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貴方に逢って触れて確かめたい

彼の住む街まで会いに行った。

…口の横に歯磨き粉付いてるなぁ。笑
鏡とか見ないのかしら。
でも、格好はいつもよりお洒落。
聞くと二人とも会う前日に新しい服を買いに行っていて笑った。
いっそ一緒に買いに行けばよかったね。

和やかな雰囲気でお昼ご飯を食べ、帰ろうとした私に、
「𓏸𓏸ちゃん、少しお散歩しない?」
と誘ってくれた彼。
ちゃん付けしてくれる人とは長く続いた。私独自の統計学。
呼び捨てする人とは大抵すぐ別れた。なんてぼんやり考えていると、

「  手繋いでいい?」
と聞いてくる。
奥手だと思っていたから驚いた。
「私手汗かくから…」
「俺も。今日暑いし。でも繋ぎたい。」
少し強引に握られた手。お互い汗をかいているはずなのに嫌悪感がない。しっくりくる手だなと思った。

暫く手を繋ぎながらあてもなく歩く。
車を停めている方に帰りたい私と、遠回りさせようとする彼との攻防。
何か伝えたいことがあるのかな?
横目で彼を見ると、彼も私を見ていた。

あ、これは。
男の人の目だ。私に触れたいって思ってる。
暑さとは違う冷たい汗が背中を伝う。
人気のない公園に着いて、案の定抱き締められた。
恥ずかしそうに照れ笑いしながらすぐ離れた彼。笑顔、可愛い。
お互い20代後半にさしかかっているのに高校生みたいな恋愛だなぁと可笑しくなる。

彼のこと好きかどうかはまだ分からない。
でも、抱き締められた時嫌じゃなかった。
寧ろ…。
この気持ち、貴方に逢って触れてもう一度確かめたい。

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