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変化する世の中を俯瞰し、自分たちを見つめ直す。1000人が参加した社員総会で語ったこと

大きな変化が始まっています。モノの価値、お金の価値、そして「何を価値と感じるか?」の根本の部分も覆すような変化がもうすぐそこまでやってきています。

今回のnoteでは、バリュエンスホールディングスの社員総会でお話しした、働く人、生きる人、すべての人にとっての“これから”のお話をシェアしたいと思います。

社員に直接語りかけられる貴重な機会

10月28日、毎年恒例のバリュエンス社員総会が行われました。日本から約900名、海外からのジョインをあわせると1000人に迫るメンバーが参加して行われた今回の総会でも、バリュエンスホールディングスの今後、方向性、そしてトップである私が考えていることを共有するプレゼンテーションを行いました。

国内外すべての社員と一堂に会する貴重な機会

企業にとって、トップが思いを直接伝えられる機会はとても重要です。ミッションやビジョン、そして先日新たに示したパーパスも含め、バリュエンスホールディングスが目指す世界観は対外的にも内部でもかなり頻繁に発信しています。しかし、日々の業務に追われる中で、入社時に胸に抱いていた「このミッションをバリュエンスで達成したい!」「パーパスに共感してここで働きたいと思った!」という強い思いも、いつしか薄れてしまう可能性があります。

メンバー全員がまったくブレずに同じ方向を見つめる。

もちろんこれが理想です。

しかし、これまで聞いてきたもの、見てきたもの、触ったもの、経験してきたこと、自分を取り巻く環境がさまざまである以上、すべてが完全に一致して共感するというのは無理でしょう。

実は私も、普段から対立する意見の人を無理に説得したり、考えを変えさせたり、論破することにはまったく価値を感じないタイプの人間です。

年に1回、バリュエンスホールディングスのトップとして全社員に向けて発信する総会でのプレゼンテーションは、社会情勢の分析、企業が置かれた環境の変化、トレンドの変化、人々の嗜好、思考の変化などさまざまな変化をキャッチアップしながら、自分たちが目指すべき方向をトップである私自身が整理した上で見える化し、言語化し、自分の中に落とし込む作業だと思っています。

その証拠に、総会のプレゼンテーションのことはいつも頭の中にありますし、半年前から構想を練り、実質の資料づくりもみっちり1カ月以上を費やして完成させ、どうやったら伝わるか、どんな話をしようかを直前まで考える日々でした。

世界は今、かつてない根本的変化を迎えている

中身の話をしましょう。

まずメンバー全員と共有したかったのは、世の中の変化です。

働く人の価値観の変化、投資家の評価基準の変化、消費志向の変化
大きく3つの変化を挙げますが、もちろんこれらは相互に関係し合っていて、少なくとも私が生まれてから、もっと長いスパンで見たとしても最大の、根本的な変化が始まっていると思います。

働く人たちは、役職や地位、どの会社で働いているかなどのステータスや賃金よりも、社会への貢献度、自分の考えるやりがいを求めるように。

投資家は、これまでの目の前の売り上げを求める短期的な成長より、中長期的な持続可能性、企業としての価値が高まる方法に関心を寄せるように。

私たちにとっての顧客である消費者は、大量消費社会の中で、「少しでもいいものを少しでも安く」というマインドから、「安さの意味」に目を向け、「少しくらい高くても納得のできる」「本当に必要なものだけを手に取る」消費をするように。

旧来の価値観で暮らしていると、え? 本当にそんな変化が来ているの? と思ってしまうかもしれませんが、SDGs、サステイナブル、エシカルといった波は、メディアや政府のキャンペーンではなく、確実に世界を変えつつあります。

日本の国家予算の8倍を運用する投資会社も「変化」に言及

ミレニアル世代、Z世代を中心に「働くということ」に対する価値観の変化があることは、その世代に直に触れる就職活動でも明らかですし、各種労働条件よりも、自分がその企業が成し遂げようとしていることに主体的に関われる、自分が課題感を感じている社会問題の解決の中心として活躍できることに重きを置く人は実際に増えています。

