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【メンバーインタビュー】VUILD ARCHITECTSの若手メンバーの原点、そして思い描く未来

現在、VUILDではVUILD ARCHITECTSチームで働くシニアアーキテクトを募集しています。
そこで、一緒に働く若手メンバーたちがどんな人で、どんな思いで仕事をしているのかを紹介しようと、メンバーインタビューを行うことにしました。聞き手はCEOの秋吉浩気、答えるのはVUILD ARCHITECTSの中井彬人、伊勢坊健太、守屋華那歩です。

<写真左>
伊勢坊健太 Kenta Isebou/アーキテクチャルエンジニア
1996年広島県生まれ。2022年東京大学新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻修了。2022年VUILD入社。「『コンピューターを使って設計』から『コンピューターと協力して設計』へ」をコンセプトにしたローテーブル作りで2018日本総合デザインサポート協会主催第9回家具デザインコンテスト準グランプリ、オーディエンス賞を受賞。

<写真中央>
中井彬人 Akito Nakai/ジュニアアーキテクト
1996年京都府生まれ、2021年東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻 修士課程修了。2021年VUILD入社。在学中に高山建築学校で学び、樹の下のような境界が曖昧でそこにいたくなる豊かな空間を、つくることの悦びを建築に刻みながらつくっていきたいと、鉄筋コンクリート造のセルフビルド作品を作成。この鉄筋コンクリートの修士制作で、第12回公益社団法人愛知建築士会名古屋北支部主催建築コンクールで前田圭介賞を受賞。第14回公益社団法人愛知建築士会学生コンペ2019「情の建築」 最優秀賞を受賞。

守屋華那歩 Kanaho Moriya/ジュニアアーキテクト
1999年岐阜県生まれ。2022年愛知井工業大学建築学科住居デザイン専攻卒業。2022年VUILD入社。在学中は本を媒体とした地域社会のハブとなる保育園や、無用地を活用する循環型社会の街づくり、より道を誘発するラーニングセンター、助動し合う集合住宅など、暮らしを変革する建築を設計する。2021年中部商空間賞銀賞受賞。中部卒業設計展2023最優秀賞受賞。

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VUILDに入社するまで


秋吉
 建築家はさまざまな関係者の方を巻き込んで協働しつつ、工程や予算も管理するという、図面を引く以外の仕事も非常に重要だよね。最近、大規模な案件も多くなってきたので、場数を踏んだ経験豊富な人を募集することにしました。そこで、応募する人がVUILD ARCHITECTSをよりリアルにイメージできるように、今日は今、VUILD ARCHITECTSで活動中のみんなに、話を聞いていきたいと思います。まずはどうして建築を学び、VUILDに入ろうと思ったのか聞いていきたいのだけど、中井くんからお願いできるかな。

中井 小さな時にレゴブロックが好きで、作ったものを親に褒められているうちに、小学生の時点ですでに建築家になりたいと思っていました。その思いのまま建築学科に入ったのですが、設計課題をコツコツこなすうちに、これでは絵を描いて模型を作って終わりだということに気づいたんです。ものを作るプロセスが楽しくて、そのプロセスの中に苦悩や葛藤があるのに、そこに建築家があまり関われていないなと思ったんですね。

そんなときに東京の三田で蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)というコンクリートのビルを自邸としてセルフビルドで作られている岡啓輔氏に出会ったんです。岡氏は、「今の建築の世界には、建築家が『頭で考える』ことと、職人が『手を動かす』ことのあいだに大きな隔たりがある。しかも、頭で考えたことは、一方通行で現場に降りていくだけ。現場で手を動かしながら気づいたことを、建築に反映する道筋はどこにもない。この建築家(設計者)と職人(施工者)のあいだの分断が現代の建築をつまらなくしているのではないか。」と著書『バベる! ─自力でビルを建てる男』に書いています。

それを読んで、設計者と施工者の距離がぐっと小さくなるセルフビルドに惹かれたんです。VUILDはセルフビルド加えて、建築家でない人も含めて自分の身の回りのものを作る発想もあるのもいいなと感じました。

モルタルの植木鉢
植木鉢型枠の概念図

秋吉 中井くんは入社後にも自分でモルタルやコンクリートの家具を作っていたよね。伊勢坊くんはどういう経緯でVUILDに入ろうと思ったの?

伊勢坊 母親がずっと建築の仕事をしていた関係で、小さい頃から建築に興味があったのと、レゴにプログラミングを学べるマインドストームというロボティクス教材があって、小学校3年生から中学校3年生まで習っていたんです。その教材のUIと、大学2年生の時に出会ったグラスホッパーという建築系のプログラミングソフトのUIがとても似ていて最初から使い心地が良く、これを仕事で使いたいなと思ったんです。

その後、大学院1年生の時に3Dプリンターを使った事業を考えるという課題が出ました。その時に、アプリで棒状のもの、3Dプリンターで接合部を作成して、それをキットにしてお客さんに家具を届けるシステムを考えて発表していたんです。その後にEMARFの存在を知って、考えていたことに似ているな、と。普段設計をやっていない方が形を生み出せること、自らの手で無限の可能性を生み出せる可能性にロマンを感じますし、VUILDはデジタルを使った建築を重視しているから、グラスホッパーも使えると思いました。加えて、VUILDでは福利厚生にShopBotが土日に使えるとあったのも心を掴まれるポイントでした。個人の制作を尊重してくれるのはありがたいなと思ったんです。

Φ6のネジ棒を脚に使った耐荷重200キロのダイニングテーブル

秋吉 個人的な制作を今もどんどんやっているよね。守屋さんはどうですか?

