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“港区ですれ違うゲレンデ”に嫌気がさして車を探していたら新規事業が立ち上がった話

みなさんは車にどんなこだわりがありますか?

車を移動手段と捉えるか、それとも嗜好品、コレクションと捉えるか。価値観は人それぞれですが、「いい車」の基準は時代とともに変化しています。
今日はバリュエンスグループの一員である米自動車(YONE MOTORS)が始める新事業を通じて「変わらないかっこよさ」「変わりゆく自動車に求められる役割」についてお話しできればと思います。


Instagramでピンときた「ゲレンデ以外の選択肢」

きっかけは、Instagramでした。
「なんかこうグッとくるいい車ないんかなぁ」

都内ではメルセデス・ベンツのGクラス、“ゲレンデ”の遭遇率がかなり高く、カスタマイズをしても「またお前か」感が否めず、いまいち所有する喜びを味わえませんでした。絶賛、単なる物欲、所有欲を手放すシフトチェンジ中の私ですが、現在の愛車・ゲレンデに代わる車をなんとなく探していたのです。

「これ、ええやん」

目に留まったのは、クラシカルで武骨なクロスカントリー車でした。
そのアカウントは、ランドローバーの名車、Defender(ディフェンダー)をカスタムして販売するイギリス・ヨクーシャーの企業、Twisted Group Limitedのもので、私的にはあのデイヴィッド・ベッカムがフォローしている点も高評価ポイントでした。

ランドローバーの傑作、Defenderをカスタマイズ

ご存じの方も多いと思いますが、ディフェンダーは、1990年に高級四輪駆動車を手がけるランドローバーが同社伝統の技術を投入してシリーズ化したモデルで、各国の軍用車両や警察、消防車両などに採用されるなど、その性能と頑強さが世界的に評価されています。

後継となる機種がインドのタタモーターズ傘下となったジャガーランドローバーから継続発売されていますが、こちらはシャシーがラダーフレームからアルミ製のモノコックに変更され、ずいぶんモダンなフォルムになってしまったもの。

Twistedが手がけるのは、旧モデルのディフェンダーで、中古車、レストア界隈でも人気の高い車種です。

ディフェンダーのレストアモデルの販売は多くの業者が手がけているのですが、TwistedのInstagramには見た目のかっこよさ以外にも心惹かれるものがある気がしました。

普遍のかっこよさをそのままに機能的な車に乗れる?

調べてみると、Twistedでは旧車であるディフェンダーの良さをそのまま生かした上で復元・再販するのみならず、快適性、機能性、走破性を重視したカスタムが可能で、見た目のクラシカル、普遍的なかっこよさを保ったまま、現代に合わせた“まったく新しいディフェンダー”にアップグレードできるのです。

初めは、この車かっこいいし、ゲレンデと被らないから欲しい! という普段お話ししている「モノの価値」や「物欲、所有欲、名誉欲を手放せ」みたいなメッセージからほど遠い(笑)きっかけで出会った話でしたが、時代を超えて、気に入った旧車種の中身を現代的にアレンジして乗り続けるというのは、また違った角度から車社会のサステイナブルを支える力があるのではないかと思ったのです。

クラッシックカーや旧機種に拘って乗り続ける人はいますが、その不便さも含めた歴史を愛する覚悟が必要な場合が多かったのも事実です。
排気ガスなど環境に配慮したら、新しい車に乗るのがいいという点も見逃せないポイントです。

実際、旧ディフェンダーが2015年に生産終了になったのも、現代の衝突安全基準や環境への配慮から厳しさを増す排気ガス規制に対応することが難しくなったという理由からでした。

「この車、日本で売れないかな?」とヨークシャーへ

Twistedが手がけるディフェンダーは、もちろんフルEV化も可能です。

これは軍用車両にも使用されているディフェンダーが車の「ガワ」として頑丈だったり、基本性能が高いというだけでなく、部品の交換性、代替性を考慮したシンプルな美しさを備えているということも関係していると思います。

Instagramでの出会いはコロナ禍の自粛期間のこと。

そこから、私たちバリュエンスのグループ会社で、高級輸入車のメンテナンス・車検・保険・ご売却時の乗換などをサポートしている株式会社米自動車が私の頭の中で結びつき、私自身ヨークシャーに飛んでTwisted Group Limitedとの国内独占販売締結につながりました。

11月には最初の入荷がある予定で、すでに知り合いを中心に複数の受注? をいただいている状態です。もちろん私が真っ先に欲しいのですが、売れ行きによってはもちろんお客さま優先で。来年には、私が拘ってカスタマイズしたモデルも到着する予定です。

車を売ることと弊社が掲げるパーパス「Circular Design for the Earth and Us」

交渉に当たっては、創業者の息子でTwisted社のファウンダー、チャールズ・フォーセット氏を訪ねる機会も得ました。

まだすべてを決めたというわけではなく、「こういう契約の話もしたい」という程度の事前情報で訪問したのですが、話してみて感じたのは、エンジニアとしてのこだわりや職人的なマインドとともに、たしかな経営的ビジョンがあるということでした。

私たちが、単に「車を売りたい」というのではなく、循環をデザインする「Circular Design for the Earth and Us」のパーパスのもと、自動車市場にあらたな風を吹かせたい、サーキュラーエコノミーの循環に貢献したいという思いと、ビジネス的観点からのサステイナブルの重要性にも理解、共感を示してくれたことが決め手になりました。

バリュエンスグループでは、すでにお客さまへの資産管理、ライフスタイルの提案を目指し、ブランド買取「なんぼや」で自動車の取り扱いを行ってきました。

卓越した整備技術を持つ米自動車をグループに迎えたことで、自動車の売買、to C販路の活用が可能になり、「新しいことが正義」という側面が大きかった自動車市場に、「整備をしながら長く大切に乗り続ける」という価値観を無理なく提供できるようになりました。

実は、この自動車販売については、もう一つのプロジェクトで新たな展開があります。
次回は、なぜバリュエンスは車を売るのか? というお話をしようと思います。

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