君の背中
「あ、やっぱりここにいた!」
私は彼がいるであろう街一望できる裏山まで走ってきた。部活終わりで汗だくになりながらも。
「いたら悪いか?」
「全然。こんなに綺麗な夕焼けが見える日はここにいるだろうなーって」
「なんで、そんなことがわかるんだ?」
「うーん、なんだろう。幼馴染だからかなー。それとも私の直感とも言うかなー」
「あっそう。」
「もう少し興味持ってくれてもよくない?ま、持ってくれないのもわかってるから今更何も言わないけど」
ここから見える景色は私にとってもお気に入り。一望できるし、遠くの海まで見える。それでいて街の眺めも見れる。小さく見えるあの家にもあの家にも沢山の物語があるんだなーとしみじみ思うことができる
「ここはやっぱりいいよなー、さすが親父が好きな場所って言ってただけあるわ。なんか落ち着くんよなー。俺ひとりじゃないんだって。それでいてあのオレンジの空も味方してくれてる感覚があるんだ、特に夕焼けってめっちゃ良いよな、なんかわからんけど」
「わかんないのー?でも、夕焼けって素敵やんな。太陽さんお疲れ様って感じするし、温かい気持ちになる。明日も頑張ろうってね」
「あ、そんな感じかも、まあどうでも良いけど。」
「どうでも良いとかある?」
中途半端な回答しかしない彼でも、夕焼けが綺麗な日は必ずと言っていいほどこの景色を観にくる。言語化できない何かがある。その何かは私にはわからないけど、ここの景色を彼が好きなことだけはわかる。
「よし、帰ろ」
そう言って彼は颯爽と家の方へ足を向けた。
「え、待って」
足早にかけていく彼を必死で追いかけることしかできない私。その背中は大きくもあり頼もしくもある。たまに小さくなる時もあるけど。
今日は大きいな。学校で何かいいことあったのかな。
そんな妄想をしながら必死に彼についていく私の足はもう限界を迎えていた。明日は5分ぐらい早く家を出る必要があるかもしれない。
楽しい企画をありがとうございました!!!絵とか写真からインスピレーションを受けて何か書きたいと思っていたところ、楽しそうな企画を見つけたので参加させていただきました。
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