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「EMARF DESIGN FES 01」開催レポート

9月23日〜10月2日にケーススタディスタジオ「BaBaBa」(高田馬場)で開催された展示会「EMARF DESIGN FES 01」。

本展では、「EMARF CONNECT」の4つのコアデザインである「デジタルデザイン」「プロトタイピングデザイン」「サスティナブルデザイン」「ソーシャルデザイン」を軸に、EMARFに関するものづくりやプロジェクトを展示しました。

EMARF CONNECTとは
2022年7月にスタートした、次世代の設計者を目指す方を対象にものづくりの学びと実践を通して設計のデジタル化を支援する、月額980円のサブスクリプション型オンラインプラットフォームサービス。

初回限定募集した100名のメンバーと共に、様々なプロジェクトやワークショップを通して学びと実践を繰り返してきました。
※本展示会以降は新規会員を随時募集しています。募集詳細はEMARF CONNECT公式HPをご覧ください。

展示概要
「EMARF DESIGN FES 01では、」EMARF CONNECTの初期生と共に取り組んだ、学びと実践のなかで起こったこと、そして「これから」動き出そうとしているプロジェクトやワークショップを発表。

また、会場の中央を占めた「プロトタイピングデザインセクション」では、EMARF CONNECT有志20名による作品やプロジェクトを展示しました。

1. プロトタイピングデザイン

ものづくりにおいて、時に失敗を経験しながら実践を重ね試行錯誤することが表現の豊かさにつながっていくのではないでしょうか。
EMARF CONNECT では、素早いアウトプットの繰り返しを通じて、
理想を現実に落とし込むための生産設計を学ぶ機会を提供します。
手を動かしながら考える、即興性のあるデザイン力を引き出します。

●EMARF CONNECTメンバーによるプロトタイピング展

会場の中央を占めたプロトタイピングデザインセクションは、EMARF CONNECTメンバーの有志20名による自由展示です。CONNECTのコンテンツである「Rhinoceros講座」や「個別相談会」などを活用していただきながら、出展作品のほとんどが1ヶ月という短期間で制作されました。

全国各地のEMARF CONNECTメンバーから作品が集まり、スツールやハンガーラックなどの家具から照明まで、様々なスケールのオリジナル作品が会場を埋め尽しました。

エントランスからの様子 ©potepote
©potepote
©potepote

また設営時には、CONNECTメンバー同士での交流も盛んに行われ、什器の組立てや設営も出展メンバー有志によって行われました。

設営の様子

本セクションでは、プロダクトの展示に加えCONNECTメンバーによるワークショップも実施され、会場を盛り上げました。

●「加工跡を愛でる”HAZAI加工あーと”」by おおいけそうま

ShopBotによる加工では、木材を切り出した後に「端材」と呼ばれる木材の切れ端がたくさん出てきます。それらを利用して、子供から大人まで楽しめるお絵かきアートを企画してくださいました。

土日祝限定で開催された本ワークショップは、主に子供たちから絶大な人気を博して、時に展示会場の軒先にまで飛び出し展示会の顔として楽しまれました。

©potepote

●「布の声を再生するFABRIC RECORDS ワークショップ」by Studio Poetic Curiosity(青沼優介)

布の端切れを足で踏み、跡をつけることで布の声を再生するレコードをつくるワークショップ。2日間で74枚のそれぞれまったく異なる音を奏でるレコードが生まれました。

ワークショップで生まれた音源の視聴はこちら▼


古着から素材を選ぶ ©potepote
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完成したレコード ©potepote

2. サスティナブルデザイン

木製ものづくりで扱う木材は、どこでどのように生産され、わたしたちのもとに届くのでしょうか。
EMARF CONNETCT では、製材所や林業家と連携し、林業体験や製材所見学などのフィールドワークを通して、持続可能なデザインについて学ぶ機会を提供します。
素材の背景にあるリアルな社会課題を読み解くことで、実体験に基づいた説得力のある提案力を引き出します。

●タンコロ運動×3Dスキャン展

使い道がないことから、通常は林道に放置されてまい市場には流通しない木材「タンコロ」の活用方法を探る「タンコロ運動」。

「みんなと仲良く森づくりがしたい。」
そんな想いから、岡山県西粟倉村を拠点に活動するVUILD COO 井上達哉さんが発起人となり始まった、タンコロの活用アイデアを探る取り組みです。

「タンコロ」とは?
木材を伐採し、長さを切り揃える玉切りをおこなう際に必ず出てくる端材のこと。その多くが、市場に流通させる価格より搬出するお金のほうが高くつくという理由で山に捨てられ放置されます。一本の木から必ず1個は発生するやっかいもの。

本ブースでは、製材し板にされたタンコロをスマートフォンを使ってARスキャンし、データ化する過程を体験していただける展示となりました。

また、タンコロを使ったワークショップも土日祝限定で実施。デジタルデザインセクションでご紹介します。

タンコロ運動について詳しく知りたい方はこちら▼

©potepote
スキャンデータ
製材される前のタンコロ ©potepote

3. ソーシャルデザイン

デザインは「目的」ではなく、手段のひとつにすぎません。
「なぜつくるのか」を問いかけることで、ものづくりと人のつながりが見えてくるはず。
EMARF CONNECT では、人を巻き込むデザインを通して市民参加型のワークショップや公共空間を活用した場づくりを学ぶ機会を提供します。
まちと人とのつながりや、地域への愛着を形成する共創力を引き出します。

