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「一見正しい」常識と慣習は、「今までなかったもの」の誕生を邪魔する敵でしかない〜戦力外Jリーガー社長の道のり30

お客様から買い取り、仕入れた商品を自社主催のオークションで同業者に卸すというビジネスモデルは、「買い取って売る」という質屋以来続いていた業界の「当たり前」と違っていたこともあり、私たちが成長する際の大きな原動力になりました。


振り返れば当たり前の「コロンブスの卵」

コロンブスの卵ではないですが、言われてみれば「なんだそんなことか?」と思うようなことでも、それをやり始め、やり遂げるのはそう簡単ではありません。

アクセスのいい場所にリアル店舗を出店し、そこで買い取りを行う。
集客は徹底してインターネットを活用し、特に人気、高額商品をセグメントして店舗へ送客、利益率を高める。
店舗で買い取った商品は、店舗でお客様に小売りしない。
買取品はすべて自社開催の業者向け(toB)オークションにかける。

どうでしょう?
今ではこのビジネスモデルを提案したとしても、「どこが差別化できているの?」ということばかりだと思いますし、止める理由もないというくらいの「当たり前」のことに見えるかもしれません。

過去の成功体験に縛られた“忠告”に耳を貸さない

しかし、私たちがこのやり方を始めた当初は、「買取専門店に客は足を運ばない」「小売りもしたほうがいい」「オークションは既存のものを使ったほうがいい」などなど、それまでの常識に縛られた“忠告”をしてくれる人がたくさんいました。

おそらく、同業者も「なんか変なこと始めたな」と陰で笑っていたのではないでしょうか。

たしかにそれまでやっていなかったことにはそれなりの理由があるのでしょう。
現在構築されているシステムやビジネスモデルは、確立するだけの理由や合理性があったのだと思います。

でも業界の歴史や常識、つながりやしがらみ、過去の成功例というバイアスを取り払ってみると、「なんでこんな簡単なことに気がつかなかったの?(気づいていたのにやらなかったの?)」ということがたくさんあります。

オークションの非効率を解消するためにやったこと

既存のオークションがいかに非効率だったのかはすでに触れましたが、
業者間で有名なオークションでも当時は、主催者が大きめの会議室を借りて出品業者はオークション当日に商品が届くように宅急便で送るか、直接持ち込んでいました。

そこで私たちはまず、自社オフィス内にオークションルームをつくりました。

オークションの質を担保するために“場”をつくり、“物の流れ”をコントロールすることにしたのです。

当日初めて見て、すぐに値付けするのが当たり前だったオークションで、バイヤー向けの下見期間を長く設けたことも当時としては画期的といわれました。

「即日」が当たり前だったオークションで下見期間を長くしたら

バイヤーは1週間程度の下見期間に商品の状態を確認、品定めができ、オークション当日は落札のみを行います。

これこそ業界外の人からは「なんで今までできなかったの?」と言われますが、「これまでそうだったから」という理由で誰もなんの疑問もなく慣習に従っていることはどこの業界でもよく聞く話です。

「鑑定とは?」「目利きとは?」みたいな価値観で、限られた時間で落札価格を決める美学みたいなものがあったかどうかはわかりませんが、一度「業界的な考え方」の枠を取り払って、合理性を突き詰めると、改善しなければいけないことはいくらでも出てきます。

現在のSTAR BUYERS AUCTIONでは下見期間6から7日間。じっくり下見できる環境が当たり前になれば、落札もスムーズでスピーディに行え、売り手にとっても買い手にとってもメリットしかありません。

現在はオンライン化が進み、参加時間・場所を選ばず、世界中から入札・出品が可能になりました。

出品予約から発送までがすべてオンラインで完結でき、売り手も買い手の労力は大幅に省力化されたのです。

こうなると、今度は「なぜリアル店舗にこだわるのか? すべてオンラインで完結すればいい」という意見も出てきます。
新しいことを始めると「できる理由」より「できない理由」を探し、「できた」ときには「できていないこと」を指摘したがるのが外野の声というものですが、『なんぼや』にしても『ALLU』にしてもオンラインに注力しながらもリアル店舗の重要性は創業以来変わっていません。

次回は、なぜリアル店舗を重視するのか?についてお話ししたいと思います。

つづく

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