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「八日目の蝉」婚外子と外国から見た不思議

 こんにちは!角田光代さん原作の「八日目の蝉」を観た感想をまだ熱冷めやらないうちにとしたためます。

 元来、本を読むのが苦手な私。それを克服するために読書サークルに入り、仲間とzoomで活動しています。

 角田光代さんの作品を読んだ仲間が、「すごくよかった!」と言っていたことから、取り急ぎ映画!時間作りが下手くそだから(笑)

婚外子を嫌う日本

 日本では元来、結婚⇒同棲⇒妊娠⇒出産というライフシフトが人生の形という固定した価値観が存在します。私たちの親世代(私は30代後半)ももちろんそのような考えであったし、私たちにもそうしてほしいと思ったことでしょう。

 この映画からは、婚外子や非嫡出子を「悪」、または「都合の悪いもの」とした日本人の価値観としての位置づけが如実に表現されています。もちろん作者の考え方ということではなく、作者が設定した時代背景とか、主人公の環境ということからです。とは言っても、同じ価値観を持った世代や人々がこれを観ると、強く共感することでしょう。

戸籍がないと人じゃない日本

 婚外子から連想するところに戸籍があります。日本以外の国では、戸籍が存在する国はありません。それに代わるものや名残がある地域はあります。外国では、生まれたらそれだけで身分証が発行されます。その身分証をもって自分という存在が客観され、人間という社会的な生き物としての人生が始まります。台湾は国というのかどうか色々な考え方があるので除いたとして、日本の植民地であったことから住民統治・管理のために戸籍が存在します。産み落とされただけの子には何者でもないというレッテルが貼られてしまう現状の日本。戸籍が作れない子は社会に入れない日本がこの映画から浮かび上がりました。

 それと同時に、戸籍があったとしても「父」欄が空白であることを嫌う社会でもあります。世襲貴族でもないのに、この人生という荒波を生きていくために、「父」がだれであったかを気にする必要はあるのでしょうか。極端にいうとそんな考えにも落ち着いてしまった私です。

婚外子を認めない税制度

 私はまだ子どものときに父を病気で亡くしています。母は若いころ勤めていた忙しい会社を辞め父と結婚し、事務仕事をしながら私を育てました。と聞くと苦労してそう…と読者からはステレオタイプ的に思われると想像しますが、我が家はそれには当てはまらない環境でした…(以下関連しないので省略)

 この「苦労してそう」という直感的な印象は日本においては間違ってないのですが同じ片親家庭でもかなりの格差が生じています。日本は寡婦・寡夫控除などの「結婚していた人(離別・死別)」だけを対象とする公助の税制がメインなのです。税制が「世帯」単位なのです。

 結婚していない男女の間に生まれた子は、それを育てる生物学的に言う親に対する、また子に対する扶助が少ないのだそうです。(詳しくは勉強中)

 子どもをひとりで育てていくつもりならば一度結婚しておかないと、公助の制度を受けられないため経済的に大変なのです。ということはもともと、この国は「子どもをひとりでは育てられない環境」を自ら作り出してしまっているのです。

 児童扶養手当の所得制限に関しても、子どものための手当のはずなのに、扶養する親の年収に制限があり、基礎控除、扶養控除や寡夫控除などの控除類を総動員していても、それもとても厳しい金額です。

 例えば年収500万円あれば既に支給停止水準かと思います。(親と子で2人で暮らしている場合)ということは、首都圏を拠点とするシングルマザー・ファザーにとっては、副業や地方への移住など考えることも候補にあがるのではないでしょうか。

厚生労働省HPより~児童扶養手当制度改正について~

少子化を克服するために結婚率を上げるのは有効なのか

 私が結婚したのは32歳です。私にとって「結婚すること」は毒親家庭に育ったこともあり、とてもハードルが高かったです。結婚することは半ばあきらめていたのが実際です。「結婚することは難しい」という立場の方が、生き方・働き方の多様化によってどんどん増えているのではないでしょうか。

 結婚したとしても、子どもを授かるかどうかなんて分からないので、結婚率を上げることが必ずしも少子化克服とは直結しません。

少子化を克服している海外の国は何が功を奏しているか

 日本は前述のとおり、婚外子を嫌う制度がおおむね整っています。少子化を克服した諸外国のうち、は税制改革を行ったそうです。世帯単位の課税ではなく、個人の課税制度を整えたのだそうです。デンマーク、スウェーデン、フランス、イタリア、フィンランド…が挙げられます。勉強させていただいた論文はこちら

税財政システムから見た少子化対策(論文)

 また、日経新聞に5年ほど連載されていた水無田気流先生もそのような点に着眼されていると著書に著されています。

結婚しないと子どもを産んではならないと思いますか。

 では問います、あなたの父親は、父親たる役目を100%果たしたと

あなたは思いますか?また、あなたの母親は夫に対してどんな評価をしていますか。命をかけて産んで、血液増産して母乳を飲ませ、死にやすい命を全力で守りながら、夫の食事を作り、片付けをし、夫の服を洗い、家の掃除をし…いい加減にしろーー!父親なんていらないよー!なんてことを言いたいのではないのです。

 子どもを産み育てたい人を応援する制度に日本が変化しなけらばならないことにもっと気づかないといけない。「八日目の蝉」を観て私が最も感じたのはそのことなのです。


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