投資家にしても、私も四半期ごとに面談を行っていますが、売上、利益、進捗状況よりも、環境負荷への取り組み、社会に適応したビジネスモデルの話など、中長期的なビジョンについての質問が増えてきています。

世界最大の資産運用会社であるブラックロックのCEOであるラリー・フィンクがマネージメントレターの中で、ESG(環境、社会、企業統治)投資についての言及があり、脱炭素、中長期的なビジョンでの企業運営が望ましいと打ち出したことは、ニュースとして取り上げられるほど話題になりました。

日本の国家予算の8倍、7.4兆ドル(約817兆円)の運用資産を有するブラックロックのCEOも、投資を短期で回収する利潤追求型の企業に未来はないと言っているわけです。

消費者の志向についても、変化は明らかです。遅れているといわれる日本であっても、まず価格! ではなく、製品表示や生産過程、自分が手にするモノの本当の価値について吟味をする人が増えています。消費者のリテラシーが上がった結果、単価の競争で戦ってきた企業は危機を迎えているのです。

それって実は「誰かの幸せ」?他人軸から自分軸へ

こうした変化は、他人軸から自分軸への変化ともいえます。

有名な大学に入れば仕事に困らない。
知名度のある会社に就職した方がいい。
そろそろ結婚した方がいい。
家庭を持ったら家を買わなければいけない。

などなど……。

これらはすべて、子ども時代から両親をはじめとする周りの大人、学校や社会にすり込まれてきた「誰かの価値観」でしかありません。

お金を稼いでいいものを食べ、高級時計を身に付け、いい車に乗り、周囲が羨む「いい生活」をする。それが幸せという価値観は、一体誰が決めたものなのか。

もちろんお金は必要ですし、きれい事だけを並べるつもりはありません。私自身、経済的な豊かさに翻弄されていた一人である自覚がはっきりありますし、車も時計も洋服も、食べることも大好きですし、今も悟りを開いたような生活をしているわけではありません。

ただ社会の大きな変化を目の当たりにして、意識的に自分の価値観を見直してみると、これまでの価値観が誰かの都合、誰かの思い込みでつくられているのかもしれないと思い始めたのです。

陰謀論的な話ではなく(笑)、親が求めるから、先生がそう言うから、みんながそうするからという他人軸の基準ではなく、どこまでもフラットに自分軸で考えてみると、物質的な豊かさって本当に必要? 別の豊かさがあるんじゃない? お金を儲けてそれを使って物質的に満たされても、大して幸せになっていないかも? という思いがふつふつと湧いてきたのです。

突然目覚めたわけではなく、仕事でもプライベートでも色んな場面で自分軸の大切さに関わるようなことが同時多発的に起きて、徐々に時間をかけて考え方が変わってきた、いまも変わっている途中という感覚です。

自分軸と他人軸の違いで考えると、人生一択で生きている、人生が一本道だと信じている人がいかに多いか気が付きます。それまで大切に培ってきたバイアスを取り払えば、それまで崖だと思っていたところも案外歩ける道だったり、寄り道や脇道もむしろ自分を豊かにしてくれるプロセスだったりするものです。

物質から非物質、経済から感情へ……価値観の変遷

こういう思考で世界を捉えて俯瞰してみると、価値対象の捉え方と尺度が二軸で見ることができることに気づきました。

次に示したグラフは、価値観の変化を示したものです。

縦軸は価値対象の捉え方。目に見えるものである物質的なものから目に見えないものである非物質的な価値にシフトしている様子をあらわしています。

横軸は価値尺度の考え方をあらわしたものです。経済的な尺度から、精神的な尺度へのシフト。

このように世界が変わっている。では私たちはどうするか? 当然、シフトしていることを前提に、物質的な価値ではなく非物質的な価値を、経済的な価値ではなく精神的な価値を提供できるように変化していかなければいけないのです。

世界の変化についてだけで、だいぶ時間を要してしまいました。

次回は、価値の変化を示す具体的で身近な例を挙げつつ、ある意味で物質的豊かさや知名度、高級ブランドの持つ価値観に寄りかかっているように見えるリユース業をメイン事業とする私たちバリュエンスホールディングスがどう変化していくのかまでをお話したいと思います。

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