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家電から時計バッグへ。取扱商品の違いで実感したブランドの価値~戦力外Jリーガー社長の道のり11

当時のリユース業界の常識から外れたインターネット販売で成功体験を得た私が新たに乗り出したのは、『なんぼや』につながる未体験ビジネスでした。

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もっと小さくて軽いものを取り扱えないか?

ビジネスでの初めての“ゴール”を挙げた私は、勢いそのままに現在につながる新しい試みをスタートさせていました。それがブランド品の取り扱いです。

数千円で買い取った家電製品が、丁寧に磨き上げメンテナンスを施すことで数万円で売れる。取引のイロハ、市場を理解している人からすれば当たり前のこの事実に興奮し、“商売”の楽しさを感じていた私でしたが、同時に時間や体力を使うリユースの仕事に限界を感じ始めていました。

もっと小さくて軽くて利幅の大きいものはないのか?

そこで思いついたのがブランド品の買取事業でした。

商品の価格を変える“ブランド力”への興味

当時の私とブランド品との付き合いはいたって普通。高級ブランドの財布を買ったり、モード系ブランドの洋服を買ったりしていましたが、それにのめり込んでいて詳しいから思いついたというわけではありませんでした。

ただ、ブランドの魅力というか、なぜ高級ブランドといわれるところの製品が魅力的なのか? 新品はともかく中古品でも値段がつき、入手性の関係で物によっては買った値段より高く売れるのはなぜか? という興味は当時から持っていました。

ブランド品の売買をやってみたいと話すと、二人の兄も同じ興味、関心を持っていることがわかりました。

日本の家庭に眠る新たな市場

最初は家電・不要品買い取りでお邪魔した際に時計やバッグなども取り扱うというところからのスタートでした。

相場感もないなかで苦労はしましたが、ここで大きな気づきを得ることになります。

日本のご家庭には、想像もしていなかったほど使わなくなったブランド品が眠っていて、しかもきれいに保管されているということ。買い取りに出さなければただのタンスの肥やしですが、その人にとっての不要品がそれを必要としている人には価値のあるものになるまだない市場がつくり出せる可能性があることは大きな驚きであると同時に、その先の私のビジネスの方向性にも大きな影響を与えてくれました。

相場感ゼロ、企業体力も追いつかないなかでの成功

当時は相場感がなかったと書きましたが、ではどうやって価格を決めていたのか?
いまであればネットで調べればだいたいの商品の買取価格の目安を知ることができますが、当時はそんな環境もありませんでした。値付けは文字通り手探り。想定販売価格から逆算して、買取価格をほとんど勘で提示していました。

新しく始めたブランド品の取り扱いは、思いのほかうまくいきました。

仕入れた先から物が売れていき、利益率も高い。当時の手探り感を示すエピソードでいまだからいえる話ですが、まったくの新規参入で知識も企業体力もなかったため、困ったのは買取の際のキャッシュでした。たとえばロレックスなどの高級時計、高額商品は、確実に売れるのはわかっているけど、買い取ってしまうとキャッシュが足りなくなるという状況がありまして……。そういうときは、買い取った現物を質入れして資金をつくっていたなんてことも何度かありました。笑

全速力で漕がなければ追いつかない自転車操業だった時期もありましたが、常に感じていたのは「このビジネスは面白い」という実感でした。のちに兄弟三人で始めた洋菓子店、現在もみなさんから見たらそんなこともしているの? と驚かれるような事業も展開していますが、やはり自分の天職と思えるのはリユースビジネスなのだという気持ちは現在も変わっていません。

前回までお話ししていた「インターネットオークションを介したビジネス」は、当然ブランド品にも活用されました。リユース家電と同じく、当初はものすごくよく売れ、価格も相場より少し高めで売れるという“オークションバブル”のような状況を経験しました。しかし、同業者の参入、供給過多に陥ったオークションという“場”が荒れてしまった時点で、また違う方法を考えなければという焦燥感が生まれていました。

つづく

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