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アメリカ人整備士が教える!これが中古パトカーを買うべき理由だ!

今日は、アメリカのパトカーについて話そう。実は日本に輸入して乗れたりもするぞ。パトカーの歴史をたどりながら、フォードのポリスインターセプターユーティリティ(フォード製のSUVパトカー)をチェックしてみよう。それに、中古のパトカーを買うメリットとデメリットも見てみよう。しっかりシートベルトを締めて、出発だ。

フォードモーターカンパニーはアメリカで2番目に大きな車メーカーだ。そして、最も多くのパトカーを販売している。1950年代から、フォードは専用のパッケージを装備した車両を警察に提供してきた。IHSリサーチカンパニーによると、フォードは警察車両市場の半分以上を制している。しかし、フォードによれば、この数字は市場の3分の2に近いかもしれない、と。それでも、この市場での支配的な地位は、フォードの全ビジネスのごく一部に過ぎない。それでも、フォードにとっては安定した収入源となっている。では、なぜフォードがアメリカの警察車両需要のパイの大部分を手に入れたのか。その答えは、単に警察部門だけでなく、アメリカの車購入者全体で起こっている興味深いトレンドにあるかもしれない。過去数十年間で、ますます多くの消費者がSUVやクロスオーバーに乗り換えてきている。だから、市場で最も人気のあるSUVが最も人気のあるパトカーになったという事実は驚くべきことではない。

フォードのポリスインターセプターユーティリティは、アメリカ史上最も売れたSUV、フォード・エクスプローラーをベースにしてるんだ。実際、このポリスインターセプターユーティリティが、新しい警察車両の販売の50%を占めてるんだよ。室内も広いし、荷物もたくさん積めるから、警察でも人気なんだ。

フォード・インターセプターユーティリティ(第一世代)。
ホームランドセキュリティ(合衆国の治安維持組織)で使用されている車両。304馬力を発揮する3.7L Cyclone V6エンジン(フォード・マスタングのエンジンと同様)、または365馬力を発揮する3.5 L ツインターボ EcoBoost V6エンジンを搭載。トランスミッションは6速AT。
By Raymond Wambsgans from Akron Ohio, USA - Federal Protective Service Police Ford Police Interceptor Utility, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=95923175

で、アメリカの警察車両の歴史って面白いんだけど、最初の警察車両って実はバイクだったんだよ。それが自動車を使い始めたのは19世紀末だったんだけど、当初はただ単純に警察官を輸送するためのワゴンだったんだよ。車を使い始めたのは、犯罪者がパワフルな車を使い始めたからなんだ。それで警察も車を使うようになったんだよ。

ハーレーダビッドソンのディーラーの前に並ぶシアトル市警のバイク(1940年)
By Seattle Municipal Archives from Seattle, WA - Seattle Municipal Archives, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=118672226

最初の頃は車が高かったんだけど、20世紀初頭になると、節約のために警察車両が使われるようになったんだよ。車とラジオがあれば、1人の警官でも以前数人が必要だった範囲をカバーできたんだ。警察署は独自の車を購入して改造してたんだけど、それが限られてて、荒っぽかったんだ。警察車両の特別なパッケージってアイデアは、第一次世界大戦後になって初めて現実のものになったんだ。その時、自動車メーカーが一般的なオプションと仕様に基づいたバンドルを提供し始めたんだ。1921年、デトロイトの警官ケネス・コックスと、学生のロバート・バッツが、フォード・モデルTの後部座席にラジオを取り付けようとしたんだ。盗まれた車や行方不明者の情報を伝えるためにね。彼らが6年もかかってシステムを整えたって信じられる?そのアイデアをニューヨーク市の警察署が採用して、無線パトカー部隊が組まれたんだ。

フェニックス警察(アリゾナ州)で使われていた1919年製フォード・モデルTクルーザー
By Marine 69-71 - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=65845119

