平衡装置:映画「イコライザー」(2014)
人は見かけで判断できない
予告もホームページも見ないまま観にきてみた。物騒なポスターだなぁと思いながら映画館に入る。
いざ始まってみると全然違うじゃない!ホームセンターで働く穏やかな男が、夜にはカフェで本を読んでいる。
あれ、ポスターは見間違いだったかな。
と思っていたらこの従業員の正体は、カフェで出会ったロシア人娼婦の女の子がマフィアにより苦しんでいるのを「どうにかできる」とんでもない人物だった。
実はこの男、デンゼル・ワシントン演じるマッコールは19秒で世の不正を完全抹消してしまう、正義の側の人殺しだという。
バラエティ豊かな仕事道具
なお彼は、銃など持ち歩かない。
拳やコルク抜き、時には商品のハンマーを使って「抹消」する。イコライザーは英語スラングの銃のことかと過ったけれど、こっちの方がかっこいい。
本作は80年代にアメリカで人気を博したテレビドラマの「ザ・シークレット・ハンター」シリーズのリメイクである。
オリジナルとは違い、ボストンが舞台となり、日常風景は都会すぎず共感を呼ぶ。何と言っても、深夜の豪雨の代わりに電気が消えたホームセンターのスプリンクラーだ。
それでもハリウッドらしいヒーロー万歳のご都合主義は炸裂する。少しおかしい感じのかっこよさが、少しお腹が出たヒーローにはちょうどいい。
日本の公式の解説では「イコライザー」という言葉を「抹消」と扱っているが、本来はequal( イコール) の類語であることからもわかるように「等しくするもの」という意味である。
彼は抹消装置というより、世の不正を真っ平らに正してしまう平衡装置なのである。余計に正義の味方感が強まる。
2014年10月 執筆
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