会話をしている間に気がついた事がある。彼はフェミニストで、ありのままの女性を表現する事を大切にしていた。女性のヌードモデルに加工をしない、と。自分や、あるいは男性、欲、それらによって歪めた表現をしない。と。
私も男尊女卑を嫌い、個人を、自分を、女性という性別を大切にしたいと考えている。
が、私の作品は全て彼が言っていた歪んだ表現方法が使われている。
エロ漫画、BL、百合、少女漫画、少年漫画、いろんな漫画を読んだ。
それぞれに、それぞれの理想が詰まっていた。理想というのは歪みだ。
フェミニストは男性目線によって歪んだ女性像を嫌うが、少女漫画やBL漫画、女性向けエロ漫画だって、女性にとって都合の良い男性像が描かれている。
誰しもが性に対して理想という歪みを持っている。
オタク育ちで漫画の表現方法、イジメの経験から感情で歪めた表現をする事。それが自然な事だった。だからなんとも思っていなかった。
けれど、大島で描いた表現方法、フェミニストの作家さんが大切にしていること、これらを知って私はこの「歪み」こそを大事にしたいと思った。
過去も、性も、感情や欲望で常に歪んでいるのだ。
誰しもが歪みを持っている。
私の過去は歪んでいる。
苦しかった。辛かった。痛かった。暗かった。
死にたくて真っ暗。
そればかりだったということ。
狭くて何も見えていなかった。
感情で埋め尽くされた世界はどうなっているのか。
私の性表現も。
支配したい。服従したい。自由でありたい。
どんな欲望で私や相手を表すのか。
それを見た誰かは己がどんな歪みを持っているのか気づくだろうか。
伝えたい、誰かに、皆に知って欲しい。
そう思った。
誰しもが必ず持っている感情と理想は、歪みだ。
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