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Afterコロナを見据えた顧客との向き合い方とは?【ウェビナーレポート後編】

コロナ禍では、お客様の成功に向けてどのように伴走していくのがいいのか。
先日ご紹介した、「変化を先読みするCustomer Success ~Afterコロナ時代における顧客との向き合い方~」をテーマで開催した対談ウェビナーの内容についての【後編】です。

前回の振り返り

最初に、前回の内容を振り返りたいと思います。
今回は2回にわたって、弊社とアイティクラウド社によるオンライン対談の模様をお伝えしています。対談テーマは、「コロナ禍」という非常事態に際し、世界は今、Withコロナ・Afterコロナを見据えた新基準(ニューノーマル)への対応を求められている中で、日本企業はいかにして生き残り、ビジネスを成長させていくべきなのか。

【前編】では、急に直面した新型コロナウィルスにより、自社に起こった実際のできごと、そして、お客様側での急激なIT化・既存のDXの流れが加速しビジネスに変化が起きていることについてや、Withコロナ期におけるお客様との向き合い方として、新規顧客の獲得よりも既存顧客を守ることがより重要となり、その過程でカスタマーサクセスは重要な役割になることなどについてお伝えしました。
【後編】ではどのような内容が語られているのか、ぜひご覧ください。

<スピーカー>
バーチャレクス・コンサルティング株式会社 取締役 奥村祥太郎
(以下、奥村)
アイティクラウド株式会社 代表取締役 黒野源太氏(以下、黒野)

Afterコロナ期の予測と準備について

奥村:次に、Afterコロナ期についてです。Afterコロナ期では、「デジタルであること」が当たり前になると考えています。現状では、一般的なマーケティングとデジタルマーケティングは区別されています。Afterコロナ期にはこうした区別が無くなり、マーケティングはデジタルマーケティングを当然含むものになるわけです。かつてEメールが登場して間もない頃は、メールとEメールを明確に区別していました。しかし現在はどちらも「メール」で通じてしまいますよね。こういったレベルの意識変化が起こる可能性が高いと考えています。これは顧客側にも起こり得ることです。したがって、顧客側の意識変化にどう対応していくかがAfterコロナ期の課題になるわけです。つまりデジタル化が当たり前になる中で、自分たちのビジネスプロセスを見直すという対応が重要になると思います。

さらに、こうした変化に対応するため、トップダウンによりカスタマーサクセスを普及させ、そこに至るまでのチェンジマネジメントも推進していく必要があると考えています。

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特に、営業・マーケティング領域では、カスタマーサクセスで言うところの「ハイタッチ」※1から「テックタッチ」※2への移行が必要なのではないかと考えています。

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日本はこれまで、対面を前提とした属人的なアプローチが通用しやすい環境でした。いわゆる「ハイタッチ」ですね。一方、デジタルマーケティング発祥の地である米国では、国土の広さから日本のように気軽に会うことはできません。加えて、多民族国家という文脈の中で、顧客と間に共通認識を形成するためのツールが必要だったわけです。そのツールとは「フレームワーク」や「方法論」「テクノロジー」です。これはいわゆる「テックタッチ」です。

日本でも、コロナ禍の影響から対面でのアプローチが難しくなっています。そのため、ハイタッチに頼った営業・マーケティングから脱却すべき時かもしれません。多くの日本企業は今もなおハイタッチを得意とする傾向があるため、テックタッチへの変革をどうマネジメントするかが課題になると考えています。


黒野:私も海外のベンダー様を訪問する中で、営業のあり方については日本が見習うべき部分が多いと感じています。

奥村:すでに海外では10年以上前から、クロージングまで対面での商談を行わないという方針を打ち出している企業がありました。日本でも対面営業自体が許されない企業が増えています。こうした状況に対応するため、トップダウンでのチェンジマネジメントが必要になるでしょうね。ちなみに弊社では、Afterコロナ期における「勝ちパターン」を定義しています。これは、米国のデジタルマーケティング企業「HubSpot社」が公開している「フライホイール」という考え方を参考にしています。

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フライホイールは、「顧客満足度」「顧客の進化」「自社ビジネスの成長が連鎖し、ビジネスが成長していく力になるという考え方です。フライホイールについてはITreviewでも参考にされていると聞きました。

黒野:そうですね。今までならばマーケティングといえば「ファネル型」の考え方が主流でした。つまり、企業側からの情報発信によって認知・興味を促し、購入まで導く形式です。ファネル型では、顧客は「結果」であり、結果に至るまでのエネルギーは一方通行でした。このエネルギーとは、簡単に言えば広告です。しかし、情報の非対称性が進む今、一方的な広告だけに予算を投じても効果が薄いのが現状です。まさに「底が抜けたバケツ」のごとく、広告だけが市場を素通りする状態に近くなってしまいます。

