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餌を求めて最初に海に飛び込んだ“ファーストペンギン”が群れに呑み込まれないために何をすべきか?

note内での連載『戦力外Jリーガー社長の道のり』で改めてバリュエンスの歩みを振り返っていると、ブランド買取専門店『なんぼや』や事業者専用のオークションプラットフォーム『STAR BUYERS AUCTION』、ヴィンテージブランドショップ『ALLU』など私たちの事業はいずれも、質屋然とした古い体質を引きずっていたリユース業界の変革期に、これまでになかった新しいことをいち早く実行してきたからこそ現在があると実感します。

ファーストペンギンが餌を独占できる時間は思いのほか短い

群れで行動し、仲間と歩調を合わる習性を持つペンギンの中で、餌を求めて最初に海に飛び込む“ファーストペンギン”は、慣習やそれまでの常識にとらわれず、新しいことにチャレンジする「ビジネスの世界での成功の秘訣」としてよく使われる言葉ですが、バリュエンスグループの各事業はまさにファーストペンギンとしてさまざまな施策に取り組むことで成長を遂げてきました。

だからこそ強く感じているのは、ファーストペンギンが餌を独占できる時間は短いということです。

ボスやリーダーという概念のないペンギンの群れでは、その集団性の強さから一匹が海に飛び込んだ瞬間に、群れ全体がひとつの生き物のように次々と同じ行動をするそうです。どんなに大きな魚群でもファーストペンギンが独占できる魚はごくわずか。あっという間に群れに呑み込まれてしまいます。

セカンドペンギン以降の参入で競争が激化

このnoteでも再三触れていますが、先行者利益の優位制は本当に長続きしません。誰も気が付いていないことに気付き、新しいことを始めるゼロからイチを生み出すひらめきやエネルギーに相応しくないほど、本当にびっくりするくらいこのボーナスタイムはすぐに終わってしまうのです。

特にサービスに関しては、「顧客が望んでいて、誰もがやろうと思えばできるけどやってこなかったこと」を最初にやることが重要だったりするので、当然すぐに同業他社に模倣されてしまい優位性がなくなります。それどころか、ファーストペンギンが始めたことをスタートラインにできる後発の方が、そこに付加価値をつけやすいという不利まであります。

業界の変化、改革によってお客さまの満足度が高まることは私たちとしても望むところなので、この競争はむしろ歓迎なのですが、リユース業界ではサービスが横並びになったら「買取価格競争」になってしまうのがつらいところです。

『なんぼや』の店長会議で語ったこと

ネット集客、駅近くへの出店、これまで商品を鑑定する場だった店舗を、接客接遇の場ととらえたこと、完全個室化、若い女性でも入りやすい外観、内装など業界に先駆けて新しことをやってきたからこそ、「模倣されやすいベースの部分」をまねされても選んでもらうために何をすべきか? ということに誰よりも真剣に向き合ってきました。

私の結論としては、やはり金額ではない価値、お客さまとの信頼関係をどうやって築くのか? ということでした。

先日行われた『なんぼや』の店長会議で、全店長に向けて改めてこんな話をしました。

競合との差がなくなってきた現在、新規顧客獲得の競争が激しさを増している。

また、顧客のブランド買取に対するリテラシーが高まったことで、私たちとお客さまの情報の非対称性が薄まってきている。

これまで先行者利益として差別化できていた、駅チカという利便性、路面店、きれいな個室、内装などの機能性は明らかに絶対的な強みではなくなってきている。

私たちがこれからすべきことは、
分析されコピーされる「機能的価値」だけを追求するのではなく、模倣できない「情緒的価値」をつくり、それを高めていくことしかない。

これまでの『なんぼや』では、時が止まっていた業界に機能的価値の競争を仕掛けてそこに優位性を見出すことで成長をしてきました。これからも業界の常識にとらわれない発想でどんどん新しいことを仕掛けていく姿勢は変わりませんが、それだけでは追いつかれ、いつかは追い越されてしまうこともはっきりしました。

機能的価値と情緒的価値

お客さまからブランド品を買い取らせていただく『なんぼや』を例にとると、買取価格は顧客が買取専門店に求める機能的価値の代表です。機能的価値の行き着く先は、やはり価格競争になります。

機能的価値で勝負するのではなく、お客さまの経験や体験、感情に働きかけるような価値、つまり情緒的価値を自分たちの武器にできたらどうでしょう?

「え?買取価格が1円でも高いところに売るでしょう?」と思う人もいるかもしれません。
もちろん提示される買取価格はお客さまにとって重要な要素ですが、実はすべてではありません。

情緒的価値といわれてもピンとこない人もいるでしょう。
これについては次回、私のごく個人的な体験、ごく最近のできごとを通じてみなさんに伝えてみようと思います。

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