アメリカの警察車両のクラシックモデルをちょっと見てみよう。フォードが最初に警察向けパッケージをデビューさせたのは1950年、1938年のモデル18にフラットヘッドV8エンジンを搭載したものだった。その後、1955年にシボレーが、1956年にダッジが続いたんだ。競争が激化する中、フォードは1969年に市場シェアをだいぶ失った。この年、強力で信頼性の高いV8エンジンを搭載したクライスラーが流れを変えた。その名も「クライスラー・エンフォーサー」、4ドアセダンのニューポートにクライスラーの警察パックを装備したものだった。この車は265馬力を発揮し、最高速度は時速130マイル。1970年までに、クライスラーはアメリカの警察車両のなんと85%を製造していた。7.2リットルのマグナムV8エンジンという巨大排気量のエンジンを載せてたんだ。しかし、1970年代の燃料危機が大排気量エンジンの時代に終止符を打った。クライスラーの警察パックを装備した最後の車はダッジ・モナコで、この伝説的な車は映画「ブルース・ブラザーズ」で初登場を飾った。

1932年製フォード・モデル18
3.6L フラッドヘッドV8エンジン搭載
1973年製クライスラー・エンフォーサー(ロードアイランド州警察車両)
By Own work - Own work, CC BY 3.0, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=34634386

1970年代の終わりには、警察車両はもはや警察が必要とするパワーを持っていいなかった。この時代の警察車両は、テレビ番組や映画でよく見るフォードLTDやシボレー・インパラだったんだ。70年代後半から80年代にかけて、とくに性能と燃費の両方で人気を博したのが1975年のシボレー・ノヴァだっった。この車は小型にも関わらず、9C1警察パッケージと4.3リットルL99 V8エンジンが搭載されていた。シボレー・ノヴァ9C1は、ロサンゼルス郡保安局で試運用され、1975年から1979年にかけて広く利用されるようになったんだ。

一方、フォードは1982年にマスタング・スペシャル・サービス・パッケージを導入した。これは強力な5リッターエンジンを搭載し、オートマチックか5速マニュアルトランスミッションを備えていた。警察仕様のマスタングには、ラジオノイズ抑制パッケージ、移設されたデッキリッドリリース、前輪ディスクブレーキロータープロテクション、強化されたフロントフロアパン、強化ブッシング付きのアッパーコントロールアーム、130アンペアのオルタネーター、エアディフレクターなどが搭載されていた。

1985年製フォード・マスタングスペシャルサービスパッケージ(ケンタッキー州警察)
By Sicnag - 1985 Ford Mustang SSP 5.0 Police Coupe, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=40645601

しかし、もう一つのフォードが警察車両のゴールドスタンダードとなった。それがフォード・クラウンビクトリアだ。この車はアメリカとカナダで最も広く使用され、1992年から2011年までの二世代にわたって生産されました。実際、フォード・クラウンビクトリアは今日でも多くの場所で使用されているが、最近はSUVに置き換えられつつある。実際、多くの警察でフルサイズSUVの採用にかなり時間がかかった。だが、シボレーがV8エンジンを搭載したタホを警察用に提供したことで状況は一変した。このSUVは四輪駆動ではなく後輪駆動だったが、通常のタホより1インチ低く、より速かったため、特に田舎で人気だったんだ。

フォード・クラウンヴィクトリア ポリスインターセプター(合衆国議会警察)
4.6 L Modular V8エンジン搭載。
By Matti Blume (MB-one) - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20421445

さて、フォードに話を戻そう。現在、フォード・エクスプローラーはアメリカで最も売れているSUVだ。これは2010年秋に、フォードが第五世代エクスプローラーの特別バージョンであるポリス・インターセプター・ユーティリティを導入したことから始まった。まず、標準のSUVは高速でのロールオーバー(横転事故)が多かったのだが、フォードのポリス・インターセプター・ユーティリティはこの問題を解決した。ユニボディデザインへの変更、低い車高、特別に調整されたサスペンション、改良された冷却システム、強化ブレーキなどを導入し、高速道路での車両の安定性を向上させた。