一方、「フライホイール型」の考え方では、顧客からの声を起点とし、「製品・サービスの改善」「ファン化した顧客による啓蒙と情報拡散」「商談時の優位性向上」というサイクルを循環させることで、マーケティングの効果を高めていきます。

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実際にフライホイールを用いたマーケティング手法としては、ファン化した顧客を招いてユーザー会を開いたり、口コミサイトによる高評価を自社LPに掲載したりといった施策が考えられるでしょう。また、バナー広告に口コミサイトの評価を掲載することで、CTRの向上なども期待できます。

さらに米国では、自社の評価をセールスシートに記載し、受注率を高めているケースがあるようです。例えば、製造業の新規顧客へ営業をかける場合、製造業の既存顧客から評価・評判を集め、営業材料の信憑性を高めているという事例もあります。

「顧客の声」を中心としたフライホール型の考え方は、顧客満足の向上や受注率・契約率の改善に無くてはならないツールだと言えるでしょう。

奥村:何かモノやサービスを購入する前に、顧客側で評価・評判のリサーチを行う時代ですからね。これまでBtoBの分野では、複数社の営業担当に直接会って話をきき、比較を行うという流れが一般的だったと思います。しかしコロナ禍をきっかけとしてデジタル化が進むにつれ、対面での情報収集・比較は難しくなるでしょう。つまり、オンライン上から顧客視点のリアルな評価・評判を集め、比較・検討の材料にするという流れは、当たり前のように行われるでしょうね。

黒野:日本でも既にBtoCの分野では、製品・サービスの評判をオンライン上の口コミサイトで取得し、比較・検討するという文化が根付いていますよね。この文化が、今後はBtoBの分野にも拡大していくのではないでしょうか。そのため、オンライン上の評価・評判は経営者が必ず考慮すべき指標のひとつになり得るはずです。今後は、経営者がしっかりとカスタマーサクセスを理解し、「顧客の成功」と「自社の評価」を両立させるための施策をトップダウン型で打ち出すべきだと考えています。また、各社のカスタマーサクセス担当者が、こうした施策の重要性を経営者に伝えていくことも大切なことだと思います。

奥村:弊社が注力しているコンタクトセンタービジネスの世界でも、VOC(顧客の声)の重要性はかなり昔から謳われていました。しかし、実際にはVOCの活用方法がわからず、有効な施策に繋げられないというケースが多かったわけです。また、コンタクトセンター自体がコストセンターと見なされる中で、VOCの重要性が認知されにくいという背景もありました。しかし、最近ではこの流れが徐々に変わってきています。顧客の声が持つ「重み」を認識する企業が増えていますね。

黒野:そうですね。すでに日本でもITreviewを活用しながら、顧客の声を中心とした施策につなげるベンダー様は増えています。実際にITreviewから取得した顧客の声を分析し、その結果を経営会議で毎回取り上げるなど、経営戦略の重要指標として扱うベンダー様もあるほどです。
さらに、ヒートマップの分析結果からも、顧客の声の重要性が明らかになっています。例えば、単純に口コミの数が多いだけでも、閲覧者は強い興味・関心を示します。
<アイティクラウドが運営するITreviewについてはこちら>
https://www.itreview.jp/

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また、顧客満足度は知名度よりも重要な指標である可能性が高いです。例えば、一定の予算を投じて広告を打ち出し、知名度を向上させたとしても、口コミによる満足度評価が低ければ、閲覧者は興味を示しません。逆に知名度が低い状態でも、顧客満足度が高いサービスは注目される傾向にあります。

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奥村:顧客の声を重視し、さらに可視化することがさらなる商機を呼び込むという良い例だと思います。こうしたデータからも、顧客の声を中心としたカスタマーサクセスの推進は、Withコロナ・Afterコロナ期を通じて重要な施策のひとつになると言えそうですね。

おわりに

前編・後編と2回にわたり、6月に行われた対談ウェビナー「変化を先読みするCustomer Success ~Afterコロナ時代における顧客との向き合い方~」で語られた内容をご紹介しました。
新基準(ニューノーマル)では、お客様のサクセスを実現するためにどのように伴走・対応をしていくべきなのか。
デジタル化が加速して、ビジネスが急速に変化していく中では、自分たちのビジネスプロセスも見直しながら、今までよりも更に「顧客の声」を中心として、カスタマーサクセスを行っていくことが重要だとお伝えしました。
ニューノーマルは、どの企業も直面している、避けては通れない大きな変化です。バーチャレクスではお客様の継続的な成功=「Succession(サクセション)」のために、これからも支援と情報発信を行っていきます。(執筆担当:tk)

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