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あなたのステーブルコインは本当にステーブルコインですか?(コラム)

ステーブルコイン はペグを目指す先(ドルや金)と同価格を目指す暗号資産ですが、正しく理解しなければ同じステーブルコインを保有していても損失を被る可能性があります。ここでは担保型ステーブルコインの一つである、Circle(サークル)社の発行するUSDC(ユーエスディーコイン)を例として深堀りしてみましょう。(関連単元:ステーブルコインの基礎知識 - 日本と海外の違い


複数のUSDCが同時に存在することも

Ethereum(イーサリアム)やAvalanche(アバランチ)、Polygon(ポリゴン)など様々なパブリックブロックチェーン上にUSDCは存在していますが、どのチェーンにおいてもUSDCは等しく等価なのでしょうか。Circle社は2023月10月現在、15のブロックチェーンでUSDCが発行されていますが、その他のブロックチェーン上ではUSDCは使えないかと言えばそうではなく、Circle社が対応していないはずのブロックチェーンでもUSDCを見かけることがあります。

USDCは2023年10月現在、15のブロックチェーンで発行されています(出所:Circle)

Circle社が対応・発行しているUSDCは「ネイティブUSDC」と呼ばれ、その他のUSDCとは区別されています。ネイティブUSDCが発行開始されるまで、Circle社とは別の発行体がネイティブUSDCを担保にし、そのブロックチェーン上で仮USDCの発行をしていることも起きています。実際に、AvalancheやArbitrum(アービトラム)上にはUSDC.eとUSDCという2種類のトークンが存在しています。

ブロックチェーンが動き始めた初期の頃は別の発行体(この場合はAvalancheやArbitrumが提供していたブリッジと呼ばれる、ブロックチェーン間で情報・資産を移動させるアプリケーション)によって発行されていたUSDCが、ネイティブUSDCの進出によりUSDC.eという名前に変更されて共存しています。そのため、同じブロックチェーン上にあたかも2種類のUSDCが存在する状態になっていますが、Circle社が発行体となっているのはUSDCであり、初期にあたかも本物のように使用されていたUSDC.eはCircle社からサポートされないことが明言されています。

このように黎明期ブロックチェーンによっては、USDC(xxx)、USDC(yyy)、USDC(zzz)など、仮USDCを発行している複数の発行体が存在し、複数のUSDCが同時に存在していることがあります。

Nomadブリッジハッキングでブロックチェーンが大混乱

仮USDCの担保は大体の場合、発行体の スマートコントラクト 内に保管されているネイティブUSDCであるため、ハッキングの対象となりがちです。2022年8月2日に起きたNomad(ノマド)ブリッジハッキングにおいては約200億円の資金が流出し、Nomadが発行していた仮USDCなどを含むトークンの裏付け資産がなくなり、ブロックチェーン上が大混乱に陥りました。また、裏付け資産を喪失したため、Nomadが発行していた仮USDCの価格は暴落しています。

ブリッジを対象としたハッキングは被害金額が大きくなることが多く、対象となったブロックチェーン上の資産に大きな混乱をもたらします。2022年においてはNFTゲーム「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」のRonin(ロニン)で約900億円、Harmony(ハーモニー)で約150億円の損失が生じています。

2022年に起きたブリッジを対象としたハッキングの被害金額トップ4(出所:SlowMist)

ステーブルコインとは言え、保管するブロックチェーンによってはこのようなリスクに晒されている可能性があり、「ステーブルコインだから大丈夫」とは必ずしも言い切れません。Circle社のUSDCやTether(テザー)社のUSDT(テザー)など、保有するトークンの発行体のウェブサイトなどにどのブロックチェーンが対応しているか明記されているため、情報を常に確認し、二次被害を被らないようにしましょう。


制作:株式会社Kudasai

株式会社Kudasaiは、2020年に創設された日本最大級の暗号資産コミュニティ「KudasaiJP」を起点とし、株式会社化されました。株式会社KudasaiはWeb3企業のみならず、Web3に関わる全てのプロジェクトや企業の成長を支援する企業です。ブロックチェーンスタートアップの計画・開発やアドバイザリー、コミュニティ拡大まで、多面的かつ包括的な成長支援ソリューションを提供しています。

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