真砂

小説や音楽などについて、思ったことなどを書いています。

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最近の記事

小説の定義について①――定義の必要性とその方法

 小説について論じるにあたっては、本来、まず「小説」というものが何であるかということについて、定義をすることが必要不可欠である。というのも、「小説」が何であるかということは、小説を論じる上で最も基本的な前提となるからである。もし「小説」というものが何であるかを定義せず、これを曖昧なままにして論述を進めてしまうと、論者とそれ以外の者との間で「小説」についての理解に齟齬が生じ、論者の言わんとするところが他の者に十分に伝わらないおそれがある。こうしたことを防ぐためにも、小説について

    • ハローキティのポップコーンマシーンの歌について

       皆さんはハローキティのポップコーンマシーンをご存じだろうか? 商業施設などにときどき置かれているもので、見たことがあるという人も多いだろう。サンリオのキャラクターであるキティちゃんのデザインのポップコーンマシーンで、お金を入れて操作するとポップコーンができるというものである。  このマシーンからは、常に次のような歌が流れている。  この歌について、私は当初「キティちゃんって結構自惚れているんだな」と思っていた。というのも、この歌においてキティちゃんは自分で自分のことを「み

      • 『金色夜叉』と『氷菓』

        注意:この記事には米澤穂信氏の小説『氷菓』およびそれを原作とするアニメに関する重大なネタバレが含まれています。いずれも未読・未視聴の方は、いずれか一方を読了・視聴の上で本記事を読むことをおすすめします。  今からちょうど2年前、まだ大学3年生だったころ、私は尾崎紅葉の『金色夜叉』という小説を読んでいた。明治時代に書かれた作品で、当時ベストセラーとなった小説である。内容としては、主人公の青年・間貫一が許嫁の鴫沢宮を資産家の男に奪われたことに絶望し、金銭の鬼(=金色夜叉)と化し

        • 太宰治の1stアルバム

           太宰治の短編集に、『晩年』というものがある。これは、彼の作品集としては最初に世の中に出されたものである。  太宰の作品集は、大抵の場合、収録作のうちのどれか一つのタイトルがそのまま作品集のタイトルになることが多い。しかし、この『晩年』については事情が異なる。この短編集の中に、「晩年」という名前の小説は収録されていないのである。  これは、「晩年」というタイトルが、収録作のそれに関係なく作品集自体のタイトルとして名付けられたことによる。すなわち、「晩年」というのはこの短編集自

        小説の定義について①――定義の必要性とその方法

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          「ライアーダンサー」のとある歌詞について

           ボカロ曲(という言い方が正しいのかは微妙であるが、「合成音声曲」などと言うのも却って分かりにくいように思われるので、ここではこのように言うことにする)の一つに「ライアーダンサー」という曲がある。マサラダさんによって昨年の6月に発表された曲で、ボーカルは重音テトSVである。同氏の処女作でありながら100万回再生という快挙を成し遂げており、現在YouTubeでは600万回以上再生されている。  そんなこの曲の中に、次のような歌詞がある。  初めてこの歌詞を聞いたとき、私はなん

          「ライアーダンサー」のとある歌詞について

          【小説】リーダー・ダッシュのルールと谷崎潤一郎

           小説の文章においては、一般的に、リーダー(…や‥など)およびダッシュ(―)は偶数個単位で用いるものとされている。基本的には「……」や「――」のように2個で用い、伸ばしたいときには「…………」「――――」(4個)、「………………」「――――――」(6個)と2個ずつ足していくということになっている。  大半の小説家は、基本的にこの原則に従って小説を書いている。しかし、中にはそうでない小説家もいる。そのうちの一人が文豪・谷崎潤一郎である。彼は、リーダーおよびダッシュを2個単位では

          【小説】リーダー・ダッシュのルールと谷崎潤一郎

          頭韻がすごい歌詞――サカナクション「なんてったって春」

           近年、邦楽において韻を踏んだ歌詞が増えたように思う。あくまで私個人の実感であるが、十年二十年前の曲に比べると、今の曲は歌詞の中に韻を踏んだ箇所があることが多いような気がする。  もっとも、その大半は脚韻で、頭韻を踏んだ歌詞というのはあまり見かけない。韻というのは、それを踏む箇所によって頭韻と脚韻の二つに分けることができ、語頭で韻を踏むのが前者、語末で韻を踏むのが後者なのであるが、一般的に韻というと後者を指すことが多く、実際上も後者の方がよく用いられているように思われる。  

          頭韻がすごい歌詞――サカナクション「なんてったって春」

          【小説】「会話文」という言い方は適切なのか?

           小説の文章は、基本的に語り手による語りの部分と登場人物の台詞の部分から構成されている。一般的に、前者を「地の文」、後者を「会話文」という。このうち、後者について、このように呼ぶことは果たして本当に適切なのだろうかと私は思う。というのも、登場人物の発言は必ずしも常に会話において行われているとは限らないからである。  例えば、独り言がその例である。当然ながら、独り言は誰かに向けて発するものではなく、ただ一人でするものであるから、会話中の発言であるとは言えない。しかしながら、発言

          【小説】「会話文」という言い方は適切なのか?

          信号機の「通りゃんせ」についてのちょっとした疑問

           今ではすっかり数が減ってしまったが、信号機の中には、歩行者用信号が青の時に、「ピヨピヨ」や「カッコー」といった鳥の鳴き声ではなく、音楽が流れる、いわゆる「メロディー信号」というものが存在する。このメロディー信号において採用されている音楽は、青森県の「乙女の祈り」や愛知県名古屋市の東山動物園前交差点の「おうま」(現在は鳥の鳴き声に変更されている)などの若干の例外が存在するものの、基本的には「通りゃんせ」と「故郷の空」の2曲である。このうち、前者の「通りゃんせ」の信号機における

          信号機の「通りゃんせ」についてのちょっとした疑問

          読書日記(2022年9月~12月)

           お久しぶりです。真砂です。  本当は何か文章を書いて投稿したいんですけど、なかなか思うように書けないので、代わりになるかは分かりませんが、昔つけていた読書日記でも投稿しようと思います。  これは、何月何日にどんな本を何ページから何ページまで読んだということをひたすら記録していくというもので、去年の8月の末から今年の最初あたりまでつけていました。いつどんな本をどこからどこまで読んだかを記録しておくことで、後からどの本のどの部分をいつ読んだかを思い返せるようにするというのが目的

          読書日記(2022年9月~12月)

          山田リョウの「リョウ」っていう名前って、クールな見た目だから「涼」→「リョウ」になったんだろうか。

          山田リョウの「リョウ」っていう名前って、クールな見た目だから「涼」→「リョウ」になったんだろうか。

          荒楠(あれくす)神社の「荒楠」もアレックス(Alex)から来てそう。

          荒楠(あれくす)神社の「荒楠」もアレックス(Alex)から来てそう。

          最近『氷菓』を見直して思ったんだけど、入須冬実の「入須」ってアイリス(Iris)から来てるのかな?

          最近『氷菓』を見直して思ったんだけど、入須冬実の「入須」ってアイリス(Iris)から来てるのかな?

          「しまりん」のイントネーションについて

           漫画およびアニメ『ゆるキャン△』の主人公・志摩リンには、「しまりん」という、ほぼ本名そのままの愛称がある。この愛称は、一般的には「しまりん」と、「し」にアクセントを置いて発音される。アニメに於いても同様に発音されているので、公式的にもこれが正しいイントネーションということになるのであろう。しかし、私は当初、これを「しまりん」と、「ま」にアクセントを置いて発音するものだと思っていた。  私がこのような思い込みをしたのは、恐らく私が関西弁話者であるからであろう。というのも、関西

          「しまりん」のイントネーションについて

          Aimer「Black Bird」とイカロスの翼

           以前、カラオケに行った時、Aimerの「Black Bird」という曲を歌った。映画「累」の主題歌となった曲で、個人的にAimerの曲の中でも特に好きな曲の一つなのであるが、この曲を歌っている時に、ふと、ある歌詞が気になった。それは、「真っ赤な太陽 羽を溶かすの? I fly?」という一節である。なぜ気になったのかというと、この歌詞がイカロスの翼の話を元にしているのではないかと思ったからである。  イカロスというのは、ギリシア神話に登場する人物の一人である。父と共に閉じ込め

          Aimer「Black Bird」とイカロスの翼

          YOASOBI「アイドル」とサカナクション「アイデンティティ」

           現在放送中のアニメ「推しの子」の主題歌であるYOASOBIの「アイドル」の歌詞に、「今日何食べた? 好きな本は? 遊びに行くならどこに行くの?」という一節がある。  これについて、私は以前からサカナクションの「アイデンティティ」っぽいなあと思っていた。というのも、「アイデンティティ」にも、「好きな服は何ですか? 好きな本は? 好きな食べ物は何?」という歌詞があるからである。いずれもその人の人となりを問う質問が連続するというものであり、特に「好きな本は?」という部分は両者とも

          YOASOBI「アイドル」とサカナクション「アイデンティティ」