昨年、フォードはフォード・ポリス・インターセプター・ユーティリティ・ハイブリッドを導入した。これは、285馬力の自然吸気V8エンジンと44馬力の電動モーターを組み合わせたもので、合計318馬力を発揮する。EPAの推定によると、燃費は24マイル/ガロンで、以前の3.7リッターV6ポリス・インターセプター・ユーティリティよりも実に41%改善されている。フォードによれば、ハイブリッド車は年間燃料費を一台あたり3,500ドルから5,700ドル節約できるそうだ。ニューヨーク市のように10,000台の警察車両を稼働させているような場所だと、どれだけの節約になるかちょっと想像してみてくれ。

フォード・ポリス・インターセプター・ユーティリティ・ハイブリッド
https://www.ford.com/police-vehicles/

さらに、この車はコロナウイルスを殺菌するヒーターなど、さまざまな革新的な機能を備えているため、非常に魅力的なんだ。フォードがシボレーやダッジに対して警察車両市場でリードを保っている理由も明らかだな。フォード・ポリス・インターセプター・ユーティリティは、現在アメリカの街をパトロールしている中で最も速く、最もアグレッシブな警察車両だ。トップスペックのSUVは3リッターのエコブーストツインターボV6エンジンを搭載し、400馬力と415ポンドフィートのトルクを発揮する。最高速度は時速150マイル(時速241キロ)で、0から時速60マイル(時速97キロ)に達するのにわずか5.8秒だ。ハイブリッド4輪駆動ポリス・インターセプター・ユーティリティは7.2秒で60マイルに到達し、ダッジ・デュランゴ・パースートのV8エンジンでの8.8秒よりも速い。また、シボレー・タホと比較すると、タホは0から60マイル/時に20.2秒もかかる。

ところで、退役した警察車両を買うべきか疑問に思う人もいるだろう。率直に言うと、イエスでもありノーでもある。運が良ければ、田舎の長くまっすぐな道を主に走っていた中古のパトカーを見つけることができるかもしれない。だけど、多くの場合、非常に使い古されたか、乱用された車を見つける可能性が高い。おそらく長時間アイドリングしていたり、エアコンが常に稼働していたんだろう。無線機器も常に稼働しているから、バッテリーもかなり使い古されている可能性がある。ドア、グローブボックス、トランクも頻繁に開閉されているし。それに、V8エンジンはガソリンを大量に消費する。それに耐えられるかどうかぜひ自問してみてくれ。

じゃあ、なんで退役したパトカーを買いたがる人がいるのかって?いくつか理由があるんだよ。まず、同等のモデルを買うよりも格安で手に入るからね。ほとんどのパトカーは強力なV8エンジンを搭載していて、中には市販モデルより速く調整されているものもあるんだ。だから、ターボ付きの小排気量エンジンなんて見当たらない。要するに、その値段で手に入るパワーを考えれば、かなりお得だってこと。それに、警察が使っていた車はメンテナンスに関しても手抜かりがないから、整備履歴は完璧に近いんだ。ただし、走行距離がかなり多いだろうけどね。ちなみに、ユニークな装備はむしろ価格を上げることがあるって知ってた?プッシュバンパーやヘッドライト、後部窓のグリル、そしてフルリアグリル付きのモデルなんかは、オークションでの価格が上がる要因になるんだ。

リペイントされた元フロリダ州高速警察隊のフォード・マスタングSSP
By Clariosophic - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18111947

じゃあ、退役したパトカーは合法的に運転できるのか?実際のところ、警察車両と見分けがつかない状態で運転するのは違法だよ。それもそのはず、偽物が悪事に使うのを防ぐためだね。道路で合法的に運転するためには、多くの州で車を一般車両の色に塗り替え、ステッカーやエンブレムを取り除くことが求められている。もちろん、最も議論を呼ぶのは赤と青の警察ライトバーやサイレンだけど、これに関しては州ごとに規制が違うから、ちゃんと調べてみてくれ。今、人気のある退役パトカーには、シボレー・タホ、ダッジ・チャージャー、ダッジ・デュランゴ、フォード・フュージョン、フォード・エクスプローラー、フォード・F-150があるんだ。

さて、退役パトカーを買う気になったかい!?

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