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経営者が企業の命運を左右する決断を「直感」で下す理由

今の状況を続けるのか、それとも手放すのか?
誰でも選択に迫られるときが来ます。
これまで、私の人生にもいくつかの大きな分かれ道がありました。
すべての選択が正しかったと言い切れる自信はありませんが、その時点で自分が納得する決断を下せたという実感はあります。
大きな分かれ道、その選択を迫られたとき人は悩みます。

もちろん、私も悩みます。

ビジネスのセオリー、上がってくるデータ、経験があるからこそ見えなくなる現実……。とんでもないプレッシャーに押しつぶされそうな場面で頼りになるもの。私の場合、それは「直感」でした。

「なんだそんなことか」と思われたかもしれませんが、今日は、私が直感を信じる理由についてお話したいと思います。

直感には思考が介在しない

進むべきか戻るべきか?

Aを選ぶかBを選ぶべきか? それとも新たな選択肢Cを探すべきか?

コンビニでどのアイスを買うか? から、人生を方向付ける進路の選択、何億円が動くビジネスでの決断まで、人生には日々さまざまな分岐点があり、私たちの「現在」は小さな決断の積み重ねでできています。

選択に迫られたとき、あなたには決断の指針にする基準があるでしょうか?
私にとっての基準は「直感」です。なぜなら「直感」には思考が介在しないから。

共感されやすい「理由」にすり寄っていないか?

人は選択に迫られたとき、まず直感が働き、そのあとに多くの人が「正しい」と思える答えを考えます。

どのアイスを選ぶにしても、進路を決めるにしても、ビジネス上の決断をするにしても、納得できる「理由」が必要です。しかし、この「理由」は多くの場合、無意識のうちに他人の共感を得るためのものになっている可能性が高いのです。

「昨日はチョコを食べたから今日は氷菓系にしよう」
ならまぁ好きにしたらいいと自分でも思うのですが、
「このデータが出ているからみんな納得するだろう」
「過去の成功事例から見るとこっちが正解かな」
「会議では『できない理由』がいろんな部署から上がっていたから今回は見送ろう」
という“いかにも論理的な判断”は、自分の直感を無視して「誰かの考え」、「多数決の論理」にすり寄ろうとする余計な思考に支配されてしまっています。

誰の助言も聞くな! ということではありませんが、私は他者の共感を得ようとするあまりそのことばかりが気になってしまう、決断の目的が「みんなの納得」になってしまうことは、大きな決断を下すときに邪魔になる余計なバイアスだと思っています。

「直感=何も考えない」ではない

では、何も考えず「直感」に従えばいいのか?
これにはちょっと説明が必要です。

「迷ったときは直感に従え」
すごくわかりやすいメッセージですが、私はこの直感力というものも成長させることができる、鍛えられるものだと思っています。

私がプレーしていたサッカーの世界では、「ゴール前の嗅覚」という直感の権化のような感覚が当たり前のように語られています。実際に「ストライカー」と呼ばれるプレーヤーたちは、他のどのポジション、役割の選手にない独特の感覚を持っている選手が多いのですが、「嗅覚」があるだけでは得点を重ねることはできません。

得点が入りそうな場面に顔を出す、こぼれ球が正面に来る位置にポジショニングを取ることは、まさにゲームの流れや味方のプレー、相手の意図を読んでいなければできないこと。
膨大な場数を踏んで、経験から導き出した正解に向かって、考えるより先に体が動く。これが「ゴール前の嗅覚」の正体だと私は思っています。

決断の際の「直感」も同じで、経験を重ねれば重ねるほど、考えれば考えるほど、次の決断の際に自然と頭に降って湧く「直感」の精度は高まってくる。

「直感」に従えばいいのだから何も考えない、データも見ない、数字も気にしないという人には、その成長がありません

データも見るし、数字も気にする。関わる人たちの考えも聞くし、多数決の意見も傾聴する。その上で、正しい決断を下せる直感が降りてくるトレーニングをしているとでもいえばいいでしょうか。

3年で先行者利益がなくなる時代に求められる意思決定

どの業界も同じだと思いますが、斬新なアイデアをもとにした、すばらしいビジネスのフレームワークをいち早く構築し、先行者利益を得られたとしても、3年もすればセカンドランナーに追いつかれ、同じことを続けていても利益はどんどん減っていきます。

情報化が進み、極端なオープンフォーマットで戦う現代のビジネスでは、いわゆる“ファーストペンギン”が、業界のトップランナーとして他者を引き離してどんどん成長できるフェーズは終わりを告げました。

もちろん最初にやるに越したことはありませんが、セカンドランナーも単なる二番煎じではなく、先行者を徹底的に分析してショートカットでスタートしてくる上に、苦労して築き上げた“勝ち筋”を基本にビジネスを始めてきます。

こうなると、先行者は優位性のある3年のうちにそのビジネスの発展性を見据えた革新を起こすか、次のビジネスを生み出すか、いずれにしても変化し続けなければいけません。

経営者や起業家が「ビジネスの鮮度」にフォーカスするためには、これまでの経験をもとにした「直感」で意思決定を素早く行うことが何よりも大切で、その精度を高めていくこと以外に企業とビジネスを成長させる道はないのです。

では、どうやって直感力を鍛えるのか?

これについては、すべてを「わかっている」というつもりはありません。

私事ですが、昨日8月16日に第二子が誕生しました。
第一子の時と同様、この分野においては妻の直感力に頼るばかり。正直父親としてはまだまだ絶賛成長中! 母としての決断、その強さに驚かされると同時に、2人の子どものパパとなったことで、改めて息子たちから尊敬されるカッコいい人間にならなければと思いを新たにしました。

次回は、私が過去の経験や世間の常識、社員が持ってくるデータや意見とどう向き合い、直感的に意思決定を下しているのかをお話したいと思います。

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