日本国が「目指したもの」8~わが国の『資源活用の未来』について考える~(後編)ー日本人のための『和の国・日本国』講座80ー
こんばんは。高杉です。
日本人に「和の心」を取り戻すというスローガンのもと
『和だちプロジェクト』の代表として活動しています。
さて、
前回まで
のテーマでお話をさせていただいています。
前編・中編の続きからお話をさせていただきますので、
ぜひ、ご覧になってから、見てくださいね!
今回は、
わが国の「林業」はどのような状況になっているのか?
どのように活用していくのか?
に迫っていきます。
1)失われつつある「日本人の自然観」
日本人の古来の自然観では、
大自然は物質、エネルギー、生命の循環からなっており、
人間はその循環の一部をいただくことで生かされています。
そのため、
私たちが使わせいただくエネルギーも循環性を持たなければなりません。
近代物質文明は「鉄と石油」の文明でした。
鉄鉱石や石油を地中から掘り出し、
世界中で高層ビルや自動車や家電製品を作り、
どこでも快適な都市生活を送れるようにしてきました。
その最先進国である我が国は、
鉄鋼用に鉄鉱石を、
エネルギー源にプラスチック製品としての原料として
石油を輸入しています。
かつての日本文明では、
家屋や道具の原材料は、木材でした。
原材料もエネルギーも輸入品に代替えされてしまったために、
経済の中心は臨海都市部に移り、
経済的役割を失った山村が過疎化してしまったのです。
2)我が国の林業が抱える問題とは?~担い手の減少~
その他にも農業と同じように、
林業の疲弊ぶりも似たような状況があります。
林業就業者数は、2015年でわずか4万5000人。
1990年では、10万人だったので、25年で半数になってしまいました。
このペースで減少が続くと、
林業に携わる人も加速度的に減少が進んでいくことが想定されます。
3)我が国の林業が抱える問題とは?~労働環境~
林野庁は若者の新規終業に力を入れていますが、
などの理由から、なかなか定着することが難しいという実態があります。
4)我が国の林業が抱える問題とは?~輸入依存による国内自然環境の荒廃~
わが国の「森林率」(国土が森林でおおわれている比率)が
どのくらいかご存じでしょうか?
日本国は、なんと68.5%と先進国では、
フィンランド(73.1%)、スウェーデンに続き、
世界第3位となっています。(2015年)
わが国は、フィンランドと同じくらいの国土面積ですが、
約20倍もの人口を抱えていることを考えれば、
この数値はほとんど奇跡と言っても過言ではありません。
しかし、「木材自給率」で見ていくと、2021年で約41%。
我が国は、
世界第3位の森林率を誇りながらも外国から大量に木材を輸入しているのです。
森林率が高くとも、質が問題なのです。
森林を適切に維持管理するためには、
「伐採率」(年間の樹木の成長量に対する伐採する量)で
6~8割を安定的に維持することが望ましいのですが、
わが国は、達成することができていません。
わが国の森林は、
林業従事者が不足していて、伐採の手が十分に入りません。
特に、
一斉に同じ種類の木を植える人工林では密林状態になってしまって、
日が差し込まず、
木は十分に育たず、
下草は生えずに根が張らないため、地盤が緩くなってしまっています。
健全な山林では、下草や落葉、落枝などが堆積して土壌が形成され、
雨が降った時に雨水がゆっくりと地面に吸収されていくのですが、
つるつるの山の場合は雨水が土壌にしみこまず、
沢に流れて、洪水や土砂崩れなどの災害の危険性が高まってしまいます。
そのため、
森林はたくさんあっても、実際に活用できる木材は少なく、
輸入依存で自立性もありません。
自国の森林は、放置交荒廃させ、
他国からの輸入で賄っているという
本当におかしな事態になってしまっています。
5)我が国の林業が抱える問題とは?~補助金頼みによる国富の浪費~
さらに、
林業に関わる経費の7割程度が補助金頼みになってしまっています。
など、自律性も循環性もない、持続不可能な状態になっているのです。
では、なぜこのような状態にまでなってしまったのでしょうか?
6)どのように我が国の林業を再興させることができるのか?