●2泊3日キャンプをしながらつくったキャンプギア展

EMARF CONNECT内で8月に開催した「2泊3日のキャンプギアづくりブートキャンプ@LAC八ヶ岳」。本ブースでは、「キャンプ」をテーマに製作された計8組による完成品を展示しました。

LAC八ヶ岳にて
上山桂さんによるャンプ用簡易トイレを体験する来場者 ©potepote

●ShopBotを活かした地域資源活用手法の事例をみる 南信州まつかわ町「MMMプロジェクト」展

南信州の中山間地域で地域でひっそりと進行中のプロジェクト「MMM」。「MMM」とは、「生きる」ことと「つくる」ことが密接につながっている中山間地域の生活の魅力を伝える取り組みです。

11月に開催予定の「2泊3日で採ってつくる!森づくしメイカソンツアー@南信州松川町」に向け、本プロジェクトが進む南信州松川町の自己紹介を行いました。

本ツアーは、木材はどこからやってきてどのように使われていくのかを知り、実際に見学した山から採れた木材を使ってプロダクトをつくる2泊3日のメイカソンワークショップ。

一般の方もご参加できますのでぜひ下記より詳細をご覧ください。※先着順

ワークショップについてはこちら▼

松川町の取り組みについて詳しく知りたい方はこちら▼

●ShopBot拠点の紹介

EMARFを提供するVUILDが、「生きるとつながる社会へ」をビジョンに、2017年の創業当時より推し進めてきた全国各地へのShopBotの導入。今では130台を超えるShopBotが全国各地に設置されています。

本ブースでは、その内、EMARFと連携してくださっているShopBotオーナーの方々から届いた工房の様子を写真を交えて紹介しました。

4. デジタルデザイン

アイデアをカタチにするための設計手法を開拓することが、新たな表現につながるはず。
EMARF CONNECT では、データ作成の手法を学ぶことができる講座などを通して立体的なデジタルデザインを習得する機会を提供し、平面的な作図表現では難しかった造形をカタチにする設計力を引き出します。

「EMARF DESIGN FES 01」では、展示を見ていただくだけでなく実際に「つくる楽しさ」を感じていただきたいという想いから、3種類のワークショップを土日祝限定で実施しました。

●南信州のタモ材で作る「山並みフラワーベース」

ソーシャルデザインでご紹介した「MMMプロジェクト」に取り組む南信州松川町の近くで伐採され、10年近く乾燥された広葉樹を使ったフラワーベースづくりワークショップ。

日本アルプスの山並みをイメージしたテンプレートをもとに、直感的にカタチを変化させられる「EMARF 2.0」を用いて、iPadやPCでデザインを決めます。

デザインが決まったら、その場でShopBotで加工!

加工の様子を見ていただきながらも、加工後は参加者自身の手で納得いくまでやすりがけ、塗装していただきました。

ShopBotで切り出された後、トリマーで角を丸くします ©potepote
丁寧にやすりがけ
完成したフラワーベース ©potepote

●手描きパターンで作る「デジタルデザインスツール」

手書きした図形パターンをデータ化し、「Grasshopper」というツールで用意された磁場のようにふるまうプログラムに従ってデザインを決めます。そのデザインはスツールの模様となり、ShopBotがカタチにしてくれます。

EMARFの加工プレビュー
完成したスツール ©︎potepote

●不揃いなタンコロで作る「不揃いな木トレイ」

サスティナブルデザインでご紹介したタンコロ運動の拠点のひとつ「岡山県西粟倉村」で伐採され製材された、産地直送の「タンコロ」を用いた木トレイづくりワークショップ。

テンプレートをもとに自ら好きな形をデザインして、木材のどの部分を使うか考えて木と礼を切り出していきます。

木材がどこからやって来たのか森に想いを馳せる…。

そんな、普段はあまり意識しないことを考えながら、ものづくりの楽しさを体験していただきました。

ひとつとして同じ形のないオリジナルトレーが完成 ©potepote

それぞれのカタチは異なれど、参加していただいた方々に共通していたのは、皆さんが我が子を愛でるように根気よく切り出された木材を磨いてくださっていたということ。

納得するまで一生懸命やすりがけをし、見たことがないほどにツルツルな仕上がりとなっていたのが印象的でした。

丹精込めてやすりがけをするWS参加者 ©potepote

今回は特別に、EMARF CONNECTのメンバーの @みんなのダンボールマンさんが梱包材を用意してくださいました。

オリジナル作品を、オリジナル梱包材で持ち帰る。

そんな特別な体験が生まれました。

お弁当のようにお持ち帰り

10日間という短い期間での展示会でしたが、想像を超える多くの方にご来場いただき、「EMARF DESIGN FES 01」は大盛況のうちに幕を閉じました。

EMARF CONNECTは10月より、随時メンバーを募集しています!

本記事でご紹介したプロジェクトやワークショップに興味を持ってくださった方はこちら のページを覗いてみてください。
新たなメンバーとしてお迎えできることを楽しみにしています!