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ネバネバ食材を調べていたらアフリカ大陸に行き着いた話

山芋、納豆、オクラ、モロヘイヤ、ツルムラサキ。蕎麦にばばーっとかけて、ダシを感じながらつるっと食べると喉越しもいい。夏じゃなくたって、いつでも食べたい。
でも、あんまりネバネバしたものを洋画で見ない気がする。洋画でネバネバと言えば、だいたい登場人物が浴びて「クソ!」とか言うスライム状の何か。
食べるとなったらそれなりに抵抗があったりするんだろうか。

モロヘイヤの里で育った

まず、九州から上京してきた時に、スーパーにモロヘイヤが無くて困惑した。食卓に普通にあったモロヘイヤ。あぁ懐かしき故郷の味…。
たまーに入荷しているモロヘイヤは、地元産なこともままある。遠路はるばるよう来たね、と、見かけるたびに買ってしまう。

逆に、関東ではツルムラサキを割と見かける。地元・九州に住んでいた頃は噂にだけ聞く存在で、見たこともなかった。ネバネバしているなら食べたい、けれども売っていないという認識だ。

いや、単純に隣の市などに行けば売っていたかもしれない。
モロヘイヤの里においてツルムラサキは「たけのこの里陣地におけるきのこの山」みたいな扱いな可能性も捨てきれない。
まぁとりあえず私は見たことがなかった。

南のモロヘイヤ、北のツルムラサキ

「東のアンコウ、西のフグ」みたいな。
納豆と山芋とオクラは有名なのでちょっと置いておいて、「ネバネバ野菜」を見てみると分布が少し違う。

国内の産地でみると、モロヘイヤの生産数の上位は群馬・沖縄・神奈川に占められている。
ツルムラサキは、福島・宮城・徳島が上位に入っている。あれ、徳島は結構南だな……。
まぁ、フグの漁獲量なんて見てみると上から北海道・石川・宮崎と結構ばらけるから大目に見てほしい。

詳細な品種まではわからないのでざっくりになるが、むりやり分けようとするなら、日本の南側にモロヘイヤ、北側でツルムラサキの傾向があるかもしれない、程度である。ヌルッと読み飛ばしてもらいたい。

世界ではタテヨコな分布

世界での分布を国ごとの生産量で見てみると、これもまた地域が分かれていた。分布は横と縦になるのだ。世界史の先生が言った「地図を上下左右で指すな」の教えを若干破っているかもしれないと戦々恐々だが許してほしい。ごめんなさい山口先生。

モロヘイヤという名前からも異国感があるが、これはアラビア語のエジプト方言だという。エジプトやトルコ、中近東、ちょっと飛んでインド西部に分布しているらしい。
ヨコに広く、乾燥帯の地域にあると見ていいかもしれない。

ツルムラサキは東南アジアが原産で、東南アジアから中国南部にかけて分布するという。世界地図でみると範囲は狭いけれど、アジア圏ではタテに広いとも言える。

東西南北じゃ語れない

冒頭でざっくり「南のモロヘイヤ・北のツルムラサキ」と分けたが、そもそも日本で栽培され始めた時期が結構遅い。
モロヘイヤは1980年代、ツルムラサキは食用としては70年代からだという。
ツルムラサキを「北」と言いつつ徳島がランクインしていた時点で薄々分かってはいたが、勝手な想像は大外れと言うことだ。

現在の分布の背景には、気候はもとより日本で食用として栽培され始めた時期が遅いことや地域ごとの需要、農業的な勢力範囲(?)とかの影響もあるのかもしれない。
ツルムラサキは染料として使われていたらしいという話も見かけたので、文化的・社会的背景も考慮しないと何とも言えない。

海外でも案外食べられてるネバネバーず

洋画の舞台となりがちな欧米圏では、あまりネバネバの食品は食べないらしい。
ただ、調べていて興味深かったのは、山芋(ヤマノイモ)の生産量ランキングだ。
なんと世界での生産量1位〜8位まで、アフリカ大陸が占めている。

2018年にアフリカ大陸で生産された山芋は総生産量の98%にのぼる。
これはイモ類を主食とする文化が多分に影響しているらしい。芋を挽いて湯で練った「フフ」を主食にするらしい。

https://www.ganas.or.jp/20180605yam/

フフの食感はネバネバではなくモチモチなのかもしれないが、これはきっと美味しい。多分好きだ。見た目と製造工程はほぼ餅だ。餅も大好物である。フフは日本でも探せばあるという。きっとスーパーでのモロヘイヤ探しよりも大変だが、これは価値ある探究だ。

そういえば、モロヘイヤの生産国には西アフリカの国々も登場した。
アフリカの存在が一気に近くなった感じがする。ネバネバ愛好者として、まずはアフリカ料理を食べることをTODOに入れねばならない。ネバネバ、フォーエバー。



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