そのきっかけは、
戦後復興期から行動経済成長期にかけて大量の住宅建築が必要となり、
不足する木材を海外から大量に輸入するシステムが出来上がってしまった
ことでした。
安価な規格木材の大量輸入が、
グローバルな近代物質文明によって実現しました。
それによって、
国内材の価格が下落し、収入を圧迫された森林従事者が減少し、
ますます供給が不安定になるという悪循環に陥っています。
現在では、国内材の価格は輸入材と同程度に下がっていますが、
森林従事者の大幅な減少で、
一定の木材を要求納期通りに納入すること自体が
難しくなってしまっているのです。
また、技術的な問題もあります。
日本の樹木は「杉」が中心ですが、
杉は乾燥が難しく、
自然乾燥には「一寸(約3㎝)一年」の期間が必要と言われています。
10㎝の角材なら3年ほども寝かせなければなりません。
その期間を縮めようと高温乾燥すると、木が反ってしまいます。
1%縮むと3mの角材であれば、3㎝の反りになってしまい、
この角材を家で造ったら隙間だらけになってしまうので、
乾燥後に木材を削って、再度、寸法調整する必要が出てきます。
この問題を解決するために、日本国内で奮闘している方々がいます。
それが、
アイ・ケイ・ケイ株式会社の代表取締役・伊藤好則(よしのり)さんが
開発した
木材乾燥装置『愛工房』です。
これまでは、
100度で一週間かけていた乾燥を、
45度でわずか一日で行ってしまうのです。
高温乾燥した杉材は、
表面はきれいでも内側はパサパサで、芯の水分は残ってしまいます。
さらに、
乾燥の過程で、本来杉がもつ、
木の防虫・抗菌作用を持つ精油成分や癒し効果を持つ芳香成分が
出てしまい、杉の色や、艶、香りも失われてしまいます。
そのため、
乾燥後に殺虫剤や防腐剤を加圧注入したり、
蒸気でしみこませたりしているのです。
それに対して、
「愛工房」で乾燥させた木材の含水率は6~7%となっており、
杉の色、艶、香りも残したまま乾燥させることができるのです。
「愛工房」で乾燥させた木は生きているので、
安らぎやリラックス効果を持つ芳香を部屋中に放ち、
自宅で沐浴林ができるほどです。
このような自然を大切にした優れた技術が
我が国に希望の光をもたらしてくれます。
他にも、
近年、木のいのちを生かす画期的な技術が生まれようとしています。
紙や綿花は植物の繊維を取り出して作られますが、
同様に、
植物繊維の主成分であるセルロースを一ミリの1000分の1の細さで取り出した材料が
「セルロースなのファイバー(CNF)」です。
CNFは樹木の強さを引き継いで、
鉄鋼の5分の1の軽さで5倍以上の強度を持ちます。
自動車のドアなどの車体材料に用いれば、
2割程度軽量化できる可能性があります。
また、歯車や軸受けなども試作されています。
建築も、CNFの構造材で骨格を作り、
ガラスはCNFによる透明な代替材料を使えば、
森林由来の材料で自然と人間にやさしい建物ができます。
CNFは、プラスチックの代替材料としても使うことができます。
森林の3分2を占める杉やヒノキなどの人工林において
木材の蓄積量が毎年7500万立米増加しています。
木材1立米の重量を400㎏とすると、
その半分はCNFなので、
人工林で毎年1500万トンのCNFが蓄積していることになります。
それは、
なんと年間におけるプラスチック消費量の約1.5倍の量に匹敵するとの
ことです。
つまり、
現在国内で消費されているプラスチックはすべてCNFに置き換えることも可能なのです。
原料となる木材パルプは国産原料であり、
1㎏あたり100円以下という安価で、
大量かつ安定的に手に入れることができます。
その分の石油輸入もする必要がなくなります。
また、CNFは従来の紙と同様の廃棄・リサイクルが可能であり、
そのための技術や社会インフラがすでに確立されています。
海外の原油や鉄鉱石に依存してきた我が国の産業形態を
林業、製紙産業、高分子化学産業、部素材加工業、
自動車・家電・建物産業が垂直につながった
自国の持続型資源による産業形態に変えることができるのです。
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自分や自分の家族の幸せだけを願っていた僕が、この日本国に生まれ、日本人として生きることができ、本当に幸せだな。誇りに思うことができるようになりました。
だから、あなたにも知ってほしいのです。
私たちが生まれた日本国が本当に目指していたものを。日本国が本当に素敵な国だということを。
そして、今日まで、私たちが豊かな暮らしを営むことができるこのすてきな国が続いているのは、日本国を、私たちを命がけで守ってくださった先人たちのおかげであるということを。
先人たちが大切にしてきた精神性。
僕たちの心の中に眠っている精神性。
『和の精神』を呼び覚まし、再び日本を皆がよろこびあふれる豊かな国にしたい。
自分を、自分の国を堂々と語り、誇りに思ってほしい。
子どもたちが希望を感じ、いきいきと輝くことができる国にしたい。
それが今、我が国に生きる僕たち大人の役割だと思うのです。
一緒に、日本を学びませんか?
最後まで、お読みいただきありがとうございました。