守屋 父がデザイナーで、実家も設計プランを父がするような家で育ちました。子どもの頃から図工が得意だったし、何も疑いなく建築を学ぼうと進学しました。ただ、つくることには興味はあったものの、建築そのものにはさほど興味がなく、建築のことをしっかり考え始めたのは大学2年生の冬になってからです。ゼミの先生が建築のおもしろさや複雑さ、乱暴さ、繊細さ、様々な魅力を教えてくださって、興味を持ち始めました。そのゼミにはコンペキラーの先輩がいたので、その先輩を追いかけて自分もコンペに出展するうちに、使う人が関与する余地がある建築に惹かれることに気づくこともできました。フランク・ゲーリーの自邸が一番好きだと感じているのですが、それは彼が建築を自分から遠いものにするのではなく、秘密基地を作る感覚でできるように、自分の居場所を自分で開拓できるようなものにしていると感じるからだと思っています。

それで、その場に住む人や環境を読み解いて建築空間に落とす建築を設計するようになりました。次第に賞もいただけるようになり、さまざまなコンペに出展しているうちに、せんだいデザインリーグ 2022 卒業設計日本一決定戦で審査員をしていた秋吉さんに声をかけていただいて、VUILDでインターンをさせてもらうことになったんです。

より道を誘発し、風景との偶発的な出会いが 学生の創造力を育むラーニングメディアセンター(ポートフォリオより)

秋吉 ポートフォリオが抜群に良かったんだよね。カタチのセンスがある人=造形力のある人を採用したいと思っているから、声をかけました。実際、インターンをしてみてどんな印象を持ちましたか?

守屋 私は人の手で作った、繊細な柔らかい不確定なものが好きで、デジタルを使って設計するという発想がなかったので、VUILDでは驚くことばかりでした。作品も、私が想像できないものが多くて、今までの自分は視野が狭かったと感じました。VUILDだったら、私の建築人生に、新しい視点が得られるはずだと感じて、入社を決めました。

自分の建築人生でやってみたいこと


秋吉
 中井くんはセルフビルドと自分で自分の身の回りのものを作る発想に、伊勢坊くんはテクノロジーの力を使って設計のプロではない人も自らの手で無限の形を生み出せるという可能性やキットを届けるという手法に、守屋さんはVUILDがテクノロジーの力を使うことに驚きはありつつも、親密感ある建築を作るという方針自体に共鳴してくれているのだなと感じました。三人がVUILDのどこに共鳴しているのかがわかってうれしい。

次は未来のことを聞きたいです。三人がそれぞれ思い描いている、自分の建築人生をかけて実現したい未来の姿や、個人的にやってみたいことを教えてください。

中井 自分で家を建てる、自分で何かを作るということが、今よりももっと身近になる未来がいいなと感じています。VUILDはそこに向かっているので、自分の目指す未来とVUILDが目指すものは一致しています。

個人的には、僕はコンクリートに興味があるんです。コンクリートは型枠を作ってそこに流し込んで成型しますが、型枠を作るのが難しいんですよね。いくらコンクリートを練ることができても、型枠を作れなければ形はできない。すなわちどのように型枠を作るかを考えることがコンクリートにおいて重要で、デジタルファブリケーションを使ってこれまでにない型枠で魅力的な建築や家具が作れたらなと思っています。

コンクリートの座椅子

秋吉 いいね。個人的な制作を通して、VUILDが今持つ技術の可能性を広げてくれているように思う。どんどんやってください。伊勢坊くんはどうですか?

伊勢坊 今と昔でどれだけ革新的なものが生み出されたかを考えた時、たとえばスマートフォンはあからさまに社会の風景を変えています。建築に関しては、竪穴式住居が縄文時代から江戸時代までずっと使われてきたという話もあるように、あまり革新が起こりにくいのかもしれませんが、VUILDはデジタルファブリケーションとコンピューテーショナルデザインという武器を持って、革新を起こしていけると思っています。昔だったらコストがかかりすぎたり、複雑すぎて設計すらできなかったりした形が実現可能になっているんです。その認識がまだ社会に浸透しきっていないので、さまざまなものを作ることで、認識を広げていきたいですね。

個人的には、僕は構造に興味があるので、デジタルファブリケーションとコンピューテーショナルデザインを使って、透明感のある椅子を作ってみたいですね。透明感のある椅子といえば、倉俣史朗さんの「How High the Moon」というエキスパンダーメタルを使った椅子が有名ですが、あの作品をを超えるような椅子を作ってみたいです。

第9回家具デザインコンテスト準グランプリ、オーディエンス賞受賞となった「cooperate」

秋吉 おもしろいね。やってみたらいいと思うよ。守屋さんは?

守屋 私は、技術がいかに発達しても、人の手で作った有機的な雰囲気の建築がある未来がいいと思っていて、そういった繊細な建築をみんながつくれる社会にしていきたいです。その点で、VUILDは建築という大きなものも、人間の手で作れるようにパーツを小さくしてつくれるようにする点に非常に共感しています。

個人的な夢としては、私は寺社仏閣などの古典建築の屋根が好きなんです。いろんな背景があって、いろんな組み方が発展していて、こんなに重々しい屋根を繊細な組物で支えていて、さらにそれをかつては人の手だけで作っていたというのが、とてもかっこいいと思っています。こういった屋根の組み物をShopBotで作って、それを発展させた家具を作りたいなと考えています。

秋吉 屋根の架構構造など、古典建築の構法から学べることはたくさんあるよね。ぜひやってください。

入社してから今までの仕事


秋吉 今までの経歴と、未来にこういう世界を作りたいという夢の間に今があるわけだけれど、入社してから今まで、どんな仕事をしてきましたか? どんなことがおもしろかったかを聞けたらうれしい。守屋さんはどう?

守屋 いろいろな案件の初期提案で案を出すことを何度かさせていただきました。これまでの学生生活ではかっこいいものの絵を描いてきた感がありますが、VUILDに入ってそれは絵に描いた餅だったなと感じています。入社してから、作り方や構造、成り立ち方、部分と部分をしっかり考える必要があって、今、私は建築家としての土台づくりをしているなと感じています。

設計をしているときが一番楽しいので、どのプロジェクトでも設計を楽しんでいますが、少し前に大規模な木造建築の提案をしたときはとてもおもしろかったです。人が扱える、手の届く範囲のサイズの材を組んで大きな建築を作るのがとてもおもしろく、古典建築にも通ずるところがあってわくわくしました。こういった設計を、今後も考えていきたいです。

秋吉 そういう仕事は今後もたくさんあると思うよ。中井くんは?

中井 1年目の時に男鹿駅前に建てる木造のパーゴラを担当しました。図面を書いて、現場で大工さんと建てたのですが、3Dモデルを作ったり設計して図面を書いたりすることと、現実に作ることは全く別の問題だと感じました。あのとき、半分くらいのパーツが誤って反転して加工されて現場に届いたんです。自分一人で現場に行って、大工さんと作る場でそんなことが起きたので、冷や汗をかきました。けっきょく大工さんと話し合って、こう流用したら使えると考えて作り上げられたのですが、いろんな意味で学びの多い経験でした。

パーゴラ(秋田県男鹿駅前広場 )

今は伊勢坊くんと一緒に小豆島の「小豆島ゲートラウンジ」と呼ばれる建物の案件を担当しています。お施主さん自ら建材となるヒノキを島内で伐採・加工してShopBotで建材に加工し、島内の工務店と共同で建設する建物の設計をしたのですが、チャレンジングな形を追求しています。お施主さんとコミュニケーションをとり、建物を作るプロセスに設計者として関わって、お施主さんに手を動かして作ってもらうという一連の流れに関われて、非常にやりがいがある仕事だなと思っています。

先日竣工した小豆島ゲートラウンジ

伊勢坊 「小豆島ゲートラウンジ」組まれる木のパーツはそれぞれ全く違う形をしていたのですが、そういった素材を活かして設計できるのはデジタルチームがいるVUILDゆえですし、それを作り切れるのもファブチームがいるVUILDだからですよね。それを組み立てるという体験を、お施主さんという普段設計に関わっていない人にも提供できるのもVUILDならではのことです。

形自体も見たことのないもので、こういったものを作れるのは大きな喜びがありますし、デジタル設計と加工によって社会の風景を変えていくという、大きな流れの一歩目を着実に進んでいる感覚があります。日々の仕事が本当に楽しいです。

秋吉 秋吉 「小豆島ゲートラウンジ」も本当にいいプロジェクトで、二人が楽しんでやってくれてうれしい。三人とも、新しいシニアアーキテクトとともに、今後も建築の設計でどんどん力を発揮してもらいたいと思っているよ。

TEXT:フェリックス清香


VUILD ARCHITECTSで主力となるシニアアーキテクトを募集します。


こんにちは、VUILD採用担当です。現在、アーキテクチャーフォトジョブボードへシニアアーキテクトの求人を掲載しています。

現在進行中の案件、高い期待を寄せていただいている今後案件化予定の相談中のもの含め、わたしたちと一緒に建築することを楽しもうとしてくださる方たちにお応えすべく、VUILD ARCHITECTSの体制を盤石に整えるため、若いメンバーのリード役となるシニアアーキテクトを務めていただける方をお迎えしたいと思っています。
建築設計士として経験を重ねてきたからこそわかるようになったこと、すべてVUILDで活かしていただけます。加えて、新しい建築体験もしていただけると思います。
当社のミッションやヴィジョンに重なるところお持ちの方、ぜひご一緒できるとうれしいです!

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