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目の輝きはどれだけ美しいものを見てきたかで決まる

題名はイタリアの諺だった、と思う。
ずいぶん昔に聞いたのに、旅をする度に今でも何となく思い出す言葉だ。



今週末、彼との初めての旅行。
前日のパッキングの時からウキウキしていた。
出発の朝、早くから運転してくれる彼にせめてもと、最近お気に入りのプレミアムガーナと温かいお茶を用意。
運転中、2人で甘いお菓子をつまみながら、流れる景色を眺めたり好きな音楽を流して感想を言い合ったりする時間が既に楽しい。

先に旅館にチェックイン。
温泉、地元の食材をふんだんに使った美味しいご飯、川のせせらぎを感じられる素晴らしい眺望。この3つが揃った素敵なお宿を取ってくれた彼に心から感謝。

とりあえず、宿の近くの鄙びた街を散策することにする。
歴史ある街並みらしく、説明の立て看板がちょこちょこあった。
彼以外の人だと泣く泣く通り過ぎる。その場所の物語を知れず残念な気持ちになる。
でも、彼は興味を持ってくれるから、2人で立ち止まってじっと読む。
「ここってこんなに由緒ある場所なんだね。」と驚き合えることが嬉しい。

行きたいお茶屋さんに向かう途中、迷ってしまい、裏路地の様な場所に入り込む。
細い路地に古びた民家が立ち並ぶ。
そこに住む人の暮らしが垣間見えてわくわくする。
1人で勝手に胸をときめかせていると、彼も
「俺、こういう道が1番好きなんだよね。」
と呟く。
またまた同じ。
こういう道が好きな貴方が私も好きだなぁ、と思った。

「私さ昔、自転車であてもなく彷徨って、その土地のなんでもないような景色を見るのが好きだったんだ。」
と言うと、
「え…俺も!」
と彼。
そこが合うことある!?
意外な共通点を見つけて和気あいあい。
自転車で何処まで行ったことがあるか競う。
きっと冒険家の血が流れてるね、私たち。
なんて笑い合った。

これまで誰かと自分の感じ方を分かち合えた事がなかった。1人でひっそり眺めて楽しむ光る石のように隠していた。

でも今は、
同じ景色を見て心の底から楽しめること。
繊細で素朴な物に美しさを見出し、共有できること。
同じことに知的好奇心を抱き、一緒に満たせること。
こんな幸せ知らなかった。貴方に出会うまでは。

2人で見るものは、1人で見るよりずっとずっと美しく、目の輝きも光を増す。

これからも同じ景色を貴方と見